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日本/東日本大震災/子どもの保護
(公開日:2013.11.29)

震災後の子どもたちの虐待予防に向けて〜被災地の方に聞きました〜(2013.11.29)

 

みなさん、このオレンジリボンのマークを見たことはありますか?


近年、ピンクや白など様々な色のリボンを象徴とした啓発活動が行われておりますが、オレンジリボンは“子ども虐待防止”の活動の象徴であり、虐待防止推進月間である11月では様々なところで目にした方も多いのではないでしょうか。

(厚生労働省による、児童虐待防止推進月間のポスター)



子ども虐待の背景には様々な理由がありますが、生活にストレス(経済的困窮や家庭内不和、育児負担などによる)が重なることによって養育環境への負荷が高まったり、親族や地域社会から孤立して子育ての支援者がいないこと等の条件が重なることによって、子ども虐待が発生しやすくなると挙げられています(※)

 

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは、今まで東日本大震災復興支援事業の一環として、以下のような団体とともに、子ども虐待の予防に向けた活動を行ってきました。


・虐待や性暴力などから自分を守るためのプログラムを提供する (CAPみやぎ)

・電話にて子どもの話に耳を傾ける (チャイルドラインこおりやま)

・養育環境の充実のための活動を行う (NPO法人みやぎ子ども養育支援の会、特定非営利活動法人子どもの村 東北、特定非営利活動法人子育て支援グループこころ、特定非営利活動法人子育て支援コミュニティプチママン、特定非営利活動法人ホームスタート・ジャパン)



ねてよりこうした活動の必要性は指摘されてきましたが、とりわけ震災から2年半たった現在こそ、被災が大きかった地域でのこのような取り組みをさらに充実させる必要があると考えます。私たちは、震災直後より復興支援活動を行ってきましたが、活動を実施する中で、子どもを取り巻く環境の変化や長期化する避難生活などのストレスを背景に、虐待のリスクが高まっているという懸念を示す声を現場で聞くことがありました。また、新聞等でも被災地における虐待が深刻化しているのではないかという報道を目にすることもありました。



一方、震災後2年半が経つ今でも、子どもを取り巻く環境がどう変わったかなど、被災地の状況を明確に示す調査は多くは行われておらず、実際の状況について知ることが難しいのが現状です。そこで、私たちは今年の69月にかけて、岩手県、宮城県、福島県を対象地として、「東日本大震災からの学び:災害後の子どもの育つ環境の変化と支援体制への影響に関する調査」を行いました。

以下の表に示す通り、岩手県、宮城県、福島県の沿岸地域の行政や学校、保育所、支援団体の方を対象にした面談による聞き取り調査および質問紙調査と、市民の方を対象としたウェブアンケート調査を下記の方法で行いました。


要保護児童支援に携わる専門職、健全育成分野で子ども・家庭に日常的に関わりのある民間団体、教育・保育現場や行政などの職員の方々 一般市民の方々
人数 約170名 約1,100名
地域 岩手県(主に陸前高田市)、宮城県(主に石巻市)、福島県(主に南相馬市) 岩手県、宮城県、福島県
質問方法 1)1〜2時間程度の半構造化インタビュー
2)質問紙調査
Web上のアンケート
質問内容 ・子どもの気になる状況
・気になっているが対応に苦慮している子どもの状況
・子どもの育ちを支える社会資源における変化
・子どもの育ちを支えるために必要な情報提供のあり方
・子どもがいる家庭への震災の影響
・子ども虐待の予防に向けた働きかけ
・地域における子育て支援に関する情報の普及・アクセス
・地域における子ども虐待に関する情報の普及・アクセス
・子ども虐待に関する知識・理解
・子育て支援や子ども虐待に関する社会資源


現在、この調査から得られたみなさまの声を分析し、報告書に取りまとめています。報告書の完成は来年初めを予定しておりますが、中間報告を20131214日に日本子ども虐待防止学会の分科会にて行います。

この調査については、今後も活動ブログにてお伝えしていきたいと思います。



(報告: 東日本大震災復興支援事業部 子どもの保護セクター)



(※)厚生労働省「子ども虐待対応の手引き」(平成25年8月 改正版)http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/dl/120502_11.pdf



 

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