日本/東日本大震災/教育(公開日:2012.07.02)
「Restart Japan × Motivation Maker 協働プロジェクト 気仙沼の中高生からはじまる地元密着イノベーション・クラブ i.club 未来の地元のイノベーターへの第一歩。始まります。」(2012.7.2)
この度、ソニーとセーブ・ザ・チルドレン協働の東日本大震災復興支援プロジェクト「リスタートジャパン」は、宮城県気仙沼市にて、イノベーション教育の先駆け的存在の「東京大学i.school」から生まれたNPO法人Motivation Makerと共に、「i.club:気仙沼の中高生から始まる、地元密着イノベーション・クラブ活動」を開催します。
では、i.clubを主催されているNPO法人Motivation Makerの小川悠さんに、地元イノベーターとi.clubについてご紹介いただきます。
■地元イノベーターとは?
「地元イノベーター」とはなんでしょう?私たちが考える地元イノベーターは、自分の住んでいる地元の「いいね!」に「気づく力」、「かたちにする力」、そして「伝える力」をもっている人です。例えば、あなたの地元で定番のお土産はありませんか?今では定番のそのお土産も、元は地元にありふれた食材・文化・風習でした。お土産のいいね!に誰かが気づき、かたちにし、その良さを広く他の人にも気づいてもらうことに成功しました。そんな地元発の新たな価値を創出した人を地元イノベーターと呼べるのではないでしょうか。地元イノベーターは、決して遠い存在ではなく、またその土地に住んでいる人だけとも限りません。もしかしたら、あなたの地元のおばちゃんかもしれないし、今では別の地域に住んでいる人かもしれません。そしてあなた自身がそうなるのかもしれません。
■i.clubとは?
「i.club(あいくらぶ)」とは、東京大学i.schoolから生まれた中高生が地元イノベーターを目指すイノベーション・クラブ活動です。
日本の各地域でみられる若手リーダー不足は、震災前からあった都市部への人材流出やリーダー教育の機会の不足が原因となって起こる問題です。この問題を解決することが、日本の明るい未来につながると私たちは考えています。気仙沼が、i.clubの活動によって日本で初めてこの問題を解決する地元の1つになると信じています。
「自分も地元のためになにかできるかもしれない」
そんな気持ちを中高生のうちから抱くことが、未来の地元イノベーターを育むきっかけになると信じています。
地元の良さには、その外に出てからふと気がつくものです。また年齢を重ねるにつれ、自分の地元に貢献したい・恩返ししたいという気持ちが募るものではないでしょうか。しかし、高校を卒業してからすぐに大学進学や就職などで地元を一旦離れてしまうと、地元の理解を深める時間や、地元の多様な世代の人たちとのつながりを新たにもつこと困難です。そのような状況では、地元イノベーターとなるはずの若者と地元との関わりはなんとなくのうちになくなってしまう。これは気仙沼だけでなく日本各地で起こっていることです。
i.clubには2つの特長があります。
第1に、i.clubコーチ陣が学び実践してきたフィールドワークの方法やアイディアの発想法を地元の中高生に伝えることで、中高生は自らの地元をよく知り誇りをもつようになります。
第2に、i.clubの中心となる参加者は中高生ですが、その活動にはいま地元で活躍する大人たちや、いま地元を離れている大学生にも参加してもらいます。それによって、いままでなかった地元の人たちとの接点を持ってもらうようにします。i.club経験者の中高生が近い将来、地元のイノベーターになるのが私たちの望みです。
地元イノベーターになることはそう簡単なことではありません。地元イノベーターには既存の概念にとらわれることなく、世の中を少しでも良くするアイデアを考え、そのアイデアを実現するために最後まで自分を信じる力が必要となります。
なぜ簡単でないのか?それは、周りの大人が「挑戦していいよ」と言ってくれる機会が少なかったからだと私たちは考えています。
i.clubコーチ陣は、東京大学i.schoolやNPO法人Motivation Makerの活動を通じて、さまざまな挑戦する機会に恵まれ、その環境に感謝の念を抱き続けてきました。今度はi.clubコーチ陣が中高生に挑戦する機会を与える番です。i.clubは中高生にとって全身全霊で挑戦できる機会です。
日本に無数にちらばる地元のいいね!をかたちにできる中高生を育てる!
地元の土と、外部からの風で、新しい風土をつくりあげる!
それが私たちi.clubが目指す新しいクラブ活動です。
その活動が気仙沼からはじまります。
(報告:仙台事務所 宮川 淳)