日本/子どもの貧困問題解決(公開日:2023.04.21)
【活動報告】子どもの貧困対策拡充に向け、5団体共同で政府に要望しました
セーブ・ザ・チルドレンは、2023年第211回通常国会に合わせ、子ども・若者の貧困対策に取り組む4団体とともに、子どもの貧困対策の拡充に向けた提言活動に取り組んでいます。
3月22日には、子どもの貧困対策推進議員連盟総会において必要な施策を提言し、3月27日には院内集会を開催し、国会議員に訴えました。
【合同要望のポイント】
1.低所得子育て世帯生活支援特別給付金の再給付を
2.児童手当の18歳まで支給延長 低所得世帯には上乗せ給付を
3.児童扶養手当の増額と所得制限の緩和を
4.高等教育無償化の所得制限緩和と非進学者への支援強化を
【団体名】(50音順)
公益財団法人あすのば、認定NPO法人キッズドア、認定NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、認定NPO法人D×P
合同要望書の全文はこちら
3月22日には、子どもの貧困対策推進議員連盟総会において必要な施策を提言し、3月27日には院内集会を開催し、国会議員に訴えました。
【合同要望のポイント】
1.低所得子育て世帯生活支援特別給付金の再給付を
2.児童手当の18歳まで支給延長 低所得世帯には上乗せ給付を
3.児童扶養手当の増額と所得制限の緩和を
4.高等教育無償化の所得制限緩和と非進学者への支援強化を
【団体名】(50音順)
公益財団法人あすのば、認定NPO法人キッズドア、認定NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、認定NPO法人D×P
合同要望書の全文はこちら
3月22日、衆議院議員会館で子どもの貧困対策推進議員連盟総会が開かれ、超党派の国会議員、内閣府や厚生労働省、文部科学省、こども家庭庁準備室(当時)などから省庁関係者も参加しました。
セーブ・ザ・チルドレンを含む各団体は、合同要望書にある内容を中心に、それぞれの支援事業でつながる経済的に厳しい状況にある子どもや子育て世帯の窮状や必要な支援について訴えました。
国会議員からは、低所得子育て世帯の状況や物価高騰の影響、給付金や公的貸付など社会福祉制度の課題、支援する民間団体の置かれた状況などについて活発な質疑がありました。
セーブ・ザ・チルドレンを含む各団体は、合同要望書にある内容を中心に、それぞれの支援事業でつながる経済的に厳しい状況にある子どもや子育て世帯の窮状や必要な支援について訴えました。
国会議員からは、低所得子育て世帯の状況や物価高騰の影響、給付金や公的貸付など社会福祉制度の課題、支援する民間団体の置かれた状況などについて活発な質疑がありました。
3月27日には、子どもの貧困対策推進議員連盟と共催して院内集会を開催、各党から15人の国会議員や議員秘書、省庁関係者が参加しました。
各団体は、この数年間で、不登校や進学をあきらめる子どもたちが増えていることや、子どもの自殺数が増加していることなどにふれ、当時議論されていた低所得子育て世帯への生活支援特別給付金の再給付など政府の対応を歓迎しつつ、より手厚い子どもの貧困対策を求めました。
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもの権利保障の観点から、日本国内における子どもの貧困の解決は喫緊の課題だと指摘しました。
そして、2022年に約8,200世帯を対象に行った長期休暇中の食料品提供「食の応援ボックス」や、「子ども給付金 〜新入学サポート2023〜」で届いた声や調査結果から、子どもや子育て世帯が物価高騰の影響を受けてより一層厳しい状況にあること、そうした経済的に困難な状況にある世帯が現金給付や児童手当の拡充を望んでいることなどをあげました。
また、新年度を迎える今こそ、低所得世帯向けの特別給付金を迅速に実施すること、児童手当の18歳までの対象年齢延長や増額が待ったなしの状況であること、特に高校生の支援を充実させ、高校生も含めた教育の無償化を進めていく必要性も訴えました。
参加した国会議員からは、「チャンスや可能性があるはずなのに、経済的な理由で途絶えさせてはならない。5団体の訴えを超党派で受け止めてしっかり対応していく」、「親の働き方自体にも課題がある。非正規の状況は非常に厳しく、そうした部分への見直しも必要」、「都内は外国の子どもも大変多く、この点も課題として取り組みたい」、「子ども予算倍増と言いながら、貧困家庭の子どもへの対応が弱い。困窮家庭への支援が抜け落ちないよう、政策で光があたるように超党派で取り組んでいきたい」、「一時的な現金給付ではなく恒久的なものへ発展させていく必要がある」、「教育を受けるのは権利。高校入学の給付型奨学金は非課税世帯を対象としており、就学援助を中学まで利用したいたすべての子どもたちが救われない」など、さまざまな視点から子どもの貧困対策に向けた取り組みを進めるという姿勢とともに、一時的な対策では終わらせず、恒久的な制度構築の重要性について話がありました。
院内集会が行われた翌日の3月28日には「子育て世帯生活支援特別給付金」の再給付が閣議で決定され、5団体の合同要望書の1点目である低所得子育て世帯生活支援特別給付金の再給付という要望が実現するかたちとなりました。
さらに3 月 31 日、政府は「こども・子育て支援の強化について(試案)」を公表し、その中で示された「今後3年間で加速化して取り組むこども・子育て政策」(「加速化プラン」)において、児童手当の高校卒業までの支給年齢延長や所得制限撤廃、さらに高等教育については、2024 年度から中間所得層の多子世帯、理工農系の学生に給付型奨学金を拡大することが明記されました。
このような進展を歓迎しつつ、多くの子育て世帯が、長期化する新型コロナウイルス感染症に加えて物価高騰の影響に直面している現状を考えると、加速化プランで示されたこれらの対策が迅速に実施される必要があります。
児童手当に関しては、「加速化プラン」で示唆された多子世帯への加算のみならず、低所得の子育て世帯にはより手厚い給付を行うことも必要であり、かつ給付型奨学金についても、より対象を拡大した所得制限の緩和が必要です。(「加速化プラン」を含む政府の「子ども予算倍増」に対するセーブ・ザ・チルドレンの見解をまとめたポジションペーパーはこちら)
2023年4月にはこども家庭庁が発足しました。6月には「子どもの貧困対策の推進に関する法律」成立から10年を迎えます。この10年の間に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に加え、物価高騰などもあり、日本の子どもを取り巻く環境は大きく変化しました。
子どもの貧困対策は年を追うごとに前進している面もある一方、対策が実現して子どもに届くスピードよりも、子どもの貧困状況が速く深刻化し、長期化していることが懸念されます。
子どもたちは「いま」を生きており、その時間は取り戻せません。子どもが安心して暮らしたい、学びたいと思ったその時、その瞬間に支援や制度が届かなくては、子どもたちの「いま」を支えることはできません。
子どもの貧困とは、子どもたちの「生きる権利」、「育つ権利」をはじめとする、子どもが子ども時代に享受すべきすべての権利がおびやかされている状態です。
子どもたちを誰ひとり人置き去りにせず、生活や学びを支え、経済的に困難な状況にある子どもたちが安心して成長できる社会をつくるために、セーブ・ザ・チルドレンは、今後も子どもや保護者の声を聴き、他団体と連携しながら迅速で恒久的な変化を求める働きかけを続けていきます。
(報告:国内事業部 鳥塚早葵・田代光恵)
各団体は、この数年間で、不登校や進学をあきらめる子どもたちが増えていることや、子どもの自殺数が増加していることなどにふれ、当時議論されていた低所得子育て世帯への生活支援特別給付金の再給付など政府の対応を歓迎しつつ、より手厚い子どもの貧困対策を求めました。
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもの権利保障の観点から、日本国内における子どもの貧困の解決は喫緊の課題だと指摘しました。
そして、2022年に約8,200世帯を対象に行った長期休暇中の食料品提供「食の応援ボックス」や、「子ども給付金 〜新入学サポート2023〜」で届いた声や調査結果から、子どもや子育て世帯が物価高騰の影響を受けてより一層厳しい状況にあること、そうした経済的に困難な状況にある世帯が現金給付や児童手当の拡充を望んでいることなどをあげました。
また、新年度を迎える今こそ、低所得世帯向けの特別給付金を迅速に実施すること、児童手当の18歳までの対象年齢延長や増額が待ったなしの状況であること、特に高校生の支援を充実させ、高校生も含めた教育の無償化を進めていく必要性も訴えました。
参加した国会議員からは、「チャンスや可能性があるはずなのに、経済的な理由で途絶えさせてはならない。5団体の訴えを超党派で受け止めてしっかり対応していく」、「親の働き方自体にも課題がある。非正規の状況は非常に厳しく、そうした部分への見直しも必要」、「都内は外国の子どもも大変多く、この点も課題として取り組みたい」、「子ども予算倍増と言いながら、貧困家庭の子どもへの対応が弱い。困窮家庭への支援が抜け落ちないよう、政策で光があたるように超党派で取り組んでいきたい」、「一時的な現金給付ではなく恒久的なものへ発展させていく必要がある」、「教育を受けるのは権利。高校入学の給付型奨学金は非課税世帯を対象としており、就学援助を中学まで利用したいたすべての子どもたちが救われない」など、さまざまな視点から子どもの貧困対策に向けた取り組みを進めるという姿勢とともに、一時的な対策では終わらせず、恒久的な制度構築の重要性について話がありました。
院内集会が行われた翌日の3月28日には「子育て世帯生活支援特別給付金」の再給付が閣議で決定され、5団体の合同要望書の1点目である低所得子育て世帯生活支援特別給付金の再給付という要望が実現するかたちとなりました。
さらに3 月 31 日、政府は「こども・子育て支援の強化について(試案)」を公表し、その中で示された「今後3年間で加速化して取り組むこども・子育て政策」(「加速化プラン」)において、児童手当の高校卒業までの支給年齢延長や所得制限撤廃、さらに高等教育については、2024 年度から中間所得層の多子世帯、理工農系の学生に給付型奨学金を拡大することが明記されました。
このような進展を歓迎しつつ、多くの子育て世帯が、長期化する新型コロナウイルス感染症に加えて物価高騰の影響に直面している現状を考えると、加速化プランで示されたこれらの対策が迅速に実施される必要があります。
児童手当に関しては、「加速化プラン」で示唆された多子世帯への加算のみならず、低所得の子育て世帯にはより手厚い給付を行うことも必要であり、かつ給付型奨学金についても、より対象を拡大した所得制限の緩和が必要です。(「加速化プラン」を含む政府の「子ども予算倍増」に対するセーブ・ザ・チルドレンの見解をまとめたポジションペーパーはこちら)
2023年4月にはこども家庭庁が発足しました。6月には「子どもの貧困対策の推進に関する法律」成立から10年を迎えます。この10年の間に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に加え、物価高騰などもあり、日本の子どもを取り巻く環境は大きく変化しました。
子どもの貧困対策は年を追うごとに前進している面もある一方、対策が実現して子どもに届くスピードよりも、子どもの貧困状況が速く深刻化し、長期化していることが懸念されます。
子どもたちは「いま」を生きており、その時間は取り戻せません。子どもが安心して暮らしたい、学びたいと思ったその時、その瞬間に支援や制度が届かなくては、子どもたちの「いま」を支えることはできません。
子どもの貧困とは、子どもたちの「生きる権利」、「育つ権利」をはじめとする、子どもが子ども時代に享受すべきすべての権利がおびやかされている状態です。
子どもたちを誰ひとり人置き去りにせず、生活や学びを支え、経済的に困難な状況にある子どもたちが安心して成長できる社会をつくるために、セーブ・ザ・チルドレンは、今後も子どもや保護者の声を聴き、他団体と連携しながら迅速で恒久的な変化を求める働きかけを続けていきます。
(報告:国内事業部 鳥塚早葵・田代光恵)