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モンゴル
(公開日:2015.11.16)

【「学びの基礎力」プロジェクト4】特別ルール付きの伝言ゲーム

 
皆様、こんにちは。モンゴル事務所の岡本です。こちらウランバートルでは、すでに最高気温が氷点下になる日々が続いています(モンゴルの方によると、それでもまだ真冬ではないとのことですが…)。

そんな中、モンゴル事務所で実施している「『学びの基礎力』プロジェクト」の活動の目玉である研修がやっと始まり、スタッフ一同、以前にも増して外に出て活動する機会が増えました。


          待ちに待った研修教材の一つ

まず、同プロジェクトを簡単にまとめると、以下の図のようになります(プロジェクトの詳細は、本事業開始にあたり行われた署名式の記事をご覧になってください)。




この図の?〜?すべての分野に研修が盛り込まれているのですが、各分野の一連の研修の流れは、モンゴルにもある「伝言ゲーム」に特別ルールを付けたものにたとえられます:
(1) セーブ・ザ・チルドレンによる研修教材作りが伝言の始まりだとすれば、 (2) プロジェクトチーム主体による、教育主任や学年主任を対象にしたトレーナー研修に続き、 (3) 同トレーナーによる、小学校教師全員を対象にした一般研修、そして (4) 各学校が独自に実施する校内研修を経て、 (5) プロジェクト対象校の子どもに届くという流れです。図にすると、以下のようになります。



(3)の一般研修と(4)の校内研修の間にある「特別ルール」というのは、普通の伝言ゲームにはない、「伝言の内容を少し変えてもいい」というものです。一般研修までは、プロジェクトで開発した教材研修に忠実に沿って行うのですが、一般研修が終わった後は、それぞれの学校が自分たちのニーズや現状に合ったやり方で、研修内容を噛み砕いて実習を行うということです。例えば、芸術活動が盛んな学校は、芸術要素を多く取り入れて実践する、4部制の学校はまとまった時間が無いために、校内研修をテーマ別に何度かに分けて行うなど、学校によって特に力を入れたいところを重点的に掘り下げることも可能です。


今回は、分野?の1である「学びの基礎力」育成のための教授法のトレーナー研修と一般研修を実施しましたが、トレーナー研修の際に、「一連の研修の流れは、特別ルール付の伝言ゲームのようなものです。」という紹介をすると、研修の参加者たちが、うんうんと頷いていたのが印象的でした。

以下、「学びの基礎力」育成のための教授法の、トレーナー研修と一般研修のハイライトです。


トレーナー研修にて、子ども中心の教授法を学ぶ参加者


トレーナー研修を終え、一般研修の指導者になった参加者


一般研修で子どもが楽しく学べる教室作りの指導を受ける様子
(バヤンズルフ地区49番学校)


一般研修を受けた参加者(チンゲルテイ地区117番学校)

同プロジェクトは、新入生に対する支援に焦点を置いたものですが、モンゴルの教師は、毎年ローテーション式で受け持ち学年が繰り上がる(5年生の次は1年生)こともあり、この一般研修では小学校全学年の教師を対象に実施しました。

参加者に研修の感想や今後の展望を聞いてみたところ、以下のような回答が寄せられました。

●「今までは授業中に話しているのは主に自分だったが、今回の研修で、なるべく子どもたちに主導権を握ってもらう大切さ、そしてそのやり方を学んだ(1年生教師)。」
●「動物を交えてストーリーテリングをする方法は特に低学年に使える教授法だと思う(1年生教師)。」
●「新入生が鉛筆やはさみを握る際に、力がうまく入らない、または握り続けることで疲れが生じるなどの課題に対する配慮も足りていなかったので、これから気をつけて、適宜違った活動を混ぜていきたい(1年生教師)。」
●「去年1年生を教えていたが、自分がこの研修を受けていればよかったと心から思う。ただ、グループワークのリードの仕方など、今年や来年のクラスでも使えそうな大切なことを学んだ(2年生教師)。」
●「来年に1年生を教える予定だが、今回学んだことを実践したい気持ちでいっぱいである。色紙などを効果的に使って算数やモンゴル語を教える技術は、今のクラスでも十分使えそうだ(5年生教師)。」
●「今までいろんなトレーニングに関わってきたが、中にはあまり実践しにくいものも少なくなかった。一方、今回のトレーニングは、子どもに優しい環境作りなど、様々な分野で包括的に適用できる内容を網羅しており、トレーナーとして参加することで自分自身の学びにも繋がった(小学校教育主任)。」

同プロジェクトにおける次のステップとしては、各対象校が必要に応じて「特別ルール」を使用して学校の文脈に基づいた校内研修を行い、プロジェクトチームは主にそのフォローに回ります。また、他の分野における研修も徐々に行っていく予定です

伝言ゲームのゴール地点にいる子どもたちが、ためになる伝言を受け取り、しっかりと学びに活かせる、そういうイメージを保ちながらプロジェクトチーム一同頑張っていきたいと思います。今後も進捗状況を定期的にブログでお伝えしていきたいと思います。


本ブログ記事で紹介した事業は、皆さまからのご支援と、外務省・日本NGO連携無償資金協力の助成金を受けて実施しています。

(報告:モンゴル事務所 岡本 啓史)




 

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