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モンゴル
(公開日:2017.05.17)

【モンゴル 寒雪害「ゾド」】 国連と協働で遊牧世帯への支援を実施

 
セーブ・ザ・チルドレンでは、2年連続で発生したモンゴル特有の寒雪害ゾドで被災した遊牧世帯にさまざまな支援を行っています。3月には、国連中央緊急対応基金(United Nations Central Emergency Response Fund/CERF)と、国際連合食糧農業機関(FAO)と協力して支援を行いました。

3月後半に、首都ウランバートルから西へ500キロに位置するアルハンガイ県の8郡で、家畜保有数が少ないなどの理由から最も脆弱な状態に置かれている1,072の遊牧世帯に、飼料等を含む家畜用緊急パッケージの配布を実施しました。ウランバートルでは春の兆しが見えてきたこの時期、アルハンガイ県では大雪に見舞われました。気温が低く、雪も激しく降っていたため、幹線道路以外で、郡と郡を結ぶ舗装されていない道路は、政府によって通行が一時的に禁止されるほどでした。


わだちを頼りに雪道を移動する(アルハンガイ県)


家畜の生存は遊牧世帯の生活を大きく左右します。セーブ・ザ・チルドレンが物資を配布するとき、遊牧民は配布地点までオートバイでやってきたり、何人かでトラックを借りたりして、配布物資を遠隔地にある自分たちが暮らすゲルまで運んでいきました。私たちが実施する事業ではそのような費用も支援しました。


物資配布の様子(アルハンガイ県)

配布後には、1,072世帯のうち無作為に選んだ216世帯を対象に、生活状況に関して聞き取り調査を実施しました。調査によれば、216世帯のうち120世帯(対象世帯の55.5%)で何らかの家畜をすでにゾドで失っていたことが判明しました。特に出産を控えた家畜や生まれたばかりの赤ちゃんの家畜が、死んだ家畜の90%以上を占めていました。羊やヤギが死んだ家畜の大半を占めていますが、牛や馬も死んでしまいました。

調査を実施した世帯のうち、およそ93%に該当する世帯では、昨年のうちに干し草の貯蔵を行っており、23.1%では家畜用の飼料も準備していました。しかしながら、2年連続でゾドが発生したことは遊牧民にとって、大きな打撃となっています。

家畜用の飼料を購入して貯蔵しておくことで、家畜の死や衰弱は一程度防げますが、貯蔵しておく施設がなかったり、家計が厳しかったりするため、なかなかうまくいかないという課題があります。事実、調査対象世帯のうち50.4%の世帯で何らかの借金を抱えていることが判明しました。他方、家畜や畜産物の売り上げも芳しくなく、82.4%がこの点を最大の課題と考えています。


セーブ・ザ・チルドレンでは、1年前の2016年4月中旬から後半にかけても、今冬と同様に国連と協働で、ゾド被災者支援活動を実施しました。その際も、地元行政局や国際NGO等と協力しながら、アルハンガイ県の3郡とバヤンホンゴル県の9郡に暮らす、1,371の脆弱遊牧世帯に対して、食料(小麦粉、米、食用油、砂糖、塩、茶等)の配布を行いました。


支援食料を受領した男性(2016年4月、バヤンホンゴル県)

寒雪害ゾドの影響を受けた、多くの遊牧世帯は経済的な困難を抱えて生活しています。そのしわ寄せは残念ながら子どもたちにも及んでしまいます。収入源である家畜を優先するため、子どもの教育にかかる費用、具体的には、制服やノート等の文房具、書籍等の支出を削らざるを得ないためです。セーブ・ザ・チルドレンでは引き続き、教育分野を中心にさまざまな支援を行うことで、寒雪害ゾドがもたらす負の影響が中長期的に子どもたちに及ばないよう努めていきます。

海外事業部 モンゴル担当:紺野誠二

 

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