日本/東日本大震災/福島(公開日:2014.12.25)
【福島:子どもの場所づくり支援(7)】 NPOの運営強化 〜広報活動を進める上での工夫 〜(2014.12.25)
サントリー・SCJ フクシマ ススム プロジェクト(以下、フクシマ ススム)の一環として展開する「子どもの場所づくり支援」に参加する団体の最新活動紹介。今回は第5弾です。
「子どもの場所づくり支援」は、地元のNPO団体とともに、福島県の子どもたちが安心して学び、遊べる環境づくりを目的として、県内で展開する7つの取り組みです。このプロジェクトは、?資金支援による活動の質の向上、?技術支援による運営強化という2つの柱からなります。
第5弾では、フクシマ ススム「子どもの場所づくり支援」がパブリックリソース財団(以下PRF)と協力して進めている技術協力の中から、広報活動を進める上での工夫をお伝えしていきます。
今回ご紹介するのは、「ココネットマム」、「ふれあいサポート館アトリエ」、「プチママン」の活動です(1回目のブログ、2回目のブログ、3回目のブログ、4回目のブログはこちら)
? ココネットマム:Facebookで日々の発信 〜短くてもいいから、気負わず、こまめな発信が大切〜
日々の活動をこまめに伝えていくことは、より多くの人に団体のことを知ってもらうためには、欠かせません。NPO法人ココネット・マムでは、ホームページ作成ができるスタッフがいなかったため、まずは手軽にメッセージを発信できるFacebookで情報発信することから始めました。
最初は「どんな風に発信したらいいんだろう?」という戸惑いもありましたが、Facebookは、ブログのように長い文章ではなく、写真に一言添えて更新できる手軽さから、日々タイムリーな情報が発信されています。放課後児童クラブの子どもたちの様子や、週末のイベント、和気あいあいと行われる現場スタッフの打ち合わせの様子なども公開しています。児童クラブに子どもを預けている保護者からも、「イイネ」やコメントなど反応があるので、コミュニケーションの手段としても一役買っています。
ココマムのFacebookページをぜひご覧ください!
? 相馬市中央児童センター:ホームページで地域に情報発信〜毎月の活動を定期的に報告! 〜
NPO法人ふれあいサポート館アトリエ(以下アトリエ)が、市の指定管理を受けて運営する相馬市中央児童センターでは、フクシマ ススムを通じて新たにホームページを開設しました。地域の皆さんや子どもたちに、児童センターのことをもっとよく知ってもらい、自由に来館してほしいと考え、毎月活動報告や催し物のお知らせを掲載しています。
ホームページの開設や更新には、少し専門的な知識や技術が求められます。「更新が難しそう…」という不安の気持ちもありましたが、自分達で更新できることがわかり、開設後は定期的に更新されています。たくさんの写真も掲載されるので、地域の方や放課後児童クラブを利用している保護者の皆さんにとって、どんなイベントがあるか、子どもたちがどんな活動をしているのか知ることができるものになっています。
「更新は、意外と簡単なんですよ、苦手意識を持たなくて大丈夫!」とPRFのアドバイス。
? プチママン その1:パンフレットの作成 〜 団体の想いを伝えて、支援者獲得を狙う〜
プチママンでは、フクシマ ススムを通じてホームページの更新や広報担当の職員を雇用するなどして、広報活動に力を入れています。また、ファンを増やし賛助会員として応援してもらうために、団体の理念や想いが伝わるようなパンフレット作りを進めました。
パンフレット作りでは、まずは職員全員で、団体の「ビジョン」や「ミッション」を改めて共有し、プチママンの強みは何か考えてみることから始めました。これまでの活動を振り返り、日頃大切にしている想いを出し合いました。パンフレットに使うキャッチコピーを決めるまでの過程が特に苦労したとのことですが、みんなで話し合いを重ねることで、団体の活動を見直す良い機会にもなったようです。
「これまでは広報活動をしなくちゃ!という意識はあまりなかったんですが…」と話すプチママン。しかし、長期的に充実した活動を続けるには、広報活動に力を入れ、賛助会員や“ひろば応援団”を増やしていくことが必要だと感じるようになったようです。完成したパンフレットを手に、来年は積極的に広報活動を進める予定です。
完成したパンフレット写真
? プチママン その2:READY FOR?に挑戦!!〜 初めての全国発信でも大成
功!〜
プチママンの広報活動の中で、もうひとつ力を入れたことがあります。インターネットを通じての募金呼びかけの活動「READY FOR?」を活用して、ひろば内のキッチンや水回りの改修費用を募りました。
しかし、チャレンジ期間が残りひと月になっても目標の90万円には程遠く、焦りは増すばかり。そんな時、「ひとりひとりが、5人以上にメールを送ってみましょう」という助言がPRFから出され、全職員が一丸となってメール、ブログやFacebookを通じて、プチママンの現状や支援への感謝、目標を達成したいという気持ちを伝えていくと、少しずつ目標に近づいていきました。
必死に取り組んだ結果、見事、目標を達成!しかも支援の3分の1は福島県外の方々によるものです。声を上げれば、全国各地から応援してくれる人がいるということもわかりました。支援してくれた人には、お礼として、これもフクシマ ススムを通じて完成したパンフレット(上述)とサンクスレターを送ることにしました。
フクシマ ススムが始まる前は、賛助会員を募ることや資金を支援してもらうことに抵抗感があったというプチママンですが、「大変だったけど、いい経験ができました」とのこと。これからも、いろいろな形で積極的に広報活動に取り組んでいく予定です。
こちらの老朽化したキッチンの改修を予定しています
一言で「広報活動」と言っても、その手段や取り組みは様々です。また各団体の努力や思いがあってこそ、広報活動は充実していくのかもしれませんね。次回はいよいよ最終回!中・長期計画づくりを通じた基盤強化についてお伝えしたいと思います。
(報告:福島事務所 佐々木未央)
【サントリー・SCJ フクシマ ススム プロジェクト】
「サントリー・SCJ フクシマ ススム プロジェクト」は、サントリーホールディングス株式会社と公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンとが取り組む福島の子ども支援事業です。東日本大震災発生後、福島の子どもたちは、多くの困難に直面しながら、少しずつ前に進んでいます。学童保育クラブ支援や子ども支援に取り組むNPOとの協働や助成事業を通じて、福島の子どもたちが安心して学び 遊べる環境をハード、ソフト両面からきめ細やかにサポートし、フクシマススムは「ススムっ子」の健やかな成長と明るい未来を支えます。
サントリー・SCJ フクシマ ススム プロジェクト
【子どもの場所づくり支援】
サントリー・SCJ フクシマ ススム プロジェクトの一環として支援する取り組みで、福島県の子どもを支援する地域のNPOが協働し、子どもたちの発達にかかすことのできない「日常的な遊び場、居場所」活動の質を向上させ、継続的かつ安定した活動を展開し、さらなる子どもたちの成長環境の改善を目指します。子どもの健全な成長発達や子どもたちの安心安全を考慮したモデル事業として、福島の子どもたちの遊び場・居場所全体の質向上を実現していきます。