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日本/東日本大震災/子どもの保護
(公開日:2013.10.25)

『発達に特性のある子どもへの対応』学童保育施設指導員研修(2013.10.25)

 
学童に通う子どもたちの中には、学校よりも多くの時間を、学童で過ごしている子どもたちもいるそうです。平日の放課後はもちろん、土曜日や夏休みなどの長期休暇期間を合わせて、年間290日以上を学童で過ごしている子どもたちもいます。この数字だけでも、学童が子どもたちにとってどれほど重要な場なのか、伝わってきますね。
学童は働く保護者の日々の生活を支え、子どもたちが放課後も安心していられる場所を提供する大切な役割を果たしています。それは、復興へと向かう地域でも同じです。学童で子どもたちと日々向き合っている、学童指導員の皆さんを支援することは、とても重要なことだと考えています。

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下SCJ)では、9月18〜20日の3日間、岩手県内5ヶ所(大船渡市・陸前高田市・釜石市・山田町・大槌町)において、学童指導員を対象とした研修を開催しました。テーマは、『発達に特性のある子どもへの対応』で、年度初めに指導員を対象として実施したアンケートにて、ニーズが高かったものです。全国学童保育連絡協議会会長・副会長を歴任された、片山恵子氏を講師にお招きしました。3日間の研修を通して、合計65名の指導員の方々が参加しました。


SCJスタッフと指導員合同で司会を務めました。

片山先生は、36年間学童指導員として勤めてこられました。その講演は、日々関わってきた子どもたち、そして保護者とのエピソードにあふれていました。片山先生は、「学童保育は、働く親の願いから生み出されたものです。子どもたちの安全で安心できる放課後(長期休業時は一日)の生活を保障することを通して、働く保護者を支え、家族の生活を支えています。」と学童保育の存在意義について語りかけました。そして、「そうした親の願いに応えるためにも、学童指導員の先輩方は、指導員同士の横のつながりを作り、交流しながら研修に取り組んできました。学童保育指導員の仕事に対する社会的な理解を広げていくためにも、私たち一人ひとりの指導員が意識を持って、自分たちの言葉で仕事の内容を語ることが大切です。」と訴えました。



熱心にメモを取る指導員。

学童指導員という仕事の魅力についても、次のように話してくれました。「決してかっこよくないのが、私たち学童指導員の仕事です。日々、個性的かつ一筋縄ではいかない子どもたちを相手に泥臭く仕事をしています。でも、そんな日常の中で、ふっと子どもたちの成長に気づく瞬間がありますよね。感動する瞬間があります。そうすると、この仕事を続けてきて本当によかったな、本当にいい仕事をしているな、と思えるのです。」


片山先生に質問をする指導員。「特定の子どもが他の子どもたちの輪を乱す場合にはどのように対応すべきなのか」など、現場の悩みについての声が。

片山先生は、当時の息づかいをそのままに、豊富な実践経験を熱い語り口で語りました。参加した指導員の方々は、講演内容に聞き入り黙々とうなずいたり、どっと声を上げて笑ったり、メモを取ったり、涙を流したりしていました。

また講演後、指導員からは、様々な悩みや相談の声も上がりました。その一つ一つにじっくりと耳を傾けた片山先生は、このように応えました。
「指導員のみなさんが日々、試行錯誤しながらも、一生懸命子どもたちに向き合っている様子がうかがえて、とても嬉しく頼もしく思います。もちろん、今話を聞いただけで、すぐにこうすればいいという処方箋を提供することはできません。それぞれの学童の子どものことは、指導員のみなさんが一番よく知っています。大切なことは、失敗しても、上手くいかなくても、日々一生懸命子どもたちと、逃げずに向き合い続けることだと思います。そしてそれは、指導員のみなさん同士で話し合いを続けながら、チームとして取り組んでいってください。それこそが、私たち学童指導員の、決してかっこうはよくないけれど、素晴らしい仕事ですね。」

片山先生の研修に参加した学童指導員のみなさんの感想を紹介します。
・「経験豊富な講師の方からお話を聞けて、モチベーションが上がりました」
・「学童保育の現場にあったとてもいいお話でした。いつまででもお話を聞いていたいと思いました」
・「すぐにはなれなくても、片山先生のような指導員になれるように、少しずつ、指導員として成長していけたらいいなと思いました。」
・「実践例がふんだんに紹介され、とってもいい講演内容でした。感動しました。またぜひ来てほしいです」

最後に、今回の指導員研修実施にあたり準備段階から見られた”新しい動き”についてご紹介します。これまでの指導員研修は、講師による講演が中心で、その準備もSCJと講師の間で行っていました。しかし今回、ある地域では、指導員の先生が率先して準備段階から研修内容の作成に関わってくれました。研修内容の中に、指導員参加型のワークショップを盛り込もうと提案し、地域の指導員の皆さんにも声をかけ賛同してもらい、ワークショップが盛り込まれた研修会が、今回初めて実現されました。地域の学童指導員の貴重な意見交換の機会となりました。 


グループごとに意見交換を行う指導員。いたずらをする子どもへの注意の仕方、保護者との信頼関係の構築の仕方などについて意見が交わされました。

そのワークショップではまず、グループワークを行いました。「日々の保育において、困っている事例とその対応」について紹介し合うとともに、意見交換を行いました。そして、グループの代表者が話し合いの内容を全体で共有しました。それをもとに、講師よりフィードバックを受けました。


学童指導員の皆さんは、日々、子どもたちへの保育を通して、働く保護者を支えています。SCJでは今後も、学童指導員の皆さんへの支援活動に取り組んでいきます。

(報告: 遠野事務所 桜井良平)

 

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