日本/子どもの貧困問題解決(公開日:2022.09.30)
【活動報告】中高生世代向けデジタルコンテンツ「あなたのミカタ! 権利がワカルと世界がカワル」の普及を進めています
2022年3月にダウンロード申し込みを開始して以来、166件のダウンロードがあり、約2,000人がコンテンツを体験しています(申し込み時調べ)。
「あなたのミカタ!権利がワカルと世界がカワル」について
「あなたのミカタ!権利がワカルと世界がカワル」は、学習者が登場人物の立場に立ちながらストーリーが展開されていく、ロールプレイング型デジタルコンテンツです。子どもの貧困問題の実態についてより多くの人に知ってもらい、子どもの貧困は当事者だけが解決すべき問題ではなく、子どもの権利の視点から、社会全体で解決していく問題であるということを伝えるために、工学院大学情報学部コンピュータ科学科の藤川研究室の学生との協働で、2020年から開発されました。
このコンテンツでは、「進路選択」編と「アルバイト」編の2つのストーリーを選べるようになっており、プレイヤーは、主人公にどのように声をかけるかを選択しながら、子どもの権利や子どもの貧困問題、問題解決に役立つ制度などについて学ぶことができます。
今年3月の公開以降、より多くの人に活用してもらうために、6月に開催された子どもの権利条約総合研究所の研究総会で報告したり、7月には、こども環境学会でポスター発表を行うなど、普及に努めてきました。
実際にコンテンツを体験した大学生の声
今回、実際に大学の授業で活用したという事例が届いたので紹介します。
宮城学院女子大学では一般教育部の大学1年生用基礎演習(間瀬幸江准教授担当:2022年度)の授業で活用されました。担当教員からは「コンテンツの感想で一番多かったのが『権利ってたくさんあるんだ』と驚く声でした。『進路選択という何気ない会話の中に、たくさんの子どもの権利条約やその他の言葉が含まれていたことにおどろいた』、『日常生活のなかに、権利ってこんなにいろいろな種類があったのかと思った』などです」と、つい最近まで高校生世代であった学生たちが、身近な暮らしの事例を通して子どもの権利について知れた、という声が寄せられました。
開発時に、できるだけ子どもの権利を学習者の生活に引き寄せて考えられるようにしたいと意図していましたが、その目的が伝わっていることが分かる感想でした。
一方、開発当初には想定しなかったような活用例も同時に届きました。例えば、コンテンツ内では、子どもの権利を尊重する観点から主人公のである高校生の意見を聴くことが重視されていますが、学生たちから「あえて子どもの権利に寄り添わない選択をしたら、どういうお話になっていくのだろう」という声があがったため、授業では2度目にプレイする際は、あえて主人公の声を聴かない選択肢を選んでコンテンツを進めることも試されました。
すると、学生たちからは「やっていて途中からつらくなった」、「子どもの権利を意識せずに進路選択をしたら、選択肢が限られてしまう」、「主人公の沈黙がたくさんあって、それで話が終わってしまう」という声が寄せられたということでした。
あえて子どもの権利が守られていない状況を再現することで、学生たちが気づくことも多かったようです。
その他にも、「ヤングケアラーの話をみて、私の高校の時の友だちがそうだったのかなと思った」、「子どもの貧困について知りたかったので、大事なことばがたくさんでてきて勉強になった」といった感想から子どもの貧困をはじめ子どもを取り巻く環境について理解を深めた様子もありました。
また、これから保育を専門に学んでいこうとする学生の一人からは、「⼦どもたちとかかわる仕事をする際には、⾃分で勝⼿に判断して⾏動せず、⼦どもたちが実際に⾔葉にしていなくても、声のトーンや顔⾊などの⼩さな変化に気づいてあげられるようになりたいなと思いました」といった声も寄せられました。
このデジタルコンテンツは現在もダウンロードの申し込みを受け付けています。このように大学の授業で活用されているほか、中学校や高校、NPO団体などでの活用事例もあります。
具体的にどのように活用できるかなど、何か疑問点のある場合はご相談に応じます。少しでも関心のあるみなさんからの申し込み・問い合わせをお待ちしています。
==申し込み・問い合わせ先==
【お問い合わせ先】
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 国内事業部 子どもの貧困問題解決 社会啓発担当
Email: japan.soap@savethechildren.org
TEL:03-6859-0398(平日8時半〜18時半) FAX:03-6859-006
(国内事業部 子どもの貧困問題解決 鳥塚早葵)