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モンゴル
(公開日:2015.08.03)

【「学びの基礎力」プロジェクト2】夏休み中が勝負!

 
皆様、こんにちは。モンゴル事務所の岡本です。ウランバートルでは7月に入ってから夏色が増し、気温が35度を超える日もあり、本当にここはモンゴル?と疑うこともあるくらいです。

さて、本ブログでは、今年の3月末に開始した「新入生の『学びの基礎力』育成に向けた学校体制強化プロジェクト」の進捗状況並びにプロジェクトチームのスタッフ紹介を行いたいと思います。

本事業は、大半が元遊牧民からなる貧困層が多く住むウランバートル市内中心地の周辺(通称ゲル地区)において、新入生が「学び方を学ぶ」といった、初等教育で必要とされる様々な学びに対してスムーズに適応できるための体制作りを、政府や地方行政組織と協力しながら、教職員・学校職員・保護者が一丸となって取り組めるようにするための支援です。主な活動内容は、「学びの基礎力」に関する(1)教職員の能力強化と実践、(2)学校組織体制の構築、(3)保護者への啓発や学校と保護者の連携強化、そして(4)事業完了後も政府レベルで活動が持続される体制を整えるための政策提言といった、4つの柱から成り立っています。(事業のさらに詳しい内容は、「事業の署名式」の記事をご覧ください)

農村部から移住してきて、今まで就学前教育を受ける機会のなかった元遊牧民の子どもたちが多い同地区の新入生が抱える問題としては、「農村部から都市部への移行」に加えて、「慣れない学校生活への移行]も同時に経験するため、2重の適応が必要となるという点です。また、就学前教育を受けていない新入生は、集団行動がとれない、机に座って話を聞くことができない、鉛筆の上手な持ち方が分からない(または適度な筆圧に必要な筋肉が発達していない)等といった困難を抱える傾向にあるため、授業についていくのが難しくなります。例えば、鉛筆に関しては、お箸やスプーン、はさみなどと同様、正しい握り方が分かっても、慣れないうちは力が入らずに文字や数字が書けないなど、意外なところに大きな課題が待っています。そうした問題に対応策がとられないままでいると、社会スキルや表現力、学力における格差が拡大し、長期的には心身の発達や貧困問題にもつながってしまいます。今回の「学びの基礎力」プロジェクトは、そうした格差を少しでも無くすために開始されました。

モンゴルでは6月始め〜8月末まで長い夏休みなので、9月から始まる新学期に備えて、子どもたちは心と体を休めています。一方我々プロジェクトチームは、「この夏休み中に、できることを少しでも多く進めて新学期後の準備を整えるぞ!」と、気合いを入れて仕事をしています。

事業開始からこれまでのおよそ4カ月間の主な実施活動としては、
・事業1年目の対象校(12校)の選抜
・事業を政策レベルで議論する諮問委員会の設立(参加者は教育省や事業関連団体から)
・事業を実践レベルで議論するワーキンググループの設立(参加者は対象校の教職員や
   対象3地区役所教育スペシャリスト)
・事業ロゴ作成(このブログの最後で紹介)
などが挙げられ、現在は、9月の新学期開始後に実施するトレーニング用の教材開発に取り組んでいます。

      
    事業対象校選抜のための学校訪問         ウランバートル市第117学校の子どもたち


諮問委員会会議の様子(セーブ・ザ・チルドレン モンゴル事務所にて)


事業ワーキンググループ参加者(モンゴル・日本人材開発センターにて)


そして、そんな気合の入ったプロジェクトチームのモンゴル人スタッフの紹介と、それぞれのメッセージを以下に記載します。

名前:ツォルモン(通称「ツォモ」)
役職:プロジェクト・コーディネーター

皆さんこんにちは。プロジェクト・コーディネーターのツォルモンです。活発なメンバーばかりのこのチームの中にいることを嬉しく思っています。本事業は教師、学校職員、保護者、そして何より子どもたちの全てが関わって「学びの基礎力」促進という目的に向かっています。小学校1年生という大事な時期に、子どもの経験が充実すればするほど、その後より明るい将来を過ごすことができると思っています。本事業が、これから3年間、そしてその後もずっと、モンゴルの多くの子ども達のためになることを祈っています。


名前:プルーブ・オチル(通称「プージェ」)
役職:プロジェクト・オフィサー(教員養成担当)

こんにちは。プルーブ・オチルです。教員養成の仕事を行っています。これまでモンゴルの様々な教育セクターで働いて経験を積んできました。更に、私は本事業の申請準備に関わっており、ゲル地区に住む貧困家庭の子どもを支援することはとても重要なものだと思っています。そのような背景からも、本事業が採択され、実際に活動を実施できていることを嬉しく思います。このプロジェクトをきっかけに、教師への技術的・精神的なサポートにつながり、たくさんの子ども達を支援できることを願っています。


名前:ムンフデルゲル(通称「ムギー」)
役職:プロジェクト・オフィサー(保護者・コミュニティ担当)

皆さんこんにちは。保護者・コミュニティ担当のムンフデルゲルです。私は3児の母で、小学校教師の経験もあります。長男はこの6月に小学校1年生を終えたばかりで、次男は今年の9月に小学校に入学するため、新入生の「学びの基礎力」の大切さを理解しているつもりですし、私にとっても重要なものです。子どもたちの明るい将来は、「学びの基礎力」にかかっているので、このプロジェクトがモンゴルの子ども達を支えるものだと信じています。チームの皆はとても優しく頼りがいのある人たちなので、すばらしい成果を出せると思っています。


名前:オユントングラク(通称「トンガ」)
役職:プロジェクト・オフィサー(学校組織体制の構築)

皆さんこんにちは。学校組織体制の構築担当のオユントングラクです。私はこのチームの一員であること、そして自分の国の子ども達の将来に関わる仕事ができることを誇らしく思っています。このプロジェクトを通して、学校組織の構築、学校と地方行政組織との連携、教員養成、保護者の参加など様々な角度から新入生の学びを促進できるものだと信じています。


それでは、最後に事業ロゴの紹介をします。
「1つのイメージは1,000の言葉に勝る」ということで、ロゴを見ればその事業内容が分かるようなものにしようという目標を掲げて、特に以下の3点を意識して作成しました。
・ ゲル地区に住む新入生が学校までの橋(移行を象徴)を渡っている。
・ その橋を事業関係者(教師・学校職員・保護者)がしっかりと支えている。
・ 何より皆が笑顔である。
それらを網羅して、デザインのやり直しを何度も繰り返して完成したのが以下のものです。

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(ご覧になる前に頭の中でドラムロールを鳴らしていただければ幸いです。)
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実はこのロゴ、「青い空と、登場人物の表情がモンゴルらしくてしっくりくる。」と、モンゴルの方から好評です。このイメージを常に意識しながら、プロジェクトチーム一同頑張っていきますので、引き続き、皆様の温かいご支援のほど、宜しくお願い申し上げます。

   
             楽しく働くのが一番                           皆さん、よろしくお願いします。

本ブログ記事で紹介した事業は、皆さまからのご支援と、外務省・日本NGO連携無償資金協力の助成金を受けて実施しています。

(報告:モンゴル事務所 岡本 啓史)

 

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