日本/東日本大震災/子どもの保護(公開日:2015.07.29)
【岩手:学童(5)】岩手県にて“子どもの権利研修”と“虐待防止研修”を実施
6〜7月にかけて岩手県の5つの自治体で、放課後児童支援員等(旧:学童保育指導員)を対象に「子どもの権利研修」と「虐待防止研修」を実施しました。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)では、震災以降、学校再開後の子どもたちの放課後の居場所づくりの一環として放課後児童クラブ(通称:学童保育)に対するサポート事業を行っています。その事業の一つである「放課後児童支援員等(旧:学童保育指導員、以下指導員)研修」は、日々の保育に役立つ知識や技術を身に付けることができるようにSCJスタッフによる研修会やネットワークづくりの機会等を提供しています。
【1】SCJスタッフによる「子どもの権利」研修
(写真を通して視覚的に子どもの権利を確認)
(普段の会話を「傾聴」する取り組み)
「人は一人一人受け止め方が違う。子どもも同じ多様であることを再認識した。子ども目線で向き合うこと背中で話を聞かないようにしたいと思います。」(参加者の声)
6月17日(山田、大槌町合同)および30日(大船渡、陸前高田市合同)に「子どもの権利」をテーマに指導員研修を実施しました。山田・大槌町からは計20名、大船渡・陸前高田市からは計36名の指導員や行政担当者に参加し初めて子どもの権利研修を実施しました。SCJが提供する子どもの権利研修は、教材を使ったり、参加者同士が、一つのテーマを中心に意見交換をしたり、交流を図ったりしながら進んでいきます。「それぞれが考える“子ども観”」について、ペンをバトン代わりにリレー形式で書き出すこともあります。研修終了後のアンケートにて、研修前後の変化について聞いたところ「これからは子どもたちに今まで以上に耳をかたむけてみるよう心掛けていきたいと強く思いました」、「権利というワードを通して、学童の指導員はより子どもの身近で守っていく又はそうでなければいけない仕事なのだと再確認しました」とコメントがありました。普段の業務にとって、“子どもの権利”が身近なキーワードであることを感じる機会になったようです。
【2】専門家による虐待防止研修
7月7日(陸前高田・大船渡市合同)および8日(釜石市)に「子ども虐待防止」をテーマに指導員研修を実施しました。陸前高田・大船渡市は計30名、釜石市は計29名の指導員や行政担当者が参加しました。
研修の講師は、大船渡市にある社会福祉法人「大洋会」の刈谷忠先生。子ども虐待とは何かについてからその背景にあるもの、岩手県および陸前高田市や釜石市における子ども虐待の相談件数等、子ども虐待の対応に関する児童相談所や市町村の役割など、子ども虐待に関する様々なお話をして頂きました。また、日々子どもと接する指導員一人ひとりが「あれ?」と思ったらすぐ関係機関に相談することが重要であると子ども虐待の早期発見および相談の重要性も指摘されました。この点については、研修で配布したSCJ作成の子ども虐待防止のための冊子 でも述べています。参加者の方は、行政担当者も地元窓口の紹介をしてくれたため、関係機関についてイメージがついたことと思います。
研修後、参加者の皆さんからは、以下のような声が上がりました。
「子どもの小さな変化を見逃さないよう、指導員として子どもたちにかかわっていきたいと思った」(指導員)
「ちょっとしたことでも相談して良いということが分かり、安心できた」(指導員)
「保育士の前ではこういった研修はしたことあるも、学童保育の前で実施したことない。今回機会を貰ってよかった」(行政担当者)
2015年4月1日付で厚生労働省が示した運営指針にて、指導員の研修は自己研鑽として求められるようになりました。今後も各地域でこのような研修が開催され、指導員等の方々の学ぶ機会が担保されていくことを願っています。
(報告:遠野事務所 釜台、東京事務所 小島)