日本/東日本大震災/子どもの保護(公開日:2015.02.09)
【岩手:学童(1)】「岩手県沿岸地域で“学童保育現場に役立つ”学童保育指導員研修開催(2015.02.09)」
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)では、震災以降、学校再開後の子どもたちの放課後の居場所づくりの一環として学童保育(通称:学童)に対するサポート事業を行っています。事業の一つである「学童保育指導員研修」は、指導員が日々の保育に役立つ知識や技術を身に付けられるように他県よりベテラン学童保育指導員を招いた研修会やネットワークづくりの機会等を提供しています。
2011年から「遊び」や「防災」など様々な研修テーマを行政担当者や学童保育連絡協議会の協力を得ながら指導員研修を実施してきました。今回は、2014年10〜11月に岩手県山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市(※)内の全学童保育指導員を対象に行った“学童保育現場に役立つ”指導員研修2つの取り組みを紹介します。
【1】ベテラン学童保育指導員出向による実践経験に基づく研修
真剣にベテラン指導員の話しを聞く様子(中央:講師)
「(講師の話は)経験を踏まえての講演だったので、実践的な内容で良かった。(プロとして)仕事をすること。放課後の生活を豊かにすること。再認識しました。」(山田町)
大船渡市では「普段の子どもの様子を父母に伝える指導員の接し方」、陸前高田市「子どもを中心とした保育の組み立て方」、山田・大槌町「指導員間のチームワーク、職場作り」というテーマを学童保育関係者と調整。
「伝えることで親との信頼関係が築けていけるそのことで安心感のもてる生活を送れることが分かった。“だんだん”指導員になっていく。子供を嫌にならないということを自分に言い聞かせながら仕事を続けて行きたいです。」(大船渡市)
各自治体異なるテーマでしたが、講師の実践経験に基づく話を聴き、普段の保育を振返り、仕事に対して新しいものの見方を発見したという感想が多かったようです。
【2】SCJスタッフによる「子どもの権利」研修
ワークショップの中で各自「子ども」に対するイメージを共有中
「日々、忙しく動いていると、大人目線で判断したり、解決することが多い事に改めて気付かされました。」
釜石市では、初めて「子どもに寄り添う〜子どもの権利の視点から〜」というテーマで実施しました。普段耳慣れない「子どもの権利」について、普段の保育とどのように関連しているのか身近な事例を出しながら研修を実施。
「子どもの声をよく聞き、ありのままの姿を受けとめ、支えるということ、子どもの最善の利益を考えて日々の保育に努めたいと思います。」
研修後アンケートで、「研修の内容を保育内容に活かせそうですか?」と聞いたところ、参加者全員が「とてもそう思う」に印をつけていました。
他にも、アンケートからは「市内では数少ない研修機会のため嬉しい」といった声や、他学童保育との交流を望んでいるという声がありました。こうした声も行政等に届けて行きたいと思います。
学童保育指導員は、仕事を持つ保護者から子どもたちを預かり、保育を通して、家族を支えています。SCJでは、学童指導員が日々の保育に活かすことができるような、実践的な研修支援に引き続き取り組んでいきます。
(※)各自治体の学童保育運営形態は異なる(公設公営・・山田町、大槌町。公設民営・・釜石市、大船渡市、陸前高田市)。
(報告:遠野事務所 釜台、仙台事務所 鈴木)