日本/子どもの貧困問題解決(公開日:2018.03.26)
子どもの貧困問題解決に向けたシンポジウムを開催(東京)
2018年2月25日、セーブ・ザ・チルドレンは子どもの貧困問題解決事業の一環として、東京都千代田区で「子どもの貧困問題解決に向けたシンポジウム 経済的困窮が子どもや保護者にもたらす影響〜東北沿岸部の経済的に困難な状況下にある子育て世帯への調査からの提言〜」を開催しました。
当日は、衆議院議員、首都圏をはじめとした都区市町村議員、行政関係者、学校関係者、法人企業関係者、学生、NGO・NPO関係者、一般の方々など、84人が参加しました。
セーブ・ザ・チルドレンからは、子どもの貧困問題解決事業について紹介した後、2017年に岩手県山田町、宮城県石巻市で実施した「給付型緊急子どもサポート〜新入学応援キャンペーン〜」 の受給世帯を対象としたアンケート調査結果および提言 を発表。参加者からは、「現状について、データ上の分析だけでなく、実際の生の声を数多く伝えていただけたことで、我が身のことのように感じることができました。」「調査の目的が明確だった。結果の分析と提言の関連性も保たれていた。保護者の声も紹介されており、数値だけでは読み取れない情報が得られた」などの感想がありました。また質疑応答・感想共有では、保護者の精神的な負担を軽減する方法や放課後児童クラブへの現状についての声も寄せられました。
続いて、内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付参事官(子どもの貧困対策担当)付参事官補佐の井関大洋氏から、子どもの貧困対策の実施状況等の報告について、文部科学省初等中等教育局財務課高校就学支援室専門官の大久保享之氏から、就学援助制度実施状況等の報告がありました。
行政の発表を受けての質疑応答では、内閣府に対しては貧困対策の具体的な改善点や目標値、文部科学省に対しては南海トラフ地震の際の被災児童生徒に対する具体的な備えはどうなっているかといった質問のほか、内閣府と文科省の連携状況などといった、今回のシンポジウムならではの質問もありました。また、多くの施策が行われている中、支援を必要としている人々へどのように情報を届けるかということについても意見が交わされました。
参加者からは、子どもの貧困問題解決の重要性や、子どもの権利の視点、参加者自身ができること、政策・施策を改善していく必要性などの感想が上がりました。
〜参加者の声〜
・子どもの貧困問題についてもっと関心をもつべきだと教えてもらえたことが自分自身にとって一番の発見だった。
・個人でも「知らなかった」では済まされぬ現状。
・内閣府、文科省等の取り組みについてもよくわかった。“見えない”貧困を“見える”化する取り組みが意外と行われていることを知った。
・行政などの官とセーブ・ザ・チルドレンなどの民との連携を知ることができてよかった。
・セーブ・ザ・チルドレンの報告は子どもの権利の視点、内閣府の報告は未来への投資、これは相当に違う視点ですが、それをどちらも含めてとりくんでいかなくてはならないのですね。このことがいちばんの「発見」でした。
・法律や制度を、国民が知ること、共有すること、必要な方に届けることのむずかしさを改めて感じました。子どもに関する相談窓口が、統一されるetc…わかりやすくなれば良いな。と思いました。
・総論、各論のように、政策がしっかり決定したとしても、それが子どもや親、一人ひとりに届くのか、そして“見合ったものか”という点については、まだまだ支援が必要なのかなと思う。
・(セーブ・ザ・チルドレンの職員が話していた)今を生きる子ども達が子ども時代を奪われることがないよう、おとながどう責任を果たしていくかは重要なキーワードと思います。地元市で策定中の子ども条例に貧困対策もきちんと盛りこまれるよう市民としても活動していきたいです。
今回のシンポジウムでいただいたご意見もふまえて、今後もセーブ・ザ・チルドレンでは子どもの貧困問題解決に向け、すべての子どもたちが環境に左右されず、成長や学びの機会を持てるよう活動していきます。
(報告:東京事務所 山田心健)