モンゴル(公開日:2014.01.31)
【幼稚園プロジェクト(14)】「子どもにやさしいモデル幼稚園」の職員と保護者の声をご紹介します(2014.01.31)
こんにちは。日本の皆様、お元気ですか?モンゴル事務所の柴田です。前回のブログで、子どもにやさしい幼稚園やトイレという考え方を、もっとモンゴル中に広めたいと思い、在モンゴル日本国清水大使を始め、教育科学省やウランバートル市教育課の方々、モデルトイレを持つその他の幼稚園職員、そしてメディア関係者をお呼びして、子どもにやさしいモデル幼稚園やモデルトイレのお披露目式をしたことをお伝えしました。
今回はそのお披露目式に、モデルとして紹介された第22番幼稚園の「子どもにやさしい」幼稚園づくりの取組みについて、お伝えしたいと思います。
集まったメディア関係者© Save the Children Japan
式は、園児と先生の演劇から始まりました。この幼稚園の先生でもある司会者のチンバック先生は演劇の前のお話で、こんな風に参加者に課題を投げかけました。
チンバック先生(左)と演技する園児や先生たち(右)© Save the Children Japan
「私たちは、日常生活で良くみられる幼稚園や家庭での様子を演劇にしました。この演劇には、5つの家族が出てきます。それぞれの家族で育つ子どもたちが、20年後にどんな大人になっているのか、想像しながら見てください。」
演劇には次のような場面が出てきます。連絡帳にある「幼稚園までの道筋」のページを子どもと一緒に話しながら記入していく母親。「この家には怖い犬がいるから気をつけようね」と話しています。子どもと一緒に幼稚園から借りてきた本を読む父親。「明日先生に聞かれたら、電車について書かれてありましたと答えようね。」と内容をおさらいしていました。また、「私は忙しいから、テレビでも見ていて!」と怒鳴りつける母親も出てきました。
この演劇の後、来賓代表で挨拶された教育科学省・建築副局長のニルグ氏は、「思わず自分の姿と重なり、どきっとしました。子どもと日常どのように過ごすべきなのか、考えさせられました。」と話されました。
挨拶を述べるニルグ氏© Save the Children Japan
では次に第22番幼稚園のチェベルマ園長先生の話です。
チェベルマ園長先生© Save the Children Japan
「子どもにやさしい幼稚園を推進する際に、私は園長として、3つの重要な活動項目を決めました。1つ目は、民主的なプロセスで決めた計画を立てるということです。幼稚園運営に重要なのは職員だけではありません、保護者や地域の人々の参加がとても重要です。ですので、彼らの声を聞き、彼らのニーズにあった計画を立てるように努力しています。次は、効果的な人事管理の推進です。この幼稚園には50人以上の職員がいます。これを管理するのは容易ではありません。まず全職員を8-10人程度のグループに分け、役割分担をしました。私はこのグループのリーダーと連絡を密にします。リーダーは、グループのメンバーへの指示を徹底します。この方法はとても効果的に職員を管理することが出来ます。3つ目は、より良い業務を行うためのモニタリングを実施することです。職員はモニタリングを恐れることが多いのですが、モニタリングのためのモニタリングになっては意味がありません。まず職員が、モニタリングを受ける準備が出来ていることを確認してから行うようにしています。」
最後に4人の保護者の方からお話がありました。その内の1人ムフバーターさんのお話です。
自分の経験を話すムフバーターさん© Save the Children Japan
「私は、3人の子どもがありますが、4歳の一番下の子どもは在園中で、上2人もこの第22番幼稚園に通いました。私は連絡帳を約2年間使いましたが、これはとてもすばらしいものです。子どもと一緒に過ごす時間は、1日の内わずかしかありません、朝幼稚園に送り、夕方お迎えに行き、夕食を食べ、それで1日が終わります。1日の大半を子どもたちは幼稚園で過ごしていますが、何をしているのか知りませんでしたし、知る方法もありませんでした。ですので、興味もありませんでした。今は、この連絡帳を通じて、幼稚園で自分の子どもが何が出来るようになったのか、それを家でも実践しているのか、感じることが出来ます。また、連絡帳を通じて会話も増えました。上の子どもが幼稚園に行っていたころと、随分違ってきたことを感じ、私はこの幼稚園に子どもを通わせることができて嬉しく思います。本当に感謝しています。」
保護者の待合室の様子© Save the Children Japan
(保護者の意見を聞くための意見ボックスが置かれています。)
果たして、子どもにやさしいというコンセプトが、モンゴルの幼稚園の先生たちに受け入れてもらえるだろうか。受け入れてもらったとしても、それを次に、どんな風に教育現場で活用していくことができるのであろうかと、私たち事業関係者も試行錯誤の毎日でした。
しかし2年半たった今、モデルとして、十分な素質を備えた幼稚園がある、ということがわかり、とても嬉しく思っています。これからは、モンゴルの方によって、この「子どもにやさしいモデル幼稚園」が、モンゴル中、または世界中に広がっていくことを願わずにはいられませんでした。
各保護者が毎日のできごとを担任の先生に報告する掲示板© Save the Children Japan
―子どもにやさしい幼稚園推進プロジェクト―
対象地区の幼児(2歳〜5歳)が、「子どもにやさしい」環境を整えた幼稚園において、養護、保護、教育、社会的しつけの要素を含む、包括的な権利基盤型のカリキュラムによる幼児教育を受けられるようになることを目指しています。
事業期間:2011年8月23日〜2014年9月8日
事業分類:【教育支援】
*本事業は、外務省NGO連携無償資金協力の助成と、皆様からのご支援を受けて実施しています。
(報告:モンゴル事務所 柴田)