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モンゴル
(公開日:2020.08.18)

【モンゴル 教育支援】モンゴル初の分かりやすいイラスト入り教育指導本

 
モンゴルでは、多様なニーズを持つ子どもが学ぶことができる教育環境の整備を目指し、2018年3月から「誰一人取り残さないインクルーシブ教育推進事業」を実施しています。今回は、2020年3月に発行された、モンゴル初となるイラスト付きの分かりやすい、教師用の教育指導本の出版についてお伝えします(事業の詳細はこちら)

モンゴルでイラスト入り教育指導本の出版
2018年11月に、特別支援教育専門の教授との打ち合わせのためにモンゴル国立大学を訪れた際、学習障害や発達障害についての特徴や対処法について、専門用語ではなく分かりやすい言葉や絵を用いて解説された本が、その教授の本棚に並んでいるのが目に留まりました。これらはすべて日本語で書かれた書籍であり、日本と繋がりのある教授が日本で手に入れた本でした。

当時、事業を進めていくなかで教師から、「インクルーシブ教育の意義や特別な支援が必要な子どもの大まかな支援内容は分かったが、具体的にどのように勉強を教えたり接したりすればいいのか分からない」という声が寄せられていました。モンゴルにも特別支援教育について書かれた本はありますが、専門的な内容のものがほとんどでした。こうした状況を受け、私たちは、モンゴルでも、分かりやすい言葉とイラストを使用して書かれた特別支援教育についての解説本の出版に向けてプロジェクトを開始しました。

モンゴル語翻訳チーム始動
出版に際しては、検討を重ねた結果、事例が豊富に紹介されモンゴルの教育現場でもすぐに応用できると考えた日本語の書籍『教室でできる特別支援教育のアイデア172 小学校編(シリーズ教室で行う特別支援教育)』(月森久江(編集)、図書文化)を翻訳することにし、2019年12月からモンゴル国立教育大学と連携して翻訳チームを立ち上げ、モンゴル語訳を開始しました。

翻訳の過程で、原書のなかでモンゴルの学校文化に当てはまらないものは、著者の許可を得て変更や削除をしました。例えば、「漢字の効果的な教え方」についてはモンゴル語で使用する「キリル文字の効果的な教え方」に変えました。また、「学校での掃除の時間」について解説しているページは、モンゴルの学校ではそうした活動がないため削除しました。このようにして、モンゴルの学校文化に合った、モンゴル語版の本の翻訳が進んでいきました。


翻訳チームのリーダーであり、モンゴル国立大学特別教育専門家・教授オドゲレル氏(写真中央)は、
5人から構成された翻訳チームを精力的に率いてくれた。左側のピンクの表紙の本は日本語の本で、
オレンジの表紙の本は今回翻訳をしたモンゴル語版(2020年3月撮影)。

そして、2020年3月にモンゴル語版1,000部が発行され、事業の対象となる首都ウランバートル市、ウブルハンガイ県とホブド県の公立学校や生涯学習センターに配布しました。


セーブ・ザ・チルドレン モンゴル事務所スタッフ バダムツェツェク(写真右端)が、
首都から西に約1,500kmに位置するホブド県の学校に本を届けたときの様子(2020年3月撮影)。

本を受け取った教師からは、「普段教室で起こるさまざまな出来事に対して、クリエイティブな新しい方法で対処する方法が書かれていてとても参考になった」、「このような実践的な本がモンゴル語に翻訳されて、とてもうれしいです。感謝しています。」という声が寄せられました。また、著者の月森氏からは、「私の本が遠いモンゴルで翻訳されたことをうれしく思います。多くの子どもたちや、指導者に役立つことを願ってやみません。」というメッセージが届きました。

モンゴルでの新型コロナウイル感染症対策
モンゴルでは新型コロナウイルス感染症の予防対策の一環で、今年1月から新学期が始まる9月まで休校の予定です。休校期間中に、教師がこの指導書から具体的なアイデアを学び、個々のニーズに合った適切な支援につながる環境を整えていくことが期待されます。モンゴル語版作成にあたって、著者や出版社、編集部の皆さんをはじめ、日本とモンゴルで多くの方の協力をいただきました。今後も継続して事業の様子をお伝えしていきます。

本事業は皆さまからのご寄付と、外務省・日本NGO連携無償資金協力の助成を受けて実施しています。

(報告:モンゴル駐在員 大場 ありさ)

 

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