日本/子どもの貧困問題解決(公開日:2023.02.02)
【活動報告】子どもの権利と子どもの貧困についての研修を実施:千葉県市原市職員対象
セーブ・ザ・チルドレンは、日本国内で子どもの貧困問題解決に取り組む中で、各地の都道府県市区町村との連携を行ってきました。2021年4月から、「子ども・若者の貧困対策アドバイザー」として、市原市の子ども・若者の貧困対策に関する助言を行っており、昨年度は「市原市子ども・若者貧困対策推進計画」の策定に協力しました。
2022年10月には、合計45人の市職員を対象に、子ども・若者の貧困対策に関する研修を行いました。
教育や保健福祉など、子どもに直接関連する部や課に加え、市をあげて子ども・若者の貧困対策に取り組もうと住宅政策や地方創生、商工業、観光・国際交流など多様な部署、そして管理職や一般事務職、専門職などさまざまな職位からの参加がありました。
研修では、まず子ども・若者の貧困問題について、子どもの権利の視点から理解を深めるために、子どもの権利の歴史や内容、日本の子どもを取り巻く現状、こども基本法(2022年6月成立、2023年4月1日施行)やこども家庭庁(2023年4月1日設置予定)、子どもの貧困問題をめぐる政府や法制度の動きなどについて説明しました。
次に、市原市の担当者から、2022年3月に策定された「市原市子ども・若者の貧困対策推進計画」について説明がありました。
この計画には基本方針として、以下の4つが掲げられています。
(1)親の妊娠・出産期から子どもの社会的自立までの切れ目のない支援
(2)自分ごと化による一歩踏み込んだ対策
(3)子ども・若者を主語とした包括的な連携
(4)『児童の権利に関する条約』の一般原則の順守
特に(4)で掲げられた、子どもの権利条約の一般原則と呼ばれる「差別の禁止」「子どもの最善の利益」「生命・生存・発達の権利」「聴かれる権利(意見表明権)」は、子どもの権利条約の中でも、国だけでなく、地方自治体や親・養育者、学校、企業、NGO/NPOなど、子どもに関わるさまざまな関係者が前提とすべき大切な原則です。
子どもの貧困対策を進める上でも重要な権利であると言えますが、自治体の子どもの貧困対策計画に明記されていることはほとんどなく、市原市の計画は先駆的と言えるでしょう。セーブ・ザ・チルドレンもこの計画策定に関わりましたが、子どもの権利保障の視点による子ども・若者の貧困対策を推進してほしいと改めてメッセージを伝えました。
その後は、具体的な事例を想定しながら子どもの権利と子どもの貧困について考えました。セーブ・ザ・チルドレンが開発したデジタルコンテンツをスクリーンに写しながら、子どもの貧困にはどのような権利が関わっているのかを考えるワークを行いました。
後半は、市職員同士で、子どもの権利条約の中から、市原市の子どもたちが守られていないと思う権利を理由とともに共有し、自身の業務に関連した子どもを取り巻く問題はどのようなものがあるか、どのような権利と関わっているのかをグループで話し合いました。各グループで、それぞれの直面する子どもや家庭の状況、その対応について意見を交換していました。
どのような問題があるのかを共有した後は、その解決のために市原市で子ども・若者の貧困対策として何ができるか意見出し合いました。グループに分かれて共有したあとは、全体にも発表し、部署での新たな取り組みや、部署を超えた連携の可能性など多くのアイデアが生まれました。
参加した市職員からは、次のような感想が寄せられました。
※感想は、市原市の了承を得て原文のまま掲載しています。
・考え方として、子どもの立場、視点に立つことが大事であるということを改めて感じました。例えば、私たち大人はよく「子供は未来」とか「将来の日本のために」などと言うが、当の本人達は、「今を生きているんだよ!」と言っていることを忘れてはならない。
・子どもの思うことと、大人が思うことの差があるのかなと感じました。子どもが求めていることを施策や事業にうまく取り入れることが出来たらいいと思いました。
・参加者との意見交換から、子ども・若者の貧困対策は、子どもの年代や生活環境の違いなど、様々な視点から課題を捉え、更に市の対策を練っていくことが大切だと感じました。
・自分の課だけでなく、他課とも連携していくことの大切さを再確認できた。
・是非、市内小中学校(含む、高等学校)で、教職員、更には児童・生徒に向けに研修(出張授業)等も行ってほしいと思いました。
子どもの貧困対策推進法ができて2023年6月で10年を迎えます。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、国も教育支援の拡充や、低所得子育て世帯向けの給付といった経済的支援などを打ち出してきました。一方、直接子どもや家庭に関する施策を実施するのは、子どもたちが暮らす自治体です。子どもの貧困対策推進にあたっては、自治体が子どもの貧困を社会課題としてとらえ、権利保障として取り組んでいくことが不可欠です。
セーブ・ザ・チルドレンは、引き続き、子どもの権利の視点に立った子どもの貧困対策が進むよう、市原市をはじめとする自治体と連携しながら活動を行っていきます。
*子どもの権利条約一般原則
差別の禁止(2条)、子どもの最善の利益(3条)、生命・生存・発達の権利(6条)、聴かれる権利(意見表明権)(12条)
くわしくは、こどものケンリ | おやこのミカタ (savechildren.or.jp)
(報告:国内事業部 鳥塚早葵)
2022年10月には、合計45人の市職員を対象に、子ども・若者の貧困対策に関する研修を行いました。
教育や保健福祉など、子どもに直接関連する部や課に加え、市をあげて子ども・若者の貧困対策に取り組もうと住宅政策や地方創生、商工業、観光・国際交流など多様な部署、そして管理職や一般事務職、専門職などさまざまな職位からの参加がありました。
研修では、まず子ども・若者の貧困問題について、子どもの権利の視点から理解を深めるために、子どもの権利の歴史や内容、日本の子どもを取り巻く現状、こども基本法(2022年6月成立、2023年4月1日施行)やこども家庭庁(2023年4月1日設置予定)、子どもの貧困問題をめぐる政府や法制度の動きなどについて説明しました。
次に、市原市の担当者から、2022年3月に策定された「市原市子ども・若者の貧困対策推進計画」について説明がありました。
この計画には基本方針として、以下の4つが掲げられています。
(1)親の妊娠・出産期から子どもの社会的自立までの切れ目のない支援
(2)自分ごと化による一歩踏み込んだ対策
(3)子ども・若者を主語とした包括的な連携
(4)『児童の権利に関する条約』の一般原則の順守
特に(4)で掲げられた、子どもの権利条約の一般原則と呼ばれる「差別の禁止」「子どもの最善の利益」「生命・生存・発達の権利」「聴かれる権利(意見表明権)」は、子どもの権利条約の中でも、国だけでなく、地方自治体や親・養育者、学校、企業、NGO/NPOなど、子どもに関わるさまざまな関係者が前提とすべき大切な原則です。
子どもの貧困対策を進める上でも重要な権利であると言えますが、自治体の子どもの貧困対策計画に明記されていることはほとんどなく、市原市の計画は先駆的と言えるでしょう。セーブ・ザ・チルドレンもこの計画策定に関わりましたが、子どもの権利保障の視点による子ども・若者の貧困対策を推進してほしいと改めてメッセージを伝えました。
その後は、具体的な事例を想定しながら子どもの権利と子どもの貧困について考えました。セーブ・ザ・チルドレンが開発したデジタルコンテンツをスクリーンに写しながら、子どもの貧困にはどのような権利が関わっているのかを考えるワークを行いました。
後半は、市職員同士で、子どもの権利条約の中から、市原市の子どもたちが守られていないと思う権利を理由とともに共有し、自身の業務に関連した子どもを取り巻く問題はどのようなものがあるか、どのような権利と関わっているのかをグループで話し合いました。各グループで、それぞれの直面する子どもや家庭の状況、その対応について意見を交換していました。
どのような問題があるのかを共有した後は、その解決のために市原市で子ども・若者の貧困対策として何ができるか意見出し合いました。グループに分かれて共有したあとは、全体にも発表し、部署での新たな取り組みや、部署を超えた連携の可能性など多くのアイデアが生まれました。
参加した市職員からは、次のような感想が寄せられました。
※感想は、市原市の了承を得て原文のまま掲載しています。
・考え方として、子どもの立場、視点に立つことが大事であるということを改めて感じました。例えば、私たち大人はよく「子供は未来」とか「将来の日本のために」などと言うが、当の本人達は、「今を生きているんだよ!」と言っていることを忘れてはならない。
・子どもの思うことと、大人が思うことの差があるのかなと感じました。子どもが求めていることを施策や事業にうまく取り入れることが出来たらいいと思いました。
・参加者との意見交換から、子ども・若者の貧困対策は、子どもの年代や生活環境の違いなど、様々な視点から課題を捉え、更に市の対策を練っていくことが大切だと感じました。
・自分の課だけでなく、他課とも連携していくことの大切さを再確認できた。
・是非、市内小中学校(含む、高等学校)で、教職員、更には児童・生徒に向けに研修(出張授業)等も行ってほしいと思いました。
子どもの貧困対策推進法ができて2023年6月で10年を迎えます。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、国も教育支援の拡充や、低所得子育て世帯向けの給付といった経済的支援などを打ち出してきました。一方、直接子どもや家庭に関する施策を実施するのは、子どもたちが暮らす自治体です。子どもの貧困対策推進にあたっては、自治体が子どもの貧困を社会課題としてとらえ、権利保障として取り組んでいくことが不可欠です。
セーブ・ザ・チルドレンは、引き続き、子どもの権利の視点に立った子どもの貧困対策が進むよう、市原市をはじめとする自治体と連携しながら活動を行っていきます。
*子どもの権利条約一般原則
差別の禁止(2条)、子どもの最善の利益(3条)、生命・生存・発達の権利(6条)、聴かれる権利(意見表明権)(12条)
くわしくは、こどものケンリ | おやこのミカタ (savechildren.or.jp)
(報告:国内事業部 鳥塚早葵)