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日本/東日本大震災/福島
(公開日:2014.02.20)

【福島:放射能リテラシー(3)】 〜中学、高校生8人が参加した1日ワークショップ〜 (2013.02.20)

 

22日に仙台で放射能リテラシーワークショップを開催しました。朝1030分から夕方5時近くまでの一日ワークショップでしたが、福島県から参加した8人の中学生、高校生にとっては、内容の濃い学びの機会となりました。参加者からは、「子どもに限らず、こういった機会をもっと増やしてほしい」「自分にできること(伝えたり)や、するべきことがあるので、積極的に実行に移していきたい」などの感想が寄せられました。

放射能リテラシーワークショップは、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが201311月から始めた活動です(放射能リテラシーワークショップの概要について本ブログの最後をご覧ください)。これまで、福島市、いわき市の中学生を対象に学校でワークショップを行っていますが、今回は、年齢や学校の違いを越えて、福島県出身の中学生と高校生、男子1人と女子7人が仙台に集まって、一日の集中ワークショップに参加しました。

参加者が会場に到着し、いよいよワークショップの始まりです。自己紹介のあと、まず、最初にすることは、参加者が、原発事故や放射能に関連して、自分で体験したこと、見聞きしたこと、知っていることなどを書き出すことです。参加者の中には自分の住んでいた地域から避難している子、日頃から本を読んだり、インターネットで調べたりして放射能について勉強している子もいます。

 「地域のつながりがなくなった」「お年寄りが家に引き込もうようになってしまった」「農家だったが、野菜、コメを作ることをやめた」というようなカードが出た一方で、「産地偽装などがあり何も信じられない」「公表されているデータはどれほど正しいのか」というカード、また、チェルノブイリでの原発事故後の避難の権利を認めた「チェルノブイリ法」という法律を知っているというカードも出ました。 

ファシリテーターであるNPO法人市民科学研究室
の上田 昌文さんは、「みんな、いろいろな経験をしているなぁ」 「そうだったね、こういうこともあったよね」「いやぁー、よく 知っていますねぇ」と声をかけながら、説明を付け加えながら、これらのカードひとつひとつを確認していきました。




続いて、上田さんが、放射能ついての基本知識や原発事故で起こった問題や対応策などについて、 スライドを使って説明をしていきます。放射能、放射線、放射能物質の違い、放射線や放射性物質の 種類、シーベルトとベクレル(放射能を表す単位)の違いと使い方、原発事故後の福島県の各地域の 空間線量の変化、除染の状況、内部被ばくと外部被ばくの違い、放射線の体へ影響、食品に含まれる放射性物質の数値の調べ方や、放射性物質を取り込みやすい食品の傾向などなど、、、。今、このブログを読んでいらっしゃる皆さん、これ、全部わかりますか?



上田さんの 説明はとてもわかりやすく明快で、「え〜!そうだったの?」と驚きの声を   上げる子もいれば、「なるほどぉ」と、うなずきながら、熱心にメモを取る子もいます。また、上田さんも驚くような突っ込んだ 質問をぶつけたり、途中の休み時間に、上田さんに直接質問したりしている参加者もいました。


「福島にいる私たちは、もっと放射能について知識をもって判断するべきだと思うので、子どもに限らず、こういった機会をもっと増やしてほしいです。双葉郡のこれからについても郡内の人々で勉強し合う、話し合う機会があるといいのではないかと思います」
「私も本やTV、インターネットで情報を仕入れている方だと思っていたが、みな、それ以上に様々なことを知っていたし、自分の意見を持っていた。同じ目線から発言できるというのは自分のためになったと思う」
「自分にできること(伝えたり)や、するべきことがあるので、積極的に実行に移していきたい」
「もっとみんなで広く議論する時間がほしかった」


など、ワークショップ終了後のアンケートには、たくさんの感想が書かれていました。

                      

原発事故からもうすぐ3年が経とうとする今、福島での生活は平常を取り戻したかのように見えます。 ですが、参加した中学生、高校生の発言やカードに書かれた言葉から、原発事故後、福島の多くの地域の環境は変わり、そこで暮らす子どもたちは、今でもいろいろな不安や疑問を持っていること、そして、それらの疑問にきちんと答えられる人が身近に必要であることを改めて強く感じました。アンケートで出された子どもたちの感想や意見を参考に、これからも、より子どもたちにわかりやすい放射能リテラシー ワークショップを続けていきたいと思っています。

                                                                                     (福島事務所 五十嵐和代)


<放射能リテラシープロジェクトについて>
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、福島プログラムの一環として、20139月から放射能リテラシープロジェクトを始めました。このプロジェクトは、福島の子どもたちが、放射能について学び、さまざまな情報や報道を読み解き、自分なりに判断する力を身につけることを目的としています。昨年11月から試作版ワークショップが始まり、20141月現在、福島県福島市いわき市の中学校で実施しています。

ワークショップの対象者は、主に中学生、高校生。3回のワークショップで完結するようデザインされています。ですが、試作版ワークショップは、学校の授業時間、放射能についての参加者の知識や問題 認識、年齢などにあわせて、内容を取捨選択したり、セッション数を減らしたりなどの調整をしています。これらの試作版の実施結果を踏まえて、確定版を作る予定です。










 

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