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日本/東日本大震災/子どもの保護
(公開日:2015.04.09)

【岩手・宮城・福島:学童(3)】「どんな体験も自分の糧にできるようになったことが、今回の震災で学んだ教訓です」『東日本大震災 学童保育指導員記録集』完成(2015.04.09)

 

「(3月11日震災時は)ほとんどの子どもが下校途中という最悪のシチュエーションの中で、全員が無事に家に戻れたのは奇跡でした。しかし、次の災害でもこのような結果になるとは思えません。私たち大人が色々なことを準備することも大切ですが、なにより大事なのは、子どもたち一人一人が、このようなとき(災害時)自分で考え、分からなければ、他の人に助けを求めることだと思います。震災後の避難訓練では、指導員が誘導し避難するということだけではなく『こんな時どうする?』『どこに逃げれば良いと思う?』という事を一人一人の子どもに考えるようにしています。『自分の命は自分で守る』をしっかり身に付けてもらうために・・・」(宮城県のある指導員の声)


セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)では、東日本大震災以降、子どもたちの放課後の居場所づくりの一環として放課後児童クラブ(通称:学童保育)に対するサポート事業を行ってきました。

また、これまで、学童保育や指導員に焦点をあてた当時の記録が無いことから、?東日本大震災発生時学童保育の現場で子どもたちを守るべく、学童指導員(以下、指導員)が果たした役割、学童保育が担った重要な役割を明確に示すこと、?学童保育施設における防災対策の重要性を発信する、という2つの目的のために、岩手・宮城・福島県内の学童保育施設へアンケートと聞き取り調査(※)を実施。3県の学童保育関係者の協力を得て、昨年、「東日本大震災 学童保育指導員記録集〜学童保育の現場で何がおきていたのか〜」「別冊 各学童保育現場からの事例」、が完成致しました。なお、本記録書では、多地域の放課後児童クラブの状況を記録として残すため、指導員の方々の“生の声”を多く引用することに努めました。



◆本調査の結果から「わかったこと」と「提言」◆

【わかったこと】
(1) 震災時に「子どもたちの安心・安全の確保」に向けた学童保育の役割が大きかったこと(今回、平日午後の発災だったため、学童へ向かう子どもの安否確認から避難まで指導員が役割を担った)

(2) その一方で、子どもたちの安心・安全を守るための災害時の備えが進んでいなかったこと(防災ずきん等基本的な防災備品の備え不足、防災マニュアルや避難訓練の不備や欠如、平時からの小学校や保護者との連携不足等が明らかとなった)

(3) 保護者から保育再開に向けて要望が高い一方で、困難があったこと(震災直後から勤務に戻る保護者の学童保育再開の切実な要望があったが、倒壊・破損学童の代替施設やライフラインの不在、スタッフ不足等で速やかな再開が非常に難しかった)

(4) 防災については、小学校との連携、行政主導の市内統一の対策などの取り組みは進んでいるとはいえないこと


【提言】
(1) 学童保育における防災対策の措置を進めること

(2) 学校や保育所相当の措置を目指す各学童保育の運営者は、平時より防災につながる取り組みを進めること(基本的な防災備品の整備、指導員が自らの判断でも子どもを守れる取り組み、学校・地域との連携強化を拡充する)

(3) 迅速な学童保育再開へ向けた公的支援の充実が必要であること(災害後、だれが責任を持って迅速に再開できる環境整備に取り組むのか、検討が必要)



◆第3回国連防災世界会議(WCDRR)での周知◆
先月宮城県仙台市にて行われたWCDRRのパブリックフォーラム会場や展示ブースにて、来場した参加者向けに本誌を配布致しました。「学童保育に特化した冊子は珍しいですね」と、興味を持った方からコメントを頂きました。

(WCDRR 展示ブースの様子)


★各データダウンロードは、こちらから★
⇒「東日本大震災 学童保育指導員記録集 〜学童保育の現場で何がおきていたのか〜
(全56ページ)
⇒「東日本大震災 学童保育指導員記録集 別冊 学童保育現場からの事例
(全61ページ)


本記録集に関するお問い合わせは、下記メールアドレスまでお願い致します。
pfa@savechildren.or.jp


今後は東北の学童保育関係者だけではなく、日本国内に向けて東北での教訓が活かされるよう発信していきたいと思います。


(報告:仙台事務所 鈴木)


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(※)岩手・宮城・福島県のSCJ支援地域の学童保育対象。アンケート232施設、聞取り29名の学童保育関係者の協力を得て完成。


 

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