日本/東日本大震災/教育(公開日:2012.10.13)
「高校生がデザインする気仙沼の新しいOh!BENTO!」
〜地元の中高生からはじまるイノベーション・クラブ活動
i.club活動報告(2)〜(2012.10.13)
ソニー株式会社とセーブ・ザ・チルドレン協働の東日本大震災復興支援プロジェクト「RESTART JAPAN」で支援しているi.clubが8月と9月にワークショップを開催しました。
7月に実施した「Sony Student Project Abroad(China)」では、気仙沼にやってきた中国の高校生との交流会で、地元の高校生は今まで気づいていなかった、たくさんの地元の”いいね!”の存在を発見することができました。それに続く今回のワークショップのテーマは、「高校生がデザインする気仙沼の新しいOh!BENTO!(お弁当)」です。
高校生たちはインタビューを行った人たちに、フィールドワークを通して自分たちで見つけた気仙沼の”いいね!”を「お弁当」という媒体で届けます。
知ったとき、見たとき、食べたとき、”Oh!"と言われるような気仙沼の新しい”Oh!BENTO!"を彼らはどのように考えたのでしょうか。
高校生たちは、8月のワークショップでは、気仙沼の”いいね!”のタネをみつけるために、インタビューとフィールドワークを行い、9月のワークショップでは、自分たちが気づいた”いいね!”のタネからどのようなOh!BENTO!をつくるのがいいのか、アイデアの発想を行いました。10月のワークショップでは、それを気仙沼の方々や外部の方々に伝える予定となっています。
さっそく8月と9月に実施された2回のワークショップの様子を紹介します。
■8月25日「気づく:気仙沼の新しいOh!BENTO!のタネをみつける」
ワークショップの初回は「気づく」の回です。まず高校生たちは、Oh!BENTO!をどのような人に届けるのか〜Oh!BENTO!を通して、その人の気仙沼に対する想いをどのように変化させたいのか。そのヒントを探すために、各チームでインタビューを実施しました。
続いて、自分たちが今まで気づかなかった気仙沼の食材や調理法、食文化について知るために、ワークショップ会場の「みなみまちcadocco(カドッコ)」を飛び出して、お魚いちばや復興屋台村に繰り出しました。
はじめて行うインタビュー、最初はどのような質問をすればよいか分からず沈黙が多かったチームも、次第に積極的になり盛り上がりをみせていきました。
フィールドワークでは、チェキ(インスタントカメラ)を使い、店頭に並ぶ興味深い食材を撮影したり、調理法を聞きました。その場所やそこで働いている人だからこそ知っている様々な気仙沼のいいね!をたくさん発見してきました。
その日の最後にそれぞれ模造紙に貼ったポストイットと写真を使いながら、発見の共有をしました。メンバーは他のチームやi.club Leaderからも積極的にコメントをもらい、自分たちの気づきをさらに深めたようです。
■9月29日「形にする:気仙沼の新しいoh!BENTO!をデザインする」
第2回のワークショップは「形にする」の回。まずは各自が宿題として行ったインタビューやフィールドワークの続きを共有し、メンバーはおもしろいと感じたことを”発見”としてポストイットに書きだしました。こうして大量に出てきた”発見”から特におもしろいと感じた”発見”をイノタネ(イノベーションのタネ)と呼ぶことにしました。
例えば、あるチームではインタビューから「お魚は毎日食べるもの」、「お魚がないとなんかしっくりこない、恋しくなる」という”発見”から、それを端的に言い換えて「魚は米」というイノタネができました。
イノベーションのタネが完成したところで、それらを使ってアイデアを発想しました。今回は3つの手法”イノベーション・イシュー”、”アイデアストーミング”、”イノベーション・シート”を使い、思考の収束と発散によるアイデア発想に挑戦しました。
複数のイノタネの中からいくつかを選び”イノベーション・イシュー”を設定し、「どのようにしたらそのイノタネを△△できるだろうか?」というイシュー(論点)の解決方法を、フィールドワークで発見したイノタネから探しました。
チーム内だけでアイデアを考えていると煮詰まってしまうこともあります。そんなときは、他のチームの人たちにもアイデアを考えてもらうことが有効です。各チームに説明役を一人残し、他のメンバーは別のチームのアイデアを聞き、新たなアイデアを出しました。別のチームにいくと、アイデアが嵐のようにたくさん出て発散することから、これを”アイデアストーミング”と呼んでいます。
最後にイノベーション・シートを作成しました。誰に、どのように変わってもらいたいのか。それをどのようなOh!BENTO!を提供することで実現するのか。その元となるインタビューとフィールドワークの結果はなにか。これらをしっかりもれなく記入していきました。
アイデア完成まであと一歩!
「あー、普段使っていない考え方をしたから、すごく疲れましたー」
高校生たちにとって、朝から夕方まで頭をフル回転させた一日だったのではないでしょうか。次回はいよいよこれまでの活動の発表会です。
気仙沼のいいね!がたくさん詰まったOh!BENTO!を高校生たちが気仙沼の方々や、外部の方々に向けて発信します。
【「気仙沼に中国から高校生30人がやってきた!」〜i.club活動報告(1)〜】
(報告:仙台事務所 宮川淳)