日本/子どもの貧困問題解決(公開日:2017.05.26)
ひとり親家庭を支援するためのイベントを開催しました(2017年春)
セーブ・ザ・チルドレンは、2010年から日本の子どもの貧困問題解決に向けた取り組みを実施しています。その一環として2016年に実施した経済的に困難な状況下にある子育て世帯に対する調査結果からも、厚生労働省の調査*と同様に、ひとり親家庭が、大人が2人以上いる世帯に比べて経済的に困難であり、より深刻な状況に置かれていることが浮き彫りとなりました。 *「平成25年国民生活基礎調査」
こうした状況を受け、ひとり親家庭の保護者が生活や子育てに役立つ情報を知ることができるように、また、ひとり親家庭の子どもたちが多様な活動に参加できるように、ひとり親家庭を支援するためのイベントを、震災の影響が残る熊本県と宮城県で開催しました。
◆2017年4月29日@熊本県
益城町・御船町をはじめ、熊本県内からひとり親家庭の保護者、ひとり親家庭支援者、行政関係者を中心に23人の大人と、年長〜中学1年生のひとり親家庭の子どもたち17人が参加しました。
保護者向けのイベントでは、ひとり親の当事者としてNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長の赤石千衣子氏の講演や、熊本県子ども家庭福祉課による県のひとり親家庭の支援策の紹介など、ひとり親家庭の子育てに役立つ情報を提供すると同時に、ひとり親当事者のための相談会を開催しました。
参加したひとり親家庭の母親からは「ひとり親が決して少なくないことを知ることができてとても心強く思いました」「自分だけが悩んでいるんではないんだと、気持ちが楽になりました」などの感想があがりました。
子ども向けのイベントでは、ボーリングやバイキング、公園での外遊び、さらには、くまモンとのダンスなど様々なアクティビティを体験しながら、ひとり親家庭の子どもたち同士で年齢を超えて交流を深めていました。
◆2017年5月3日@宮城県石巻市
保護者向けイベントには、ひとり親家庭の保護者をはじめ、行政関係者を含む12人が、子ども向けイベントにはひとり親家庭の子どもたち7人が参加しました。
保護者向けイベントでは、熊本県でのイベントと同様に赤石千衣子氏による講演に加え、ファイナンシャルプランナーの中島智美氏からはひとり親家庭のライフマネープランや教育費について解説をしてもらうなど、ひとり親家庭の子育てに役立つ情報提供を行い、その後のグループ相談会では、ひとり親家庭の母親や父親の意見交換も行われました。
参加したひとり親家庭の母親からは、「今まで分からなかったことが分かり、今後の生活に役立つと思うので参加して良かった」「色んな年代、色んな家庭環境の方の話がきけてよかった」などの感想があがり、ひとり親家庭の保護者が必要な情報を知ると同時に、互いの悩みを共有する場となりました。
子ども向けのイベントでは、生活に余裕があれば子どもたちを連れて行きたい場所として、ひとり親家庭の保護者から声が多かった「仙台うみの杜水族館」を訪問しました。迫力のあるイルカ・アシカショー、牡蠣殻を使ったろうそくづくり、普段はなかなかのぞけない水族館の裏側を紹介するツアーにも参加。大きな水槽の前で「海の中に暮らしているみたい」と、じっと魚の様子を見つめる子どもたちの姿もありました。
◆子どもの貧困問題解決に向けて
厚生労働省の「平成25年国民生活基礎調査」によると、ひとり親世帯の相対的貧困率は、54.6%であり、国がすすめる子どもの貧困対策でもひとり親家庭の支援策の充実がうたわれています。今回のイベント参加者からも、セーブ・ザ・チルドレンへの今後の活動に期待する声があがりました。これからもセーブ・ザ・チルドレンは、日本の子どもの貧困問題解決に向けた取り組みを、続けていきます。
(報告:東京事務所 田代光恵)