日本/東日本大震災/子どもの保護(公開日:2012.07.06)
仮設団地と地域との交流〜お花見を通して〜(2012.7.6)
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下、SCJ)では、東日本大震災で被災した子供たちが遊び、学び、発達するための安全かつ保護的な環境づくりをめざしています。
その一環として、岩手県復興局・建築住宅課との連携・調整により、要望のあった仮設住宅を対象に仮設集会所の建設を実施してきました。2011年8月より現在まで、陸前高田市で8件、釜石市で1件の仮設集会所を設置し、子どもたちの居場所として活用してもらうよう、働きかけを行っています。
そのうちのひとつ、陸前高田市にある「堂ノ沢仮設団地」は世帯数34戸、入居者数73人(うち子ども9人)の比較的小規模の仮設団地です。
周囲を美しい山々と田畑に囲まれた静かな場所にあります。SCJ建設による集会所は2012年春に完成し、4月1日に住民の方に引き渡しが行われました。
堂ノ沢仮設では団地住民のあいだの絆を深めること、周辺地域に暮らすみなさんと交流をすることを目的に、自治会主催のイベントを行うこととなりました。桜のつぼみが膨らみ始めたころ、自治会長、住民のみなさんを始めSCJを含めた支援団体の担当者も加わった話し合いの場が設けられ、どのようなイベントにしたいかについて、活発な意見が出されました。認知症にやさしい地域支援の会は食材の買い出し、陸前高田ネットワーク連絡会は足りない備品の調達などにご協力いただき、無事に当日を迎えることが出来ました。
4月30日当日は暖かく、桜も満開を迎えて絶好のお花見日和となりました。
朝早くから住民のみなさん(特に女性陣)が力を合わせて準備を行い、炊き込みご飯、豚汁、お漬物、お惣菜など、おいしそうな手料理が手際よく準備されていきました。また陸前高田市ネットワーク連絡会よりたくさんのお肉の差し入れがあり、バーベキューも急きょメニューに追加!男性陣はテントの設置や火起こしなどに力を発揮し、会場準備は着々と整っていきました。
お母さんたちの腕の見せ所です 男性陣も負けていられません
豚汁完成!おいしそう~ 会場設営も無事完成
11時、堂ノ沢仮設からは約40名、地元からは約20名以上が集まり、お花見スタート!
まず、参加者がひとりずつ自己紹介を行ないました。震災からこれまでの経験や現在の心境を語り合い、みなさんひとりひとりがそれぞれのことばに耳を傾けていました。
女性陣が朝早くから準備をしてくださった、心のこもったたくさんの手料理は大好評!!「おかわり!」「おいしいね」という声があちこちから聞かれました。お酒や会話も進みにぎやかで楽しい雰囲気のお花見となりました。
子どもたちは、バーベキューの火起こしを手伝ったり、SCJが集会所に配布したおもちゃで遊んだり、元気いっぱい。おいしい手料理をほおばって、笑顔もいっぱいでした。「おばあちゃんがここに住んでるから、今日は遊びに来たんだ」という子どもたちの参加もあり幼児から高校生まで、子ども同士の交流も多く見られました。
おもちゃがたくさんあるな〜 お絵描きに夢中
満開の桜の下で楽しいひととき
堂ノ沢仮設団地の自治会が初めて企画した今回のお花見は、地元住民のみなさんとのよき交流の場となりました。自治会長は「お天気が良くて本当に良かった。こういうの、またやりたいね」とおっしゃっていました。
仮設団地の自治会が活発に運営されることや、地域の方々と友好的な交流が深まることは、温かいコミュニティーの形成を可能にします。子どもたちにとっての保護的な環境づくりは、周りの大人たちがつながってこそ実現するもの。今後も仮設と地域、子どもと大人の交流が深まり、良い関係を築いていけるためのお手伝いをさせていただければと思っています。
(報告:遠野事務所 藤井)