日本/東日本大震災/教育(公開日:2012.07.11)
「新しい、自分たちのボールだよ!」小学校体育用品支援〜石巻市(2012.7.11)
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、次世代を担う子どもたちの支援のために「RESTART JAPANファンド」を設立しており、このたび、その活動に賛同したヒルトン東京ベイの支援により、宮城県石巻市の津波被害を受けた小学校へ、体育用品の支援事業を行いました。
現在、学校の学習環境は少しずつ回復されてきているものの、まだ完全な回復はしていません。その状況の中、宮城県教育庁からの要請により、石巻市内の津波被災があった小学校15校を対象に体育用品の支援をすることとなりました。今回はその15校のリクエストのうち、特に緊急性を有する物品を支援することになりました。この支援により、子どもたちの成長に大切な体育の学習環境が改善され、震災前の水準の教育を受けられる学校環境に近づいています。
〈湊第二小学校〉
こちらは、湊第二小学校、3年生仲良し4人組。提供したボールを手に、笑顔でポーズを決めてくれました。現在は開北小学校の敷地内に建てられた仮設校舎で学校生活を送っています。新しいボールに大変喜んでいました。
〈湊小学校〉
湊小学校へは巻尺や運動会のピストル、写真の中で先生が右手に持っている電子ホイッスルを提供しました。伺った時間はスポーツクラブのみんなの活動時間中で、ドッジビーという新スポーツをやっていました。担当の佐々木先生から、電子ホイッスルはとても便利と伺いました。
〈船越小学校〉 〈開北小学校〉
左は船越小学校の跳び箱です。現在、高校校舎の一部を借りての学校生活ですが、高校生用の跳び箱は大きすぎるため、小学校用の跳び箱を提供することとなりました。
右は開北小学校のフラフープ。休み時間に2年生の女の子が回すところを披露してくれました。色とりどりの輪の中から「青がいい」と選び取り、上手に回していました。
〈大街道小学校〉
大街道小学校へは、校舎と体育館をつなぐ渡り廊下の、すのこを提供しました。昨年、津波によってすのこを流失してしまったため、体育館への行き来が土足になってしまい、校舎や体育館をきれいに保つのが大変だったそうです。
昨年は、卒業式の時すのこがないままでは大変汚れた会場になってしまう、と先生方が心配されていました。しかし、なんとか卒業式前に提供することができ、「本当に良かった」とおっしゃっていただきました。
〈雄勝小学校〉
雄勝小学校は、現在、河北中学校の校舎で学校生活を送っているため、大きな体育用品などを保管する場所がありません。そのため今年度は、ソフトバレーボールやボールかごのリクエストをいただきました。バレーボールで遊ぶ中に、震災直後の避難所で開設していた「こどもひろば」に参加していた子どもの姿もありました。少したくましくなっていたようで、嬉しくなりました。
〈中里小学校〉
中里小学校へは、屋内用ウレタンマットを提供しました。
また、中里小学校が震災後避難所として使用されていたときに、暖をとるため体育館の暗幕が引っ張り取られて、レールが壊れてしまったということで、そのレールの補修も支援しました。そして、冬期の風邪予防のために加湿器の支援もしました。
〈貞山小学校〉
貞山小学校は、運動会へ招待していただきました。あいにく提供したセーフティーマット(写真右)の活躍する場面はなかったのですが、みんなの元気な姿を見せてもらいました。
〈住吉小学校〉
住吉小学校へは、綱引きロープと平均台を提供しました。伺った日は運動会の練習日でしたが、みんな本気で頑張っていますね。
〈釜小学校〉
運動会当日にお邪魔した釜小学校へは、綱引き用ロープの巻き取り器を提供しました。なんとも長いロープでしたが、巻き取り器でスムーズに準備・後片付けが進められ、安全に保管されていました。
同じく提供品のコーナーポストも「大変活躍しています」と教頭先生から教えていただきました。写真は1年生の「だるまさんGO」という競技です。だるまさんの被りもので目隠しした子どもが、友達に手を引かれてコーナーポストめがけて走っていく競技です。中には、目隠ししている子どもの方が手を引いて先を行く珍しいチームもありました。
各校を訪問する中で、現在のそれぞれの状況を聞くことができました。空きスペースが少なく、欲しい支援品を受け取ることができなかったり、時間的な制約から運動する機会が減ってしまっていたり、多くの学校がまだ様々な問題を抱えていました。しかし、そんな中でも実に明るく、たくましく毎日の学校生活に向かっている子どもたちと、先生たちの姿を見ることができました。
運動会の日、釜小学校の校長先生からは「昨日より今日、去年より今年。少しずつ復興に向かっていくものだと思います」というお話を伺いました。私たちはこれからも、その歩みに寄り添っていきたいと思います。
(報告:仙台事務所 斎藤)