日本/東日本大震災/福島(公開日:2013.11.30)
【福島:コメラさんさん(5)】ユニリーバこども笑顔プロジェクト2013夏・第一回 8月3日〜5日(2泊3日)(2013.11.30)
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)が、ユニリーバ・ジャパン社の支援および地元のNPOの協力のもと昨年より実施してきている、「ユニリーバこども笑顔プロジェクト」。今年の夏は、南会津町に拠点を置くNPO法人ひのきスポーツクラブとともに、8月3日〜5日、8月9日〜12日の2回、豊かな自然に恵まれ、放射線量の低い南会津町針生地区周辺で移動型自然教室を行いました。このブログでは、その第一回目の自然教室の様子を詳しくお伝えします!
待ってました!二泊三日の大冒険。遅かった梅雨明けの、まさにその日に始まりました。参加したのは31人の児童(女子11、男子20)。約3分の2が福島市内の児童で、それ以外は本宮市や須賀川市、富岡町(郡山市など避難先からの参加)の子どもたちです。注目は、2日目の「7時間耐久鬼ごっこ」。どんな遊びなのでしょうか?ちょっと大人しい子が多い印象ですが、さて、どうなることやら、、、。
8月3日
スーパー川遊び
福島市を出発したバスは郡山市、須賀川市を経て、午前11時過ぎに、宿舎となる南会津町の民宿台鞍(だいくら)荘に到着。荷物を置いたら、早速、みんなで近くの渓流まで歩いて移動して、川遊びをしました。子どもたちは、イワナのつかみ取りに挑戦しました。あいにくの曇天で、渓流の水は非常に冷たいものでしたが、こどもたちは寒さも気にせず、元気に川に飛びこんで、イワナを追いかけていました。
取ったイワナは、もちろん、お昼ご飯になります。河原で炭火をおこして、内臓を取り除き、串に刺して、じっくりと焼き上げます。「うわッ、キモイ」。最初はおっかなびっくりの様子だった子どもたちも、地元の大人にやり方を習っているうちに、徐々に面白がって、自分で内臓を取って調理したがるようになっていきました。
目指せ、ムシキング!
お腹いっぱいになったあとは、みんなが待ち望んでいた虫取りの時間です。グループに分かれて、一人一人が虫取り網と籠を手に、集落を散策しました。チョウチョ、バッタに、トンボ。針生では野山に入らずとも、あちこちに昆虫がいます。昆虫好きの都会っ子には夢のような環境です。「おい、いたぞ」。大物を見つけると、緊張が走ります。抜き足、差し足、忍び足…と、虫に気づかれないように近づきます。そして、エイヤッ。網をふるうと、中には立派なオニヤンマ。都会っ子もなかなかやるじゃないですか。
ホタル観賞会、星空観察
南会津の冒険は昼だけでは終わりません。この時期、夜、集落の外れにはホタルが現れます。畦道(あぜみち)を畦道(あぜみち)を歩いて、みんなでホタル観賞に出かけました。ライトを消すと、あたりは漆黒の闇。何も見えません。そこで目を凝らすと、いました!ホタルです。季節外れの肌寒さゆえに、例年に比べて、数は非常に少ないということでしたが、それでも十数匹のゲンジホタルをみることができました。それだけでも充分満足でしたが、まだサプライズがありました。帰り道、引率してくれた地元の昆虫博士が立ち止まると、急にライトを消しました。「上をみてごらん」。言葉に従って、空を見上げると、子どもたちが一斉に歓声を上げました。「すげー、プラネタリウムみたいだ!」。そこには文字通り、満点の空が広がっていました。夏の大三角形に、カシオペア座、そして巨大な天の川。街では絶対に見ることができない闇夜の芸術に、子どもたちもしばし言葉を失い、見入っていました。
8月4日
2日目の朝は、ラジオ体操から始まりました。地元の廃校になった小学校に集まって、快晴のもと、元気に体を動かします。日差しがとても強いので、ユニリーバ・ジャパン社から提供いただいたキャップをみんなでかぶって、今日も一日がんばりましょう!
集落の名物イベントに参加!7時間耐久鬼ごっこ
二日目のプログラムはシンプルです。その名も「7時間耐久鬼ごっこ」。一言でいえば、集落全体を使って、朝から晩まで鬼ごっこをするというものです。ひのきスポーツクラブの名物イベントで、プロジェクト参加メンバー以外にも、多くの地元の子どもたちが参加しました。ルールは、いわゆる“増やし鬼”で、タッチされた子どもは、今度は自分が鬼になって、生き残った子どもたちをつかまえに行くというものです。終了時間の午後5時まで、一人でも逃げ切れれば子どもたちの勝利です。参加者は総勢61人。地元の子が半分、プロジェクトの参加者が半分です。
午前10時スタート。子どもたちは、一斉に集落全体に逃げていきました。最初の鬼は、地元の大人たち。時間が経つにつれ徐々に増えていきます。集落といっても、都会のようにビルが立ち並ぶわけではありません。山に、森に、広大な田んぼという“日本の原風景”ともいうべき、山里を思いっきり駆け回るのが、この鬼ごっこの醍醐味です。
「こんなところで、鬼ごっこをやるなんて初めて。楽しい〜」と富岡町から郡山市に避難している女の子が喜んでいました。
走って、走って、鬼から逃げます。さすがにお昼過ぎには、みんな疲れが見えてきましたが、それでも遊び続けるのが子どもたちです。
夕方が近づくと、次第に黄色いシャツの鬼が増えて、鬼ごっこも終盤に入ってきました。
さすがの子どもたちも、後半は日陰で座り込んで、おやすみモード。
結局、最後まで逃げる延びたのは一人だけでした。それは、地元針生地区の女子中学生でした。「さすが地元の子だね」と冒険王の子どもたちも感心しきり。思いっきり走って、思いっきり疲れたけれど、忘れられない経験となった鬼ごっこでした。
最後は鬼になったみんなでガッツポーズ
8月5日
おばあちゃん、教えて!伝統料理に挑戦
最終日は、地元の文化を学ぼうということで、地域に伝わる伝統食である「笹巻」の作り方を、おばあちゃんから習いました。笹巻はその名の通り、もち米を笹でくるんで茹で上げる、チマキのような食べ物です。
笹の葉を上手に畳んで、三角形の器にして、そこにもち米を入れます。中に入れたもち米がこぼれないように、ヒモで縛るのが、中々難しいところです。
手先の器用な子どもたちは、あっというまにコツをつかんで、見事に笹巻をつくりあげていました。上手な子は一人で5個以上も包んでいました。あまった笹巻は、家で待つ家族への土産として持ち帰ることにしました。
茹であがった笹巻は、ペタッと固まってきれいな三角形をしていました。そこにキナコをつけて食べるのが針生流です。甘くてモチモチした笹巻に、子どもたちは大喜び。「うーん、おいしい」。また一つ南会津の素敵な思い出が増えたようです。
こうして、3日間の日程はあっという間に終わりました。期間を通して、大きな事故やトラブルもなく、無事に終了しました。帰りのバスではみんなグッスリ、かと思いきや、往路以上の大騒ぎ!さすが元気な子どもたち。「もっと、長くここに居たかったよ」。そんな声をたくさん聞きました。また帰ってきてね。南会津に。自然からもらったパワーを胸に、地元でも元気に過ごしてくださいね。
(会津若松事務所・中村雄弥)