日本/子どもの貧困問題解決(公開日:2019.06.11)
ひとり親家庭向けおしゃべり交流会・ものづくりワークショップを宮城県石巻市で開催しました
セーブ・ザ・チルドレンは、2017年から宮城県石巻市で、ひとり親家庭の保護者が生活や子育てに役立つ情報を知ることができるように、また、子どもたちが多様な活動に参加できるように、ひとり親家庭の支援を行っています。2018年には、5月、7月、10月、12月に計4回のイベントを開催しました。
2019年は、イベント後も地域で必要な支援につながり、参加者同士が交流できるよう、石巻市で子育て支援をしているNPO法人ベビースマイル石巻と共同で、ひとり親家庭向け交流会および子ども向けものづくりワークショップを行いました。
◆保護者向けおしゃべり交流会
当日は石巻市在住の保護者7人が参加しました。参加者同士で経済的な不安や子どもとの関係性など個人的な悩みを共有しながら、「(ひとり親家庭向けに)資格取得する制度があっても学校が石巻市内になく、ほとんどは仙台まで行く必要があり、ひとり親家庭には厳しい」「時間が限られているため、ワンストップで手続きや情報が得られる窓口があるとありがたい」など地域に関わる課題についても話がありました。
また、宮城県母子福祉連合会で相談業務を行っている職員にも同席してもらったことで、話し合いの中で出てきた相談内容をその場だけでなく、継続して対応いただくことができました。ベビースマイル石巻、宮城県母子福祉連合会と参加者がつながり、参加者同士も交流できたことで、今後、地域で持続的なつながりを築くきっかけとなりました。
参加者からのアンケートには「普段話しにくい話題でもスムーズに話す事が出来ました」、「どの方も同じような悩みや思いがあることが知れてよかった。子どもから離れてゆっくりすることができた」と言った声があり、日々の子育てから一旦離れ、落ち着いた雰囲気の中、ひとり親家庭同士で集まり、悩みを相談・共有できる場の必要性が感じられました。
◆子ども向けものづくりワークショップ
保護者が交流会に参加している間、子どもたち8人は、地域でアート活動をしているペンギンズアート工房の人を講師に招いた、クラフトバンドを使ったアクセサリーづくりに参加しました。クラフトバンドを編んでいくのに苦労する場面もありましたが、講師やスタッフに手伝ってもらいながら、参加した子どもたちそれぞれがさまざまな色、形の材料からパーツを選び、自分だけのオリジナルのアクセサリーを完成させました。
「自分でゴムを作ったからむずかしかったけど楽しかった」、「自分の好きな色で作れるのが楽しかった。かざりもかわいいのがあってまよった」と、ワークショップを楽しんだ様子がアンケートの声からもうかがえ、実施後は、保護者に誇らしげに自分が作った作品を見せている姿がありました。
◆ひとり親家庭への支援施策の充実に向けた地域との連携
セーブ・ザ・チルドレンが行った経済的に困難な状況下にある子育て世帯に対する調査結果から、医療や進学、生活といったさまざまな面で、ひとり親家庭が深刻な状況に置かれていることが浮き彫りとなりました。
また、厚生労働省の「平成28年国民生活基礎調査」によると、ひとり親家庭の相対的貧困率は、50.8%であり、国がすすめる子どもの貧困対策でもひとり親家庭に対する情報交換事業といった支援策の充実がうたわれています。昨年同様、今回のイベント参加者からも、「イベントの定期開催」や「保護者同士の交流の機会」を望む声があがりました。
今後もセーブ・ザ・チルドレンでは、このような取り組みが持続的に行われるよう、地域の中で活動している団体と連携し、ひとり親家庭への支援施策の充実に向けて活動していきます。その一環として、今回の交流会などであがったひとり親家庭の声を行政に届ける政策提言も行っていく予定です。
(報告:東京事務所 山田)