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〜i.club@KESENNUMA 2012 WINTER 活動報告(4)〜
(2013.07.16)

日本/東日本大震災/教育
(公開日:2013.07.16)

「高校生がデザインする新しい気仙沼のドライフード」
〜i.club@KESENNUMA 2012 WINTER 活動報告(4)〜
(2013.07.16)

 

ソニー株式会社とセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの協働プロジェクト「RESTART JAPAN」が支援しているi.clubが宮城県気仙沼市で”ドライフード”をテーマに4回目のワークショップを行いました。今回は「形にする」の回でいよいよ高校生たちが調理に挑戦します。ではその様子をi.club Leaderの岩佐さんに伝えて頂きます。


2013年2月3日(日) 第4回 「形にする:“気仙沼の新しいドライフードを形にする”」



前回の第3回のワークショップでは、気仙沼の新しいドライフードのアイデアを考えました。今回は地元で水産加工業を営む斉吉商店の協力で、キッチンスタジオ「ばっぱの台所」(ばっぱはおばあちゃんの意味)を使い、アイデアの試作品づくりに挑戦します!いままで取り組んできた食材自身を理解することはとても重要なこと。そこで、地元の食材の特性を実験でしっかり確認した後に、これまで考えてきたアイデアの試作品を作成しました。いったいどのような実験で、どのような試作品が高校生の手によってつくられるのでしょうか?


■食材・調理実験計画の確認からはじめよう!


まずは今回自分たちが形にしたいアイデアは何で、それをどう作ろうとしているのかの確認から。高校生たちが考えて食材・調理実験計画をi.club Leaderに共有し、一緒に整理していきます。「どうしてその実験をやりたいの?」「なんでそう考えたの?」とi.club Leaderに問われる高校生たちは、今までの流れをしっかり踏まえて答えています。また、今回は地元食材の調理のプロである気仙沼のお母さん方が応援に駆けつけてくださり、高校生が考える調理実験計画に対して、様々なアドバイスを頂きました。


■アイデアを形に!さぁ、食材・調理実験をはじめよう!


実験の確認ができたところで、それぞれのチームが食材と調理の実験をはじめます。調理実習で着て以来のエプロンを身につけて、いつものi.clubと違う雰囲気にみんなのテンションもあがります。ここからは、いくつかのチームが行った食材への理解を深めるための実験と、その食材の特性をいかした調理実験を紹介します。


■「なまり節」の食材実験!


「なまり節」チームの食材事件の目的は、「インタビューで教わったなまり節の特徴を確かめる」ことでした。一般の人たちにあまり知られていないなまり節というドライフードの特徴とは、(1)出汁や香りがとてもよいこと。(2)身もおいしく食べることができること。(3)鰹節ように濾す必要がなく便利であることです。さっそくなまり節の出汁をとり、普段家庭で使われている粉末出汁との比較からスタート。両者を比較したところ、香りの差は歴然でした。前回インタビューした日渡水産の方がおっしゃっていたように、なまり節の香りの高さが際立っていました。さらに削り節からも同様に出汁をとり比較したところ、香りがすごくよいものの、手間がかかることが発覚!
削り節は煮てからさらに濾す必要があり、濾す必要のないなまり節と比べるとかなり面倒に感じられました。また、なまり節の身をそのまま食べることができるというポイントは粉末出汁や削り節では味わえない良さであるということを、改めて実感しました。

続いて調理実験では、なまり節の出汁を活かしながら身を食すことができる一品を考えた高校生たち。例えばタルタルソースや食べるラー油を参考に、なまり節を調理したみることにしました。




■「サンマのオイル漬け」の調理実験!

このチームは、一般には生臭いと思われがちなサンマを、どのようにオシャレに提供できるかということを考えていました。しっかり準備してきたこのチームは、生臭さを取るには一夜干しするのが良いという、インタビューからの発見を活かし、前日からゆずやハーブにサンマを漬け込むという仕込みを行ってきました。

一晩だけ漬け込んだサンマがどの程度変化しているのか不安と期待が混じる高校生たちがタッパを開けてみると、中のサンマは水分がよく抜けていてハーブの良い香りが漂っていました!味見してみると塩も程よくサンマになじんでいて、このままでも立派な一品料理になるおいしさでした。
しかしそれをどうしたらオシャレにできるのか。そこで高校生が思いついたのは、海外よく見かけるオシャレなガラス瓶のオイル漬けでした。しかもこれならチルドしなくても遠くの人に届けることができます!さっそく、サンマと他の臭みを取る果物やにんにくをガラス瓶に入れてオイルを注ぎ、試作品づくりに励みました。さて、うまくいったのでしょうか。


■「三陸わかめ」の調理実験!

このチームが担当した食材は「わかめ」です。わかめというと、調理のレパートリーが少なく、あまりオシャレじゃないという課題に着目した高校生。また海外では、わかめは磯の香りが強いために敬遠されているということにも注目しました。そこで「綺麗な緑色」「オシャレ」「海外の人にも受け入れてもらえる」をキーワードに、わかめの寒天へ挑戦することにしました。果たして味はどうなるのでしょう。


■試作品が完成したところで、プチ発表会!

見渡せばいつの間にか机の上には試作品がいっぱいです。いままで自分たちのチームのことで手一杯だった高校生たちは、他のチームの試作品に興味津々!さっそく各チームよろそれぞれのチームがつくった試作品について発表が行われました。

サンマのオイル漬けを作ったチームが試作品を見せると他のチームから「おしゃれ!」との声が上がり、実際に試食してみると見た目だけでなく数時間という短時間にもかかわらず具材とオリーブオイルの風味がサンマに移って、おいしく食べることができました。もっと長く漬けてみたらどうなるだろう?漬けていたオイルもパスタに使えるのでは?と今後の可能性も見えてきたようです。

なまり節をラー油にしたものには、他のチームの男性陣からも絶大な人気を誇っていました。みんな「辛い!」といいながらもたくさんご飯にかけて、おかわりをしているメンバーもいました。なまり節をそのまま食べられるのがいい!という感想から、今後よりその食感を出すためにどうするかが、課題となりました。

三陸わかめは寒天づくりに挑戦したものの、なかなか満足のいく出来に仕上げることができませんでした。原点に返りどう調理するのかを考え直すとともに両チームとも、チルドを必要としないという観点も十分に考慮しなくてはならないことが課題として残りました。



ワークショップの終わりには、今回参加してくれた気仙沼のお母さんたちから「若い人たちが考えるものは、自分たちには想像もつかないようなものがあって、すばらしいですね!」とのコメントを頂き、高校生たちの自信につながったようです。
気仙沼のお母さん方、i.clubのためにお時間をつくって、調理の指導をしていただきありがとうございました!

次回は「伝える」活動として、発表会になります。高校生たちは発表会までに、今回の課題を克服し、もう一度試作品づくりに挑戦します。成果発表会で高校生たちは、どんな試作品とアイデアを伝えてくれるのしょうか。

(文責・写真Ⓒi.club)

RESTRAT JAPANは高校生たちがi.clubの活動を通してイノベーションを体験する機会をサポートしています。


(報告:仙台事務所 宮川 淳)





 

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