モンゴル（公開日：2025.06.27）
【モンゴル】気候変動で伝統的な暮らしが脅かされる中、子どもたちが将来を切り開く力を身につけるために
モンゴル中部のウブルハンガイ県にある学校では、青いヘアネットとエプロン、手袋を身に着けた子どもたちが、自分たちでヨーグルトを作る方法を学んでいます。これは、気候変動により伝統的な暮らしが脅かされている地方部で、実践型アントレプレナーシップ・社会情動的スキルを育むことを目的としたプログラムの一環です。
学校食堂でヨーグルトを提供する子どもたち（ウブルハンガイ県、2025年5月）
このプログラムは、モンゴルの全国教育カリキュラムに完全に組み込まれており、算数・国語・保健の授業を通じて、子どもたちがヨーグルトを「作る」こと、そして「販売する」ことの両方を学びます。保健の授業では、製品の宣伝に向けてヨーグルトの栄養価について学びます。国語の授業では広告の作成方法を、算数では利益率の計算方法を学びます。
モンゴルでは、人口340万人のうち約40％が遊牧を生業としており1、気候危機の影響で厳冬がより頻繁に発生するようになっている現在、こうしたスキルは子どもたちの将来に大きな意味を持つ可能性があります。
このプログラムにウブルハンガイ県の学校で参加したチメグさん（11歳）は、次のように話しました。
「チームで行動する方法、記録の取り方、時間の使い方を学びました。ヨーグルトの作り方、材料の計り方、ヨーグルトから出るホエイ（乳清）を他の子どもたちに配るときの説明の仕方も学びました。」
この取り組みは、日本政府の資金提供を受け、世界銀行が管理し、セーブ・ザ・チルドレンが実施する、実践型アントレプレナーシップ教育・社会情動的スキル養成プロジェクトの一部です2。モンゴルの地方部に暮らす子どもたちが、学校や労働市場で必要とされるスキルを身につけることを目指しています。
このプログラムは2022年に開始され、これまでに8,700人以上の子どもと若者がスキルや知識を学びました。2025年だけでも、チメグさんが通う学校の児童生徒1,186人のうち、約80％がこのプログラムに参加しています。
学校食堂でヨーグルトを提供する準備に取り組む子ども
（ウブルハンガイ県、2025年5月）
2024年、モンゴルは過去50年間で最も深刻なゾド（厳冬）に見舞われました3。これにより、8万人以上の子どもを含む約18万人の生活が打撃を受け、世界でも数少ない遊牧文化のひとつがさらに危機に直面しています4。
荒廃した土地で生計を立てることが困難になっている今、モンゴルに残る約80万人の遊牧民は、職を求めて都市部へ移動せざるを得なくなっています。その結果、一部の家族は貧困や失業に直面しています。一方で、地方部に残る若者たちは、学校を中退するリスクが高い、またはすでに中退しており、汎用的なスキルの不足により、労働市場への参入に困難を抱えています5。
セーブ・ザ・チルドレンのモンゴル事務所カントリーマネージャー、バヤンアルタイは、次のように述べます。
「気候危機は、モンゴルの牧草地と、遊牧民の家族や子どもたちの生活に壊滅的な影響を与えています。伝統的な暮らしがどれだけ残るのか、誰にも分かりません。だからこそ、子どもたちに起業家精神を育む力を与えることが必要なのです。これは単なるスキルの話ではありません。子どもたち自身が自立し、将来に備えたキャリアを築くことを支援する、つまりレジリエンスを育むことが目的です。」
セーブ・ザ・チルドレンは1994年よりモンゴルで活動を続けており、教育、子どもの保護、保健・栄養、子どもの貧困や子どもの権利ガバナンス6に取り組むほか、ゾド・洪水・砂嵐といった自然災害の被害を受けた世帯への緊急・人道支援も行っています。
本事業は、世界銀行の日本社会開発基金（Japan Social Development Fund）からのご支援と、個人・法人の多くの皆さまのご寄付により実施しています。
学校食堂でヨーグルトを提供する子どもたち（ウブルハンガイ県、2025年5月）
このプログラムは、モンゴルの全国教育カリキュラムに完全に組み込まれており、算数・国語・保健の授業を通じて、子どもたちがヨーグルトを「作る」こと、そして「販売する」ことの両方を学びます。保健の授業では、製品の宣伝に向けてヨーグルトの栄養価について学びます。国語の授業では広告の作成方法を、算数では利益率の計算方法を学びます。
モンゴルでは、人口340万人のうち約40％が遊牧を生業としており1、気候危機の影響で厳冬がより頻繁に発生するようになっている現在、こうしたスキルは子どもたちの将来に大きな意味を持つ可能性があります。
このプログラムにウブルハンガイ県の学校で参加したチメグさん（11歳）は、次のように話しました。
「チームで行動する方法、記録の取り方、時間の使い方を学びました。ヨーグルトの作り方、材料の計り方、ヨーグルトから出るホエイ（乳清）を他の子どもたちに配るときの説明の仕方も学びました。」
この取り組みは、日本政府の資金提供を受け、世界銀行が管理し、セーブ・ザ・チルドレンが実施する、実践型アントレプレナーシップ教育・社会情動的スキル養成プロジェクトの一部です2。モンゴルの地方部に暮らす子どもたちが、学校や労働市場で必要とされるスキルを身につけることを目指しています。
このプログラムは2022年に開始され、これまでに8,700人以上の子どもと若者がスキルや知識を学びました。2025年だけでも、チメグさんが通う学校の児童生徒1,186人のうち、約80％がこのプログラムに参加しています。
学校食堂でヨーグルトを提供する準備に取り組む子ども
（ウブルハンガイ県、2025年5月）
2024年、モンゴルは過去50年間で最も深刻なゾド（厳冬）に見舞われました3。これにより、8万人以上の子どもを含む約18万人の生活が打撃を受け、世界でも数少ない遊牧文化のひとつがさらに危機に直面しています4。
荒廃した土地で生計を立てることが困難になっている今、モンゴルに残る約80万人の遊牧民は、職を求めて都市部へ移動せざるを得なくなっています。その結果、一部の家族は貧困や失業に直面しています。一方で、地方部に残る若者たちは、学校を中退するリスクが高い、またはすでに中退しており、汎用的なスキルの不足により、労働市場への参入に困難を抱えています5。
セーブ・ザ・チルドレンのモンゴル事務所カントリーマネージャー、バヤンアルタイは、次のように述べます。
「気候危機は、モンゴルの牧草地と、遊牧民の家族や子どもたちの生活に壊滅的な影響を与えています。伝統的な暮らしがどれだけ残るのか、誰にも分かりません。だからこそ、子どもたちに起業家精神を育む力を与えることが必要なのです。これは単なるスキルの話ではありません。子どもたち自身が自立し、将来に備えたキャリアを築くことを支援する、つまりレジリエンスを育むことが目的です。」
セーブ・ザ・チルドレンは1994年よりモンゴルで活動を続けており、教育、子どもの保護、保健・栄養、子どもの貧困や子どもの権利ガバナンス6に取り組むほか、ゾド・洪水・砂嵐といった自然災害の被害を受けた世帯への緊急・人道支援も行っています。
本事業は、世界銀行の日本社会開発基金（Japan Social Development Fund）からのご支援と、個人・法人の多くの皆さまのご寄付により実施しています。
1 https://borgenproject.org/winters-in-mongolia/（英語）
2 事業概要に関する記事はこちら：モンゴル セーブ・ザ・チルドレンと世界銀行が新規事業に署名
3 https://www.savethechildren.net/news/mongolias-extreme-winter-52-million-livestock-dead-children-miss-out-school（英語）
4 https://www.savethechildren.net/news/mongolias-extreme-winter-52-million-livestock-dead-children-miss-out-school（英語）
5 https://www.worldbank.org/en/news/press-release/2019/10/03/world-bank-and-save-the-children-japan-launch-grant-funded-project-to-open-up-opportunities-for-rural-youth（英語）
6 子どもの権利ガバナンスとは、子どもの権利を守り、推進するための制度づくり・仕組みづくりのこと。
