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モンゴル
(公開日:2015.09.17)

【遊牧民の子どもたちのための小学校教育プロジェクト(10)】芸術を通してクリエイティブな学びを!

 
皆様、こんにちは。モンゴル事務所の岡本です。モンゴルに来て早くも3ヶ月以上が経ちましたが、広場やレストランで、色々なモンゴル舞踊や音楽を観たり聴いたりすることがあります。中でも私がすごいなと思うのは、「ホーミー」というモンゴル独特の歌唱法で、一人で うなり声のような低い声と、 非常に甲高い声の2つの音を同時に発声するといった、一人でハモる技法は、モンゴルならではといった感じがします。

このように、いろいろな芸術が盛んなモンゴルですが、自国だけでなく他の国からの芸術も取り入れて、それを教育に生かそうという試みが、セーブ・ザ・チルドレンの「遊牧民の子どもたちの基礎学力向上支援」プロジェクトの一環として行われました。


教育関係者を対象に実施した「体を動かしながら楽しく学ぶ」学習法の研修の様子
(仏教が盛んなモンゴルらしい、それぞれが寺をイメージしてとったポーズ)

このプロジェクトでは、(1)コミュニティ参加型「遠隔就学前教育」、(2)学校教育現場における「放課後子ども教室」、(3)学校に通学できない子どもたちの「遠隔補習教育プログラム」の構築・実践が行われています。今回は、その中から(2)の学校教育現場における「放課後こども教室」に焦点を置いた活動についてご紹介します。

体を動かしながら楽しく学ぶことは、学習の効率が高まるとして、日本や他の国でも近年注目されている学習法です。モンゴルでも、子どもたちの集中力や学びの質と効果を高めるために、そのような学習法を導入する必要性が認識されるようになってきました。

そこで、同事業では夏期休暇中の8月に、4つの遠隔地域(アルハンガイ、ウブルハンガイ、ドルノド、スフバートルの4県)に点在する計30の村から、コミュニティ教育協議会のメンバーから主に教育主任と小学校教員2人ずつをウランバートル市に招待し、8月17日から20日の4日間に亘って、舞台・音楽・マルチメディアなどを通して、子どもの創造性や感性、そして学力を伸ばすための学習法の研修を行いました。


研修は、同事業の主要カウンターパートでもあるモンゴル教育文化科学省が異文化交流プログラムの一環としてドイツから招待していた芸術教育家、アーティスト、マルチメディアの専門家を講師として招き、実施することができました。

研修の開始にあたり、モンゴル国立ドラマ協会の会長ナランバートル氏は「モンゴルの子ども達に芸術の大切さ、そしてそれが教育にも生きてくることを知ってもらい、違った世界観を体験してほしい」旨を述べ、参加者に子どもたちの隠れた才能や芸術能力を見つけ出し、育んでいくことの大切さを伝えました。 


ドイツ式の演劇を教わるワークショップ


写真で実写版絵本を作るために、日本でもおなじみのロシア民話『大きなかぶ』をモチーフにする参加者(うんとこしょ、どっこいしょ。それでも、かぶはぬけません。)

研修の参加者からは、「私は寄宿舎で放課後子ども教室を指導していますが、演劇とは大きな舞台で演技するといったイメージをもっており、指導するのは苦手でした。しかし、今回の研修で、顔の表情を変えたり、違った環境を表現するための擬音語を用いるなど、簡単な方法でも効果があることを学びました」といった意見や、「良い写真の撮り方、写真を混ぜて本を作る方法、体で音を表現するボディパーカッションなど学んだことを、これから是非子どもたちと一緒に、活動の中で実践したい」といった感想がありました。

研修を受けた参加者たちは、遠隔地にある自分たちの村に戻り、今回の研修で学んだことを、寄宿舎や学校の教師陣に共有し、放課後子ども教室などで実践することになっています。遊牧民の子どもたちに、「体を動かしながら楽しく学ぶ」ことが普及する、そんな可能性を感じさせてくれた研修でした。


本ブログ記事で紹介した事業は、皆さまからのご支援と、世界銀行による「日本社会開発基金(JSDF: Japan Social Development Fund)」の助成金を受けて実施しています。

報告:モンゴル事務所 岡本 啓史


 

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