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新型コロナ感染拡大の影響で、半数が収入減−保護者約 8 割が、就学費用を家計の大きな負担と回答

日本/子どもの貧困問題解決
(公開日:2021.08.31)

「子ども給付金 新入学サポート・高校生活サポート 2021」調査結果
新型コロナ感染拡大の影響で、半数が収入減−保護者約 8 割が、就学費用を家計の大きな負担と回答

 
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもの貧困問題解決への取り組みの一環として2021年春に実施した「子ども給付金 新入学サポート・高校生活サポート2021」の受給世帯へのアンケート調査結果を発表しました。

本調査は、東日本大震災で被害を受けた東北沿岸部において、経済的に困難な状況にある子どもや子育て世帯の現状、および子どもや保護者が必要とする支援の内容を把握することを目的に2016年から実施しているものであり、今回で4回目となります。
調査の結果、以下のようなことが明らかとなりました。(有効回答数:446件/保護者、261件/中高生・高卒生)

調査結果はこちら
ダイジェスト版
完全版
※本調査の設問ならびに結果に関して、沖縄大学 山野良一教授、千葉工業大学 福嶋尚子准教授より助言をいただいた。




■調査から明らかになったこと
<新型コロナウイルス感染症の影響と、就学初期費用および卒業時における私費負担額について>
1. 新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関して、収入が減少した世帯は50%に及ぶ。
2. 就学初期費用について、新入学の小1、中1、高1の保護者のうち78.2%が「制服・体操着代」を特に負担に感じている。また、教科書やカバン、靴など日常的に使用するもの以外にも、卒業時にかかる卒業アルバム代(平均1万円〜2万円)が負担と回答した保護者が20.4%だった。

<学びの継続について>
3. 子どもの高校就学について、高校生および2021年3月に高校を卒業した子どもがいる世帯の32.2%は「経済的な理由により高校就学を続けられない可能性がある」。そのうち27%の世帯で「授業料」が最も大きな負担になっている。
4. 高校卒業後の進路に関して、保護者の33.9%は大学またはそれ以上の教育を「経済的に受けさせられない」状況。また、「進学したいが、経済的に不安がある」高校生は24.1%で、約4人に一人であった。

<就学援助制度に対する有用度と奨学金制度に対する認知>
5. 就学援助制度を利用していた世帯の56.5%は就学援助制度により、学校にかかる費用を「まかなえていない」もしくは「あまりまかなえていない」。
6. 高校生および2021年3月に高校を卒業した子どもがいる世帯の35.3%が高校生等奨学給付金を、「利用していない」もしくは「わからない」状況。そのうち「高校生等奨学給付金を知らなかった」世帯は40.9%である。
7. 給付型奨学金が拡充されたことについて、高校生および2021年3月に高校を卒業した子どもがいる保護者の55.9%、さらに高校生および2021年3月に高校を卒業した子どもの60.5%が「知らなかった」状況。

これらの結果を受け、セーブ・ザ・チルドレンは、すべての子どもの権利を保障するために、教育費をはじめとした子どもに関する公的支出を増やしていくことを中長期的に求めるほか、喫緊に対応すべき課題として、関係省庁や地方自治体が速やかに以下の対策を講じるよう提言しています。

■提言
■提言1:就学にかかわる私費負担額軽減のための見直しを行い、制服、体操着、卒業アルバム等の学校に関わる費用について、指定品以外の選択を可能とする、金額が適正か見直す、共用化できる教材の検討・導入を行うといった私費負担を減らす実効的な対応がとられるべきである。

■提言2:就学援助制度や入学前支給について、プッシュ型支援の導入による徹底した周知を行い、合わせて申請方法の改善をはかるべきである。

■提言3:就学援助の支給金額について、実態に即した支給金額の見直しを行い、援助額の増額を図るべきである。

■提言4:児童手当がなくなる高校生への経済的支援を拡充すべきである。

■提言5:高校生等奨学給付金の追加的予算措置を講じ、運用方法の改善を図るべきである。

■提言6:高等教育修学支援新制度についての周知の徹底をはかるべきである。


<本調査結果を受けての今後の活動>
セーブ・ザ・チルドレンは、本調査結果をもとに、経済的に困難な状況にある子どもや子育て世帯への政策・施策が充実するよう、提言に示した内容を国や自治体に働きかけていきます。また、セミナーや研修会等の開催を通じた社会啓発にも取り組む予定です。なお、東北沿岸部での子ども給付金は、今回で終了となります。

<セーブ・ザ・チルドレンの日本の子どもの貧困問題解決への取り組み>
セーブ・ザ・チルドレンは、2010年から日本の子どもの貧困問題解決への取り組みを開始し、現在、1)経済的に困難な状況下にある子どもや養育者への直接支援、2)子どもの貧困対策充実に向けた世論形成のための社会啓発、3)子どもの貧困問題に関する政策・施策のより良い整備に向けた政策提言という3つの柱をもとに、活動しています。
「子ども給付金 新入学サポート・高校生活サポート」は、直接支援の一環として、東日本大震災発生直後から2015年末まで約5年にわたり実施してきた緊急・復興支援事業の知見・経験、行政や地域とのネットワークを生かし、東北地方沿岸部で実施すると同時に、熊本県においても、熊本地震復興支援の一環として実施しています。2021年は5月末までに、岩手県、宮城県の子ども856人に給付金を通じて支援を届けました。



(報告:東京事務所 北見美代)

 

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