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日本/東日本大震災/教育
(公開日:2012.07.27)

地域の水産業を担うために〜サントリー・SCJ水産業奨学金(2012.07.27)

 

SCJでは、サントリーホールディングス株式会社のご協力により、東日本大震災で被災した子どもたちへの支援の一環として「サントリー・SCJ水産業復興奨学金」を設立し、東北の水産高校に通う高校生達を応援しています。震災により水産業への打撃が大きかった青森、岩手、宮城、福島各県の水産高校の生徒達に給付型の奨学金を支給することで、将来地域の水産業を担っていく高校生達が安心して学校生活が送れるように支えています。
本奨学金の2012年度の受給者に対する支給が開始されたのに合わせ、岩手県と宮城県の対象校で贈呈式を行いました。

5月25日、岩手県立宮古水産高校にて贈呈式を行いました。

奨学金受給生徒代表 大上祐理子さん(中央)、左隣、サントリーホールディングス株式会社執行役員 折井様、右隣、SCJ渋谷事務局長

贈呈式にご出席いただいたサントリーホールディングス株式会社執行役員 折井雅子様より同社が取り組む被災地の漁業復興事業の紹介とともに、これから地域の水産業を担っていく受給生達へ激励の言葉が述べられました。また、SCJ事務局長 渋谷弘延の挨拶では、同校の実習船「りあす丸」が海上で瓦礫漂流物を発見し、震災後の観測調査へ貢献したことに触れ、復興の力となっていく受給生達の今後の引き続きの活躍に期待していることを伝えました。

宮古水産高校が位置する宮古市は東日本大震災により大きな打撃を受けましたが、地域の基幹産業である水産・漁業の復興へ向けて懸命な取り組みをしています。奨学金受給生達の多くも、自宅や保護者の勤務先が被害を受けたり、家計を支えていた漁船や養殖施設が流出したりするなどの打撃を受けましたが、困難な環境の中でも海洋実習や食品加工実習などに励みながら学校生活を送っています。

食品加工実習に取り組む宮古水産高校の生徒達

同校の実習設備も被害を受けたものの、現在では食品加工実習や海洋実習を始め元通りの授業を回復しつつあります。生徒達が実習で作る宮古名産のサンマや昆布で巻いたサケの中骨缶詰は、文化祭などのイベントで販売され、地元の人達に大変好評です。私達も味見させていただいたところ、中骨がやわらかく同校に伝わる「秘伝のタレ」がよくきいており、その美味しさにびっくりしました。
見学させていただいた缶詰加工実習では、生徒達がてきぱきと作業をこなし、宮古の味を守っていく高校生達の若い力を感じることができました。

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6月8日、宮城県水産高校で贈呈式を行いました。
沿岸部に立地していた同校は、東日本大震災で津波被害を受け、校舎と実習設備が冠水、小型実習船も流失しました。このため現在は石巻北高校の敷地内にある仮設校舎で授業を行っています。

大野信之校長先生は受給生達に対するメッセージとして、「水産高校の生徒として、水産業復興の原動力となるよう勉強に励んでほしいと思います。本校の仮設校舎での授業も2年を迎えました。昨年は十分な実習ができませんでしたが、多方面から支援をいただき、まだまだ不便ではあるものの今年に入りようやく本来の実習ができるようになってきました。これまでの支援に対する感謝の気持ちを忘れずに学校生活を送ってほしいと思います」と述べられました。
生徒代表の手代木力さん(3年生)は、「奨学金は文房具や資格取得のための教材購入など高校生活を続けていくために使わせていただきます。石巻の復興にはまだ時間がかかります。感謝の気持ちを忘れず、高校を卒業したら今度は私達が復興の力となり、担い手となって、数年後に石巻を被災前よりも活気ある街にすることを約束します」と力強く話してくれました。また、「将来は調理師になり、気仙沼の美味しい魚をたくさんの人に食べてもらいたい」と将来の夢を語ってくれました。

「石巻を被災前よりも活気ある街にすることを約束します」と生徒代表で挨拶をした、手代木力さん


この奨学金が、被災地の水産業復興の助けとなるだけでなく、勉学に励む学生たちの将来への明るい希望につながることを期待しています。

「サントリー・SCJ水産業復興奨学金」は、未来の漁業の担い手となる水産高校の被災生徒を対象に2012年4月〜2015年3月の3年間実施するものです。これまで本支給に先立ち2012年1月に7校計432名を対象に奨学金一時金を支給したほか、2012年度は7校609名に月額2.5万〜3万円の奨学金を給付しています。

(報告:広報 三輪 喜則)


 

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