トップページ > スタッフブログ > 日本/東日本大震災/福島 > 【福島:放射能リテラシー(9)】親子で話そう、測ろう、考えよう、放射線のこと〜郡山市の放課後児童クラブでワークショップを実施しました〜(2015.03.22)

日本/東日本大震災/福島
(公開日:2015.03.22)

【福島:放射能リテラシー(9)】親子で話そう、測ろう、考えよう、放射線のこと〜郡山市の放課後児童クラブでワークショップを実施しました〜(2015.03.22)

 

2015年最初の放射能リテラシーワークショップのご報告です!

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下、SCJ)では、1月に、郡山市の放課後児童クラブ(学童保育)で、放射能リテラシーワークショップ(以下、WS)を実施しました。今回は、小学校1、2年生と特別参加の幼稚園の子どもたち、保護者のみなさん、放課後児童クラブ(学童保育)の指導員の方々が参加しました。親子が一緒に放射線について学ぶWSを実施するのは、2回目です(1回目はこちら)。WSは、NPO法人市民科学研究室の上田さんとSCJが一緒に進めていきました。

参加したのは、震災当時2歳から4歳、、、つまり震災や原発事故のことをあまり知らず、当時の記憶がほとんどない子どもたち。中学生を対象にしたWSでは、当時の経験を振り返るところから始めますが、今回は写真を見ながら、親子で一緒に話すところからWSを始めました。



「これ見たことある?」「覚えてるかな?」「この時は大変だったんだよ…」と、お母さんから子どもに話しかけていきます。

スライドに映された“モニタリングポスト”や“ガラスバッチ”の写真を見た子どもたちからは「見たことがある」「保育園の庭にあった」という声が。でも、それが、どんな役割があるのかはまだわからない様子です。

そこで、みんなで近くの公園で放射線量を測ることにしました。親子ペアになって、除染が終わった遊具や水飲み場、木や草木のあたりを自由に測ります。このほか、「ここは、大丈夫かな?」と気になる場所や、子どもが好きな遊具などを、一緒に測りながら数字を記録します。

                      
                       砂場やすべり台の上の線量は、どのくらいかな…??

そのあと、放課後児童クラブの部屋に戻り、みんなで記録した数値を発表。「立ち入り禁止のロープが張られている植栽のところは、まだあまり近づかない方がいいですね」というように、上田さんがアドバイスをします。これにより、指導員のみなさんにとっても、外遊びをさせる時は、ここに子どもたちが近づかないように気をつけよう、といった目安ができました。

                                 
                       親子一緒に測った数値を、公園の地図に記録しました

次は、ブログでも何度か紹介している「ばんごはんの食材選び」のワークです。食べ物と放射線について考えます。

毎日、家族の食事を作るお母さんにとって、食の安全は、とても身近な、そして重要なテーマです。自分で食材を選び、現在発表されている数値を知り、どんな食材が放射線を含みやすいかという傾向を知り、また検査体制や農家の様々な努力について知りました。疑問や不安は率直に上田さんに質問していました。


  「ぼく、うなぎも食べる!」「うちのばんごはん、うなぎと牛肉は一緒に食べないよ…!」

お肉やお魚、果物などなど…リストの中には大好きな食べ物がいっぱい!おいしいご飯が食べたい子どもたちも、ひとつひとつ、一生懸命選んでいきます。

そんな中、ある女の子から、するどい質問が寄せられました。

馬のお肉には放射線が入っていますか?
お水はどうですか?
じゃあジュースは?
カレールーは・・・??

食用の馬肉は、福島県では伝統的な食べ物、そして、カレーやジュースも子どもたちの好物です。こんな質問に、お母さんたちや指導員のみなさんもびっくり!「子どもなりに、知りたい、わかりたいことがあるのだとわかった」という感想をもったお母さんもいました。

それぞれの質問に上田さんが丁寧に、わかりやすく答えると、女の子は納得した様子でした。アンケートの中でも、「きょう まなんだことを おともだちにおしえたい」と答えてくれました。

おとなへのアンケートでは、「お子さんと放射線について自由に話せる場があるか」という質問に対して、7人中、「ある」が3人、「ない」が3人、「わからない」が1人でした。一方、「放射線や関連する問題について、お子さんともっと自由に話したいですか?」という質問には、6人が「話したいと思う」と答え、以下の理由をあげてくれました。

・この先5年後、10年後(それ以上か)3年前の影響が今の暮らし方の影響が、何かはあると思うので、ずっと話をし続けられるようにしたい
・子どもが、今どのくらい理解しているかを知りたい
・今まではとくにふれようともしなかったが、今日のワークショップできっかけができた

震災から4年が経過し、当時の状況を覚えていない、知らない、という子どもの割合も増えてきています。子どもがまだ小さいため、どんな風に伝えていいか、子どもと話したらいいかわからないというお母さんもいました。

SCJでは、放課後児童クラブの児童・親子を対象に、様々な考えや気持ちに寄り添いながら、放射線について正しく知り、身近な人と一緒に話し、考える機会になるようにWSを開催していきます。

  (報告:福島事務所 佐々木未央)
 

<放射能リテラシーワークショップについて>
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、福島プログラムの一環として、2013年9月から放射能リテラシープロジェクトを始めました。このプロジェクトは、福島の子どもたちが、放射線について学び、さまざまな情報や報道を読み解き、自分なりに判断する力を身につけることを目的としています。昨年11月から試作版ワークショップが始まり、2015年3月現在、福島県福島市といわき市、双葉町の中学校、いわき市と郡山市の放課後児童クラブで実施しています。


 

あなたのご支援が子どもたちの未来を支えます

もっと見る

月々1500円から、自分に合った金額で子どもの支援ができます。
定期的に年次報告書や会報誌をお送りしています。

1回から無理なくご支援いただけます。

PAGE TOP