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モンゴル
(公開日:2013.10.28)

「EVERY ONE キャンペーン」をモンゴルでも実施しました!(2013.10.28)

 

 日本の皆さん、こんにちは。モンゴル事務所の柴田です。
セーブ・ザ・チルドレンでは、5歳未満児の死亡率削減を目指す「EVERY ONE キャンペーン」を実施しています。特に10月23日は、世界67カ国の子どもたちが一丸となり、キャンペーンメッセージを世界のリーダーやメディアに向けて発信する日でもありました。私たちモンゴル事務所でも、記者会見を企画し、子どもたちと共にメッセージを発信しましたので、今回はその様子をお届けしたいと思います。


(記者会見の様子)

 「EVERY ONE キャンペーン」でセーブ・ザ・チルドレンが重点を置いて取り組んでいる国々は、乳幼児死亡数・死亡率の高い国々で、幸いなことにモンゴルは含まれていません。モンゴルの5歳未満児死亡率は、1993年に出生1,000人あたり60人近くありましたが、その後、急速に改善されました。
しかし、もう少し詳細を見てみましょう。下の表をご覧ください。地理的な条件により、乳幼児死亡率にはかなりの差があることがわかります。


(ユニセフ:Child Development report 2012-Mongolai Multiple Indicator Cluster Survey より)

*ソム:州内の行政区分。スムのセンター人口は、およそ2,000人。通常、スムのセンターには診療所、幼稚園・小学校、時に中学校まであります。

 地方に行けば行くほど、新生児死亡率や5歳未満児死亡率が高くなっているということがわかります。首都からの距離により、子どもの生存には不公平さが見られるということです。そこで私たちモンゴル事務所はこの差に注目し、この記者会見では、なぜ地方では、子どもの死亡率が高くなるのか、それは何が原因なのか、そしてその原因を取り除くためにすべきことは何なのかということを、子どもたち、ジャーナリスト、政策決定者と共に考える機会にすることにしました。

 まず、国家危機管理庁のナムスレージャフ氏に、子どもの死亡や事故の原因について語っていただきました。


(インタビュー受けるナムスレージャフ氏)

 「5歳未満児の死亡の主な原因は、下痢、肺炎などの呼吸器感染、はしかや低体重が原因によるものなどですが、これらは、予防接種をはじめとする様々な政策により減少しました。残るは、子どもの怪我や事故です。死亡までに至らない子どもの怪我や事故も、本当に多くみられます。地方やウランバートル市郊外では、家庭で起こる事故がとても多くあります。
 例えば、穴を掘っただけの簡易式の屋外トイレや開放式の井戸への落下事故があります。専門家でなく家庭で行った配電設備が不適切であったため感電する事故も多いです。
 またゲルに住む遊牧民やウランバートル市郊外の人々は、特に冬場に、ストーブやスープなどの熱湯によるやけど事故が多くあります。ゲルの真ん中には暖を取るためのストーブが設置されていますが、冬場は24時間火を燃やし続けるので、当然事故のリスクが多くなります。首都では、近年道路状態が改善されましたが、皮肉なことに交通事故が増えました。
 また冬場は凍った道で滑って骨折するケースなど、家庭外で起こる事故が増えています。」

 記者会見ではこの後、国家子ども局・子ども保護部長のジャブザンフー氏からは、就学前教育のアクセスの不公平さを、エルデネンチメッグ国会議員からは、家族法やその他の子ども保護に関する法律の改正の必要性を、社会的な問題をいつも取り上げることで有名なジャーナリストのゾルジャガル氏からは、親としての育児責任の認識の高まりの必要性が訴えられました。

(写真中央がエルデネンチメッグ国会議員。右がジャブザンフー氏)

 これに対して、子どもたちの代表として参加したアマル・バイスガラン君(16歳)は、こんな風に話してくれました。


 「僕は2008年からセーブ・ザ・チルドレンの活動に関わりました。2009年に立ちあがった『保護クラブ』の初代メンバーの1人です。一番の思い出は、2010年10月、ジュネーブで行われた国際連合の子ども人権委員会に陳情するための意見書作成に当たり、自分たちの住む地域を回って調査活動をした時のことです。あの頃の僕は、ある障害を抱えていて対人関係に大変消極的になっていました。学校も休みがちでした。でもこの活動をきっかけに、子ども同士で話し合う事の素晴らしさを実感しました。僕にも何かできるんだ、という自信が生まれました。
 このような記者会見で僕が発言していることは、僕自身の意見というよりは、思いをうまく言えない小さな弟や妹たちの代弁だと思っています。
 小さな子どもたちは、お父さんやお母さんともっと遊んでほしいと思っています。一緒に時間を過ごしてほしいと思っています。たとえお兄さんやお姉さんが家にいたとしても、両親なしで家にいることは寂しいのです。
 もっと多くの子どもが幼稚園に行けば、家庭での事故数は減るかもしれません。大人が仕事で忙しいこともわかっています。でも家庭で起こる事故は、お父さんやお母さんの少しの配慮で防ぐことができるものがたくさんあるので、少し子どもたちに目を向けてほしいと思います。そしてそれ以上に、もっとただ単純に、子どもたちは、家族みんなで過ごす時間がたくさんあったらいいな、と思っているのです。それをわかってほしいな、と思います。」

(保護クラブの詳細は以前のブログでも紹介しました。
http://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=5319

 この記者会見には、18のテレビ局と、3つの新聞社が駆けつけ、テレビや新聞だけでなく、ホームページやオンラインニュース、フェースブックにも掲載されました。

 5歳未満児死亡数の削減に一定の成果を上げたといわれるモンゴルでは、子どもの死亡原因について普段は語られることはあまりありません。しかし今回、多くのメディアが集まり関心を寄せてくださいましたことに感謝の意を表すとともに、私たちは引き続き、語られることの少ない問題や子どもたちの声にも耳を傾け、社会に発信していきたいと思います。

これからもご支援のほど、よろしくお願いします。

 (報告:モンゴル事務所 柴田)


(記者会見に参加した子どもたちや政策決定者たち)

 

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