日本/東日本大震災/教育(公開日:2015.12.28)
講演会「そうだ! 活躍している漁師さんの話を聞いてみよう!!」@気仙沼向洋高校
東日本大震災で被害を受けた地域の主要な産業である水産業の担い手を育成するために実施しているサントリー・SCJ水産業復興奨学金事業において、水産業について学びを深める機会として宮城県気仙沼向洋高校で講演会を開催しましたのでご報告します。
2015年12月8日の放課後、本奨学金受給生とその他の生徒、約150名が参加して、一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンが取り組まれている新しい形の漁業についてお話を聞きました。
フィッシャーマン・ジャパンとは、三陸の若い漁師さんたちが、地域や業種の枠を超えて、次世代へと続く未来の水産業の形を東北から日本各地そして世界に向けて、提案している団体です。
講師の高橋直哉さんは、震災によって漁業を続けることが難しくなり、アルバイトなどをしていたました。しかし、海が恋しくなり、改めて海の魅力に気付いた高橋さんは、南三陸町でホタテ・わかめ・牡蠣の養殖業を営む一方で、一般の人も参加できる漁業体験「ブルーツーリズム」という活動も開始されました。
このように、ご自身の経験も交えながら、漁業の魅力について話してくださった高橋さんに、生徒から「漁師の給料はいくらくらいですか?」「気仙沼の水産業発展のためにはどのような取り組みがあった方がいいですか?」といった質問がありました。
質問に対する答えのなかで、フィッシャーマン・ジャパン事務局の一人である長谷川琢也さんも、漁師は稼げる職業であることや水産資源と観光を繋げるなどの気仙沼で行われている先進的な取り組みに注目が集まっていることなどをお話し下さいました。
将来、漁業にかかわる仕事をしようと思っている生徒たちは真剣な眼差しで、お2人の話を聞いていました。
最後に、生徒代表として3年の藤田さんが、お礼の言葉を述べました。
「放課後の短い時間ではありましたが、高橋さんたちの貴重なお話を聞いたり、プロモーションビデオを見るなどして、とても密度の濃い時間となりました。私たち向洋生は水産の勉強をしているので、地域の皆さんから水産業の未来の担い手として期待されています。気仙沼向洋高校は水産について学ぶ環境が整っているので、今日のお話をきっかけに私も水産について深く学んで、未来の気仙沼の水産業を担っていけるようになりたいと強く感じました」
講演会後に、他の生徒さんからも
「漁師について新しいイメージを持つことができました」
「貴重な話を聞けてよかったです。今回のことを役に立て、復興に少しでも協力できるよう、できることを精いっぱいやろうと思いました」
という感想があり、水産業や地域の復興について考える機会となった様子が伺えました。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、本奨学金事業を通して地域の水産業を担っていく高校生が安心して高校生活を送れるように、これからも応援していきます。
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【サントリー・SCJ水産業復興奨学金】
青森・岩手・宮城・福島、4県7校の水産高校と水産業に関連する学科に在籍する生徒を対象とし、2011年度は一時金を給付し、2012年度からサントリー・SCJ水産業復興奨学金として、これまでに延べ2424人へ奨学金を給付しました。2016年度も本奨学金は継続します。
(報告: 遠野事務所 藤原 和歌子)