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モンゴル
(公開日:2021.10.15)

【モンゴル 教育支援】SNSを使用した啓発キャンペーン「すべての子どもが、それぞれの夢と希望を持っている」

 
セーブ・ザ・チルドレンは、多様なニーズを持つ子どもたちが質の高い教育を受けられるよう、教育環境の整備を目指し、さまざまな支援活動を展開しています。モンゴルでは、2018年3月から3年間、小学校を対象とした「誰一人取り残さないインクルーシブ教育推進事業」を実施しました。今回は、2020年に引き続き、2021年2月から3月に実施した、ソーシャル・ネット・ワーキング・サービス(SNS)を活用した啓発活動「すべての子どもが、それぞれの夢と希望を持っている」をご紹介します(2020年のキャンペーン報告は、こちらをご覧ください)。


非就学児であった特別なニーズを持つ子どもが、当事業の取り組みを通じて家庭学習する様子。
姉が妹の学習を支援している。(2020年5月)

啓発キャンペーンの背景
セーブ・ザ・チルドレンは、インクルーシブ教育の実現を通し、障害の有無、ジェンダー、言語、能力、宗教、国籍やその他の特徴に関わらず、すべての子どもが等しく学びの機会に参加し、ともに学び、可能性を伸ばすことができるようになることを目指しています。本事業を通し、教職員の能力強化や保護者、子どもたちに対する働きかけを行ってきました。その結果、事業対象地ではインクルーシブ教育が少しずつ浸透してきています。

以前は、保護者が障害のある子どもを隠したり、学校に通わせないことも多くありましたが、事業開始以降、教員、保護者、コミュニティの人々、子どもたちの意識が徐々に変わり、それまで教育を受けることができなかった子どもが学校に行くことができるようになりました。また、特別なニーズを持つ子どもが生涯学習センターから通常学校へ編入するケースも増えました。

一方、未だに障害に対する理解や、インクルーシブ教育への理解がモンゴル全土に広がっているとは言えません。たとえば、セーブ・ザ・チルドレンが今年3月から実施している後継事業の対象校に対して行った調査によると、「自分の子どもに障害があると診断されたくないため、そのための検査を子どもに受けさせたくない」という考え方や、「障害のある子どもは特別支援学校に行った方が良い」という考え方が保護者の間で未だ根強く存在することがわかりました。

また、ユネスコの調査[1]によると、モンゴルでは、2019年の時点で、障害のある子どもの22%にあたる2,405人が未だ学校やその他の教育施設に在籍しておらず、教育を受けることができていません。

このような課題を解決するための手段のひとつとして、セーブ・ザ・チルドレンは、モンゴル全土の人々に対する啓発キャンペーンを実施することにしました。

啓発キャンペーンの概要
SNSの利用が盛んなモンゴルでは、子どもから大人まで国民の9割以上が、フェイスブックを日々の情報収集や友だち・職場の同僚とのコミュニケーション、活動の発信などあらゆる場面で活用しています。

そのため、全国に「すべての子どもが、それぞれの夢と希望を持っている」というメッセージを発信し、特別なニーズを持つ子どもたちを教育や社会へインクルージョン(包摂)していくことの重要性について理解を深めるために、セーブ・ザ・チルドレンモンゴル事務所の公式フェイスブックを介した啓発キャンペーンを展開しました。



2019年から3年連続で使用した啓発キャンペーンのロゴには、「みんなちがって、みんないい」という想いを込め「ウールウール(人それぞれ違う)」というモンゴル語の韻を踏んだメッセージを入れました。

ロゴのデザインは毎年キャンペーンのテーマに沿って少しずつ変えており、今年は、チョウのように重ねた手をモチーフに、「すべての子どもの夢が空に羽ばたきますように」という願いを込めました。

キャンペーンの一環で作成したポスターでは、特別なニーズを持つ子どもの明るく前向きな未来を描くことを目指し、それぞれの子どもの家族と相談してポスターに載せるメッセージを考えました。



また、視聴者が映像を通してコンセプトを実感できるよう、以下4つの動画を制作し、発信しました。


動画「ムンクジンのストーリー」 (英語字幕版はこちら

このキャンペーンを担当したモンゴル事務所のスタッフは、動画を制作したときの思い出を教えてくれました。
「これらの動画の撮影を行ったのは、モンゴルで新型コロナウイルス感染症による厳しいロックダウンが解除された直後でした。そういった難しい状況であるにも関わらず、動画に登場する子どもたちや家族は、快く撮影に参加してくれました。私は、ムンクジンさんの家族に特に感銘を受けました。動画に登場するように、ムンクジンさんのお母さんはとても一生懸命な強い女性で、あらゆる形で娘さんを支えていました。私は、完全に彼女に触発されました。」


動画「すべての親や保護者たちへ、ありがとう」(英語字幕版はこちら

■その他2つの動画は下記リンクから
動画「あなたの手から、子どもたちの可能性を広げていきましょう」
https://www.youtube.com/watch?v=4e2RLfezgcs(日本語字幕版)
https://www.youtube.com/watch?v=mHUzvzcl-fM(英語字幕版)

動画「子どもたちが充実した人生をおくるチャンスと希望を」
https://www.youtube.com/watch?v=WdOIH1gqASA(日本語字幕版)
https://www.youtube.com/watch?v=4JZt3gfIZvk(英語字幕版)

啓発キャンペーンの反響
啓発キャンペーン実施期間中、セーブ・ザ・チルドレン モンゴル事務所のフェイスブック上に発信したコンテンツのリーチ数は計101万743回、「いいね」などのリアクションは1万3,937回、コメント数は3,857件にのぼりました。非常に多くの反響があり、社会に広く「すべての子どもが、それぞれの夢と希望を持っている」というメッセージが届いたと感じています。

また、これらの動画に対し、フェイスブックには次のような、あたたかいコメントが寄せられました。
「人々はいつも障害のある子どもたちを支え、彼らの心を愛と幸せで満たすべきです」
「全力を尽くして障害のあるわが子を支える素晴らしい、強い保護者を見ることができてうれしく思います。家族が互いに感じている愛を見て、泣いてしまいました」
「素敵な動画!『子どもはそれぞれ違い、それぞれの夢を持っている』というのは本当ですね」

「すべての子どもが、それぞれの夢と希望を持っている」というメッセージが、モンゴルから日本を含む世界中に発信され、より多くの子どもたちが学校に安心して通い、学ぶことができ、そして自分の夢を実現することができるよう、今後も、モンゴルでインクルーシブ教育推進事業を継続していきます。

本事業は皆様からのご寄付と、日本NGO連携無償資金協力の助成を受けて実施しています。

(海外事業部 モンゴル駐在員 松本ふみ)

[1] UNESCO, ‘Education in Mongolia, Educationpolicy review report’, 2019.




 

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