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日本/子どもの貧困問題解決
(公開日:2022.12.07)

「継続的な支援が必要」―食の応援ボックスを受け取った保護者Dさんの声

 
セーブ・ザ・チルドレンは、2020年より、子どもたちの食の状況の改善を目的に、経済的に困難な状況にある家庭を対象として、食料品などを届ける「食の応援ボックス」を行ってきました。


2020年と2021年は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたと考えられる地域を中心に提供してきましたが、2022年夏からは、対象を全国に広げ「夏休み 子どもの食応援ボックス」を実施し、計3,200世帯に提供しました。


今回、「夏休み 子どもの食応援ボックス」を利用した世帯の保護者に、申し込んだ経緯や、現在の状況などについて話を聞きました。


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「給食がなくなる時期の食費が心配で申し込みをしました」
(Dさん 沖縄県在住)


お話を聞いたDさんは、現在6人の子どもと夫と暮らす8人家族です。Dさんも夫も働いていますが、収入は決して多くはありません。


「子どもたち6人中、5人が普段、こども園や、小学校、中学校で給食を食べています。夏休みなどの長期の休みになると給食がなくなり、食費で家計が圧迫されてしまうので、食費が心配で申し込みしました。」


知人から「食の応援ボックス」のことを知ったというDさんは、「こんなに大きな箱が届くと思っていなくて、食べ物が届くってこんなにうれしいんだね、と子どもと話していました。」と、届いたときの様子を教えてくれました。


沖縄県はいまだ新型コロナウイルス感染症の影響が色濃い
Dさんが住んでいる沖縄県は、2022年夏に新型コロナウイルスの感染者数が増加し、子どもたちが通っている学校からも、「あまり人通りが多いところに行かないように」と、言われていたそうです。そのため、子どもたちも家で待機している時間が長く、クーラーを使い続けていたため、夏の電気代は3万円を超えたと言います。  


Dさんの夫は、観光客向けの居酒屋へ酒類を卸す仕事をしているため、新型コロナウイルスの感染拡大以降、観光客の減少もあり、収入も減ってしまいました。


沖縄を訪れる人は少しずつ戻ってきているものの、今も、新型コロナウイルス感染症流行以前ほどの水準までは戻っていないそうです。


国の緊急小口資金や総合支援資金も利用しましたが、「申請最終の時にようやくお借りすることができたって感じで。以前からあったようなのですが、私はわからなくて。申請に行ったら『前の制度があったのに、がんばって来たらよかったのに』って言われたんですが、がんばって行ったのが今なんですと思って」と話していました。


就学援助でカバーしきれない出費
Dさんの家庭では、学校に関わる費用負担を軽減するために、公的支援である就学援助制度を利用しています。しかし、就学援助ではカバーできない出費もあると言います。


「ノートや文房具などの学用品代や遠足のバス代などの積み立てとして、子ども一人につき毎月2,000円から2,500円ずつくらい小学校に払っています。


小学生が3人いるので、毎月7.000円くらい払わないといけません。就学援助はあとから振り込まれるので、いったん自分で出さなくてはならないのが負担ですし、市の援助額だけではとても足りないのが現状です。


給料日前とか、家計が厳しい月は支払いが遅くなったりしてしまいます。そうすると、支払いが遅れている子どもの学習ノートにだけ、先生から『集金袋早めに』って書かれてしまうのがつらいです。」


学校は、子どもに配慮しないまま集金を行うこともあり、「集金袋早めに」と、学習ノートに書かれた子どもの気持ちを想像して、もどかしさを感じていることが、Dさんの言葉からにじんでいました。


障害のある子どものケアと「生理の貧困」への対策を
Dさんの子どもの一人は身体・知的に障害があり、定期的に病院に通う必要があります。治療費は、補助が出ますが、毎回の病院送迎時のガソリン代などは家計に負担がかかります。


また、来年からは県立の特別支援学校に入学し、就学に関わる支援制度は県の制度を利用することになりますが、「障害児とか障害者に対しての助成制度とか、学校の入学に関しても簡単にみつけられる情報がすごく少なくて―」と、話します。



そして、6人の子どものうち、4人が少女というDさん。


「もう『生理の貧困』になりそうなくらい、やっぱり消耗品なので。トイレにナプキンを置いていただけたらなと。やっぱり保健室に取りに行くのはすごく勇気がいるみたいなんですよ。トイレットペーパーみたいに消耗品として置いてくれれば本当に助かる子どもたちもすごくいるのに」と言います。


Dさんは、「生理の貧困」に関する民間のアンケートに回答し、こうした問題意識を自治体に届けようと声をあげている様子についても話してくれました。
「ただでさえお腹が痛い時に、子どもであれば初めて生理になって困る時に、保健室にいって大人の力を借りる勇気まで必要となることが、小学生・中学生には大変。消耗品として設置する動きは、もっと早くてもいいのにと思う」と、「生理の貧困」対策を迅速に進めることの重要性を訴えました。


政府や社会に希望すること
「社会ではだんだんと新型コロナウイルス感染症に対しても、ウィズコロナの雰囲気になってきて、感染症流行対策として行われた公的緊急支援がだんだんと打ち切られています。あんまり長く支援し続けると甘えにつながるからって。


でも、新型コロナウイルス感染症の流行が始まって3年ぐらい、ずっと低所得な状況が続いていて、その状況は今も変わっていません。それなのに、支援を打ち切られたら本当にキツイです。キツイって声をあげられない他の家庭もたくさんあると思うので、今後も公的なものも民間のものも、支援や活動は継続してほしいです」と、訴えていました。


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今回お話を聞いたDさんのように、新型コロナウイルス感染症拡大が家計及ぼす影響が大きく、かつ長期間にわたっている状況は、沖縄県だけではなく全国にあると考えられます。


また、障害児のケアや、必要な情報が簡便に手に入るかなど、複合的な課題も見えてきました。


セーブ・ザ・チルドレンは、今後もこうした状況や声を国や社会に届け、すべての子どもが経済状況などの環境に左右されず、すこやかな成長ができるよう、必要な支援や制度改善につなげていきたいと考えています。


(国内事業部 子どもの貧困問題解決 鳥塚早葵)

 

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