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モンゴル
(公開日:2018.02.01)

【モンゴル 教育】「学びの基礎力」プロジェクト6:ポスターコンテストを開催しました

 

モンゴルの首都、ウランバートル市郊外のゲル地域にて実施している小学校新入生のための「学びの基礎力」プロジェクトは、3年目を迎え、早いもので、事業終了まで残り2ヶ月を切りました(事業の詳細は、過去のブログ記事をご参照ください)。

本事業では、主に対象校24校の教職員や生徒の保護者らに対して、学校全体を通じて学びの基礎力を育成することを目的とした研修などを実施してきましたが、2017年11月に、事業の成果を目に見える形で振り返り、多くの関係者が楽しく参加できる活動の一環として、ポスター作成コンテストを実施しました。

コンテストは3部門からなり、(1)教師の能力強化、(2)学校運営体制の強化、(3)保護者等への啓発、と事業の活動に沿って、テーマ別にポスターを募集しました。また、事業の対象校の教職員、子ども、保護者であれば誰でも参加できるようにし、ポスターのサイズ、メッセージの内容、インパクト感の有無といった基準に基づき、セーブ・ザ・チルドレンの事業チームが審査を行うというものでした。

コンテストには、計22作品の応募がありました。審査を通過したポスター3枚と、審査で高評価を得たポイントを紹介します。

(1) 教師の能力強化部門:「ゲームを通した学び」


(チンギルテイ地区37番校の1年生教師作)


審査のポイント:モンゴルの学校では、教師が生徒に対して一方的に知識を伝えるという形式の授業が多く、生徒が主体的に考えることを促す授業あまり実践されていないということが、本事業が必要とされた理由の一つでした。このポスターに描かれているのは、子どもたちが作った絵や文字のカードを使って楽しく学ぶ授業の様子ですが、この事業を通して、生徒を中心とした教授法を学んだ教師と楽しく学ぶ子どもたちの様子がよく表れており、教師が作成したということも高評価につながりました。
 

(2) 学校運営体制の強化部門:「新入生のための学校職員の協力」


(チンギルテイ地区117番校の小学校6年生作)



審査のポイント:この事業が必要とされていた背景として、新入生(6歳児)へのサポートは主に担任教師だけに限定されており、専門職員(学校医・図書司書・スクールソーシャルワーカーなど)が教師と協力して新入生のサポートをする(図書司書が絵本の読み聞かせをする、学校医と教師が協力して子どもの健康診断のデータを共有するなど)といった連携がほとんど無いということが課題としてありました。そこで本事業では、学校教職員が一体となって新入生に対する支援を実現することを目指し、学校運営体制の改善強化についての研修も実施してきました。それらの活動が一枚の絵に表現されているだけでなく、6年生の子どもがその取り組みの概要を捉えて描いた絵であるということも高い評価を得ました。


(3) 保護者への啓発部門:「子どもの学びの鍵は保護者のサポート」



(ソンギノ・ハイルハン地区106番校の生徒保護者作)



審査のポイント:このポスターの中央上と右側に時計が描かれているのが分かりますか。正規の就学前教育を受けていないなど、さまざまな社会的背景や困難を抱え小学校に入学してくる子どもたちの発達や学びを促すためには、24時間、保護者らのサポートが必要であることが描写されています。本事業では、保護者・養育者に対する研修を通して、子どもの発達に関する知識や、保護者らと教師・学校との連携の重要性に焦点を置いて支援活動を行ってきました。ゲル地域に暮らし、子どもが対象校に通っている保護者が作成したこのポスターは、まさに子どもの発達には勉強や遊び、睡眠や家族の愛など、保護者らの包括的なケアや支援を受けながら、子どもたちが安心した環境で学び、生活することの必要性が丁寧に描かれており、とても高い評価を得ました。

これら3作品の入賞者には、文房具や教材などが提供されます。また、今回、残念ながら入賞を逃した作品は、今後事業のニュースレターなどを通して、紹介される予定です。

事業が完了する3月まで残りわずかですが、事業成果に関する評価活動や、事業に関わったステークホルダー(事業対象校や政府・大学機関等)が参加する意見交換会を実施し、事業を通して得られた学びや成果の共有や、対象校がこれからも事業を通して学んだ知見や活動をそれぞれの学校で継続していくように働きかけていきます。

本事業は、皆さまからのご支援と、日本NGO連携無償資金協力の助成を受けて実施しています。

(報告:モンゴル駐在員 岡本 啓史)


 

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