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モンゴル
(公開日:2012.09.17)

【幼稚園プロジェクト(5)】モンゴルの幼稚園は、なぜ先生にもやさしくないの?(2012.09.17)

 
日本の皆さまこんにちは。モンゴル事務所で広報を担当しているナラントヤ(2011年6月1日のブログで紹介)です。

 


(ナラントヤ: 事務所の壁一面に写真を並べ、スタッフにやさしい職場環境をつくるためにも貢献しています!)


シリーズで「子どもにやさしい幼稚園」をつくるため、「先生にやさしい(環境を持つ)幼稚園」を推進する事業を紹介していますが、私も広報という立場でこのプロジェクトに関わっています。
特に前回のプログで「幼稚園と保護者の関わり」を促すためにさまざまな活動をしていること、その1つに保護者会を紹介していることをお話しましたが、その他に、「保護者や地域への教育・広報活動」も行っています。それは、「子どもの教育は、幼稚園や学校ではなく、まずは家庭にあり、そしてその後は幼稚園や学校と一緒に行う必要がありますよ。」ということを保護者の皆さんに知ってもらいたいからです。
そのために私たちは、教育カレンダーやポスター、パンフレットなどを作成し、いろいろな広報活動を展開しました。今回はその中でも、私たちの自慢の作品の1つである「テレビ番組」を紹介したいと思います。

 

             
  (幼児教育ポスター)


(事業ニュースレターNo.1:  PDF javascript:nicTemp(); )  


                            (事業ニュースレターNo.2:  PDF javascript:nicTemp(); )

テレビ番組は15分間で、4幕に分かれていますが、全てポジティブ・ディシプリンで伝えたいことをテーマに取り上げました。
「子どもをストレスのはけ口にしないで!子どもの話に耳を傾けて!発達段階に応じた子どもの気持ちを理解して!体罰で解決するのではなく、長期的な目標を据えて子どもを導いて!温かさを与えて!」といったテーマで、番組ディレクターの助言を得て、幼稚園の先生たちがストーリーを考えました。
今回はその中で、第4番幼稚園の先生7人によって演じられた第3幕目「聞いてよ!」に字幕を付けました。1分半と大変短いので、ぜひご覧ください。

             


※ 映像下側の操作バーに「cc」と表示されている方は、左クリックしていただけると字幕が表示されます

いかがでしたか?本当に「日常よくある場面」を描いていると思いませんか?
今回あえて、登場人物として「人形」を使いました。子どもたちは人形劇が大好きです。でも大人で「人形劇が好きです。」という人はあまりいません。「人形劇」に限らず、大人になると子どもの気持ちを忘れてしまいます。この番組を見る保護者の方々に、人形劇を通じて、自分が子どもだった頃の気持ちを思いだしてもらいたいと思いました。子どもの立場に立って考えられる大人になってほしいという願いを込めました。
さてさて、このテレビ番組。8月27日と29日の夜8時30分というゴールデンタイムに、モンゴル教育テレビで放映されました。実際に自分の人形劇をテレビで見た第4番幼稚園の先生たちに、感想を聞いてみたところ、セレンゲ園長先生がこんなことを話してくれました。

 



(第4番幼稚園のセレンゲ園長先生)





「出演者の先生は本当に嬉しそうに話していました。テレビで、自分が教育者として堂々と語ることができたことで、教育者として自尊心を高めたように感じます。幼稚園の先生は、専門性もなく社会的に低い立場の職業と見られるところがあり、先生自身も卑下するところがあります。」
モンゴルでは歴史的背景もあり、一般に「幼稚園の先生なんて誰でもできる。」という偏見があります。現在は、4年生大学卒業の資格がいる専門職ですが、未だに専門性の低い職業と見なされている傾向があります。その専門性が認められ、尊敬されなければ、保護者は先生の話すことに耳を貸さず、良い関係を築くことはできません。だれでも「医者」という専門性を認めるからこそ、身体に異常を感じた時、相談にいくのでしょうね。育児も教育も同じです。またこんなことも話していました。
「職員同士仲良くなり細かい揉め事が少なくなったように思います。今まで、先生間でコミュニケーションを取ることも少なかったのですが、これを機会に自分たちを“人形劇チーム”と呼ぶなど、チームワークがまとまってきたように感じています。9月1日の始業式には、保護者を前に実際に演技すると、人形劇チームは準備に大忙しです!」



(第4番幼稚園の人形劇チーム)



これも大変うれしい成果です。先生と保護者の関わりを促している間に、先生と先生の関わりも促すことができました。

さて、このテレビを見た保護者の方はなんと言っているでしょうか?
第4番幼稚園に3歳のお子さんを通わせているお母さんに聞いてみました。
「この人形劇をテレビで見て、“わたしの先生がでている!”と、私の娘が大変喜んでいました。私も、“先生は教育のプロなんだな〜”と改めて感動しました。昨年から先生の態度がとても変わったことを感じています、特に、コミュニケーションが取りやすくなりました。それは、この“ポジティブ・ディシプリン”を進めているからということがわかりました。私たちの幼稚園の先生が“ポジティブ・ディシプリン”に取り組んでいることをとても誇りに思っています。私も、先生からもっと“ポジティブ・ディシプリン”について、勉強したいと思います。」
 


(9月1日の始業式で、保護者の前で演じる第4番幼稚園の先生たち。
タイトルは「理想の子どもたち」)




引き続き、テレビ番組による広報活動を行う予定で、今いろいろ考えています。またこのプログでいずれ紹介できればと思っています。お楽しみに!

 (報告:モンゴル事務所 ナラントヤ)
 


                      (9月1日の始業式で、園児と一緒に演じる第4番幼稚園の先生たち)


*この「子どもにやさしい幼稚園推進」プロジェクトは、外務省・日本NGO連携無償資金協力の助成金により実施されております。


 

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