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日本/東日本大震災/福島
(公開日:2015.02.27)

【コメラさんさん(24)】福島市の放課後児童クラブを利用する子どもの外遊び/屋外活動に関する実情調査結果(2015.02.25)

 

公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)では、昨年9月から11月にかけて、福島市にある16の放課後児童クラブの保護者の方々にご協力いただき、子どもの外遊びの状況や、放射線や外遊びに対する保護者の考え方などについて、以下の要領で、アンケート調査を行いました。結果がまとまりましたので、報告します。





福島市の放課後児童クラブを利用する子どもの外遊び/屋外活動に関する実情調査

【目的】
 震災以後の福島市の放課後児童クラブの子どもの外遊びの状況や、放射線や外遊びに関する保護者の考え方を知る。

【実施期間】
 2014年9月〜11月 (配布から回収までの期間)

【対象者・実施方法】
 SCJとNPO法人いいざかサポーターズクラブ(福島市)の協働事業「冒険遊び場1日体験ツアー」に参加した福島市の16の放課後児童クラブに登録する児童の保護者。アンケートを配布・回収。

【回答数】 
204人の保護者 (349人に配布、回収率58%)

☆アンケート結果の詳細な内容についてはこちらをご参照ください
 ⇒報告書(PDFファイル、11ページ)


☆自由記述欄のコメント一覧はこちらへ
 ⇒自由記述欄のまとめ(PDFファイル、4ページ)

☆配布した質問用紙はこちらへ
アンケート用紙(PDFファイル、4ページ)




【アンケートから分かったこと】(報告書から一部抜粋)
(ア) 今の外遊び・屋外活動の時間の妥当? 現在、児童の「外遊び・屋外活動」時間の長さに問題を感じていない保護者は約4割。約半数が不足を指摘しており、何らかの対策の必要性を感じています。
(イ) 外遊びは子ども成長にとって大切? 約9割の保護者が、児童の健全な成長における「外遊び・屋外活動」の必要性を「大いに感じる」と認識しており、必要性を感じていない保護者は1人もいませんでした。
(ウ) 外遊びを制限している? 「『外遊び・屋外活動』を制限していない」が7割、「制限している」が3割。「ほとんど外遊びをさせていない」人は22%。
(エ) 外遊びを制限する理由は? 制限している理由として、もっとも多かったのは「遊び場・運動スペース周辺の放射線量が不安だから」。8割以上の保護者が選択しました。
(オ) 近くに遊び場はある? 「比較的安心して子供を遊ばせることができる公園や自然」が徒歩圏内にあると回答した保護者は約4分の1。「車や交通機関を使えば日帰りできる範囲にそういった遊び場がある」という人が、全体の約半数。一方、1割強の人が、「日常自宅から行ける範囲に安心して子供を遊ばせることのできる場所はない」と回答しました。


そのほか、自由記述欄にご意見・感想を書いて下さった保護者の方も多数いました。いくつか紹介します。

◇「子どもは、震災直後にダメだと注意していた場所で今では普通に遊んでいることがよくあり、時々本当に安全なのかと疑問に思う時があります。だからといって放射線を測ろうと思わない私もどうなんだろうと思います。もっと気をつけないといけないんだろうと思いますが、そしたら遊ぶ場所も本当に限られてしまい、精神的にも悩まされてしまいます。」


◇「震災当時、小学校入学前だった時期に屋外活動の制限をしたためか、転び方を知らない(両手をつけず、顔から転ぶ)、ブランコの乗り方が分からないなどビックリすることがありました。気軽に行けるところに屋外活動できる場所があるとうれしいです。」


◇「子どもたちは外遊びが大好きなので、もっと遊ばせてあげたいと思いますが、放射線量のことを考えるとやっぱり控えなきゃいけないのかなとか考えたりします。でも、福島に住んでいる限り、それは避けることができない現実であり、あきらめているところもあります。子どもたちには申し訳なく感じている毎日です。」


◇「何が安全なのか、安心できるのか?それすら分からない。ここに住む以上、子どもに遊びの制限はしたくない。思いきり外で遊ばせたい!!」

(以上、自由記述欄より)


【アンケート結果全体を通して】
子どもの発達における外遊びの重要性は、ほぼすべての保護者の共通理解となっているようです。一方、外遊びの制限をしている人と、制限していない人の比率は「3:7」と、判断が分かれました。この点と、84%の保護者が、「毎時0.23マイクロシーベルト(μSv)以下という条件が満たされれば、外遊びを許容できる」と回答していることを合わせて考えると、「毎時0.23μSv以下」を目指している国主導の除染の進捗状況が、子どもたちの日常生活における遊び場へのアクセスに少なくない影響を与えていると言えそうです。

また、全体として、条件付きで居住地周辺での外遊び制限をなくしている親が増えつつある中、「(車を使っても)自宅から行ける範囲に安心して子どもを遊ばせることのできる公園や自然はない」とする保護者も1割近くおり、放射線に対する様々な姿勢がうかがえます。外遊び制限の緩和傾向が見られる一方、問?では、「安心して子どもを遊ばせることができる公園や自然が学区内にある」とした保護者は4人に1人しかいませんでした。アンケートの回答からは、子どもたちが、自らの意志と力で「安全な遊び場」に出かけられない環境に置かれていると考える保護者が決して少なくないことがわかりました。「遊ぶ権利」が十分に保障されているとは言い難いのが、福島市内の放課後児童クラブに通う子どもたちの現状です。


今回のアンケートを通して、以上のようなことが分かりました。SCJでは、福島の子どもたちが置かれた状況を踏まえつつ、これからも、子どもの「遊ぶ権利」を保障するための活動に取り組んでいきたいと思います。


(福島事務所 中村雄弥)


<コメラさんさんプロジェクト>
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは福島プログラムの一環として、震災後、「コメラさんさんプロジェクト」を開始しました。このプロジェクトは福島第一原発事故後、放射線被ばくへの不安や、長期化する避難生活の影響などから、福島県で野外活動や体を思い切り動かす機会が減少した地域の子どもたちが、安心できる環境で、自然体験をしたり、思い切り遊んだり、運動できる機会を提供することを目的としています。※コメラは福島の方言で「子どもたち」の意。


 

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