日本/子どもの貧困問題解決(公開日:2023.10.19)
【インタビュー2】「出産応援金も赤ちゃん用品にまわせなかった」
2023年春「ハロー!ベビーボックス」を利用したSさんの声
2人目は、東海地方にお住まいのSさんのインタビューをご紹介します。(1人目はこちら)
Sさんは、住んでいる自治体の保健師の紹介で、ハロー!ベビーボックスに応募しました。アルバイトで生計を立てていますが、若年妊娠ということで不安もあったそうです。
「保健師さんが気にかけてくれて、家に妊娠中にちょこちょこと来てくれていたんです。その時に、こういうのがあるよと教えてもらいました。」
Sさんは生活のため産後すぐに仕事に復帰したということで、仕事のある日は、Sさんの母親が赤ちゃんを見てくれていると言います。
「赤ちゃんは、同居の母親にみてもらってます。シングルマザーなので、実家で。とりあえず1歳になるまでは母親と一緒にと思ってます。
産後すぐの職場復帰で、最初はきつかったんですけど、職場の人も気にかけてくれていて。そのおかげでなんとか大丈夫でした。出産前の仕事に戻ることができたし。」
前の仕事に戻ることができたものの、生まれたばかりの赤ちゃんのことはとても心配のようです。
「子どもが心配でもう全然仕事に集中できない。週に2、3回で1日8時間働いていますが不安です。一緒にいる時間が少なくなって、子どものことが心配。でも生活のためには働かないといけない。」
と、赤ちゃんとの生活を守るために働かざるを得ないことに葛藤もあります。Sさんは児童扶養手当については申請中で、現在審査結果を待っており、今後は赤ちゃんが1歳を過ぎたら、引っ越しをすることも考えているといます。
「引っ越しの貯金もして、フリマアプリで、ちょこちょこいらないものを売って、貯めているかんじですね。」と、赤ちゃんとの新生活のために、コツコツと準備を進めていることを教えてくれました。
※使用している写真はSさんから提供を受けたもの
また、出産費用については、2023年度から出産一時金が、これまでの42万円から50万円に増額されましたが、自費負担分も大きかったようです。
「今払っている途中ですが、合計10万を分割で、毎月2万ずつ払っています。」
出産一時金の増額については地域間の格差も大きく、「ハロー!ベビーボックス」の利用後アンケートでも「50万円以内で足りた」という意見もある一方、「一時金の増額にあわせて、産院も出産費用を増額しているところがあって意味がないなと感じた。」、「増額されても足りない可能が高いため、その支払いをどうしたらよいか不安」など、増額の効果を感じられないという声も上がっています。
また、国は2023年度から出産育児応援交付金の新制度を開始しました。Sさんは出産応援金については、妊婦健診費用や通院費に使い、赤ちゃん用品の購入にまわすことはできなかったと言います。
「妊娠時の5万円については、全くできなかった。1万円くらいはまわそうとしていたんですが、妊婦健診の補助はあるけれど、通院費とか、そういうのに使って、赤ちゃん用品にはまわすことができなかった。」
妊婦検診費用については自治体の補助があるものの、それだけでは足りず自己負担する場合も多く、また検診のため公共交通機関の利用が難しい場合はタクシーを利用することもあり、通院費にもお金がかかります。
出産育児応援交付金は、もともとは出産育児関連用品の購入や育児サービスの利用を促進する目的*がありますが、実際にはSさんのように、赤ちゃん用品の購入に使いたくても妊婦検診や通院費に費用がかかり、そちらに充てざるを得ない現状があります。
Sさんは最後に、
「赤ちゃんを産みたくても、お金がないから産めない人が多いと思うので、月に1万円でも、ミルクが無料で届いたりするとかでもあったら。」
と希望する支援について話してくれました。
***************
Sさんも1回目のインタビューのYさん同様、家族と職場、そして保健師などのサポートを受け、妊娠、出産を乗り越えており、周囲のサポートの重要性を改めて感じさせるインタビューでした。
しかし、すべての人に頼れる家族や理解のある職場があるわけではありません。支援を必要とする方が安心して妊娠、出産し、生まれてくる赤ちゃんのため必要なサポートを受けられるよう、セーブ・ザ・チルドレンでは今後も引き続き民間団体としてどのような支援ができるのか、支援のあり方について検討していきます。
同時に、「ハロー!ベビーボックス」でつながった妊産婦へのアンケートやインタビューを行い、子どもたちが誕生時から「健康に、安心、安全な環境で育つ」子どもの権利を保障するために、求められる支援制度や制度改善を国や自治体に訴えていきます。
\2023年秋「ハロー!ベビーボックス」申請受付中(〜10/25)/
1人でも多くの赤ちゃんが、安心、安全な環境で生まれ育つよう、セーブ・ザ・チルドレンでは経済的に困難な世帯の育児費用の負担軽減を目的として、新生児に必要な育児用品を詰め合わせた「ハロー!ベビーボックス」事業を実施しています。
妊娠中で経済的不安を抱えている方、また周りにそうした妊婦のお知り合いがいる方は、現在応募受付中の「ハロー!ベビーボックス」をご確認ください。条件に該当する方はお申し込みいただけます。(締め切りは2023年10月25日。発送は11月中旬。応募多数の場合は審査あり)
「ハロー!ベビーボックス」詳細はこちらから
オンライン応募フォームはこちらhttp://bit.ly/3E6iwjF
Sさんは、住んでいる自治体の保健師の紹介で、ハロー!ベビーボックスに応募しました。アルバイトで生計を立てていますが、若年妊娠ということで不安もあったそうです。
「保健師さんが気にかけてくれて、家に妊娠中にちょこちょこと来てくれていたんです。その時に、こういうのがあるよと教えてもらいました。」
Sさんは生活のため産後すぐに仕事に復帰したということで、仕事のある日は、Sさんの母親が赤ちゃんを見てくれていると言います。
「赤ちゃんは、同居の母親にみてもらってます。シングルマザーなので、実家で。とりあえず1歳になるまでは母親と一緒にと思ってます。
産後すぐの職場復帰で、最初はきつかったんですけど、職場の人も気にかけてくれていて。そのおかげでなんとか大丈夫でした。出産前の仕事に戻ることができたし。」
前の仕事に戻ることができたものの、生まれたばかりの赤ちゃんのことはとても心配のようです。
「子どもが心配でもう全然仕事に集中できない。週に2、3回で1日8時間働いていますが不安です。一緒にいる時間が少なくなって、子どものことが心配。でも生活のためには働かないといけない。」
と、赤ちゃんとの生活を守るために働かざるを得ないことに葛藤もあります。Sさんは児童扶養手当については申請中で、現在審査結果を待っており、今後は赤ちゃんが1歳を過ぎたら、引っ越しをすることも考えているといます。
「引っ越しの貯金もして、フリマアプリで、ちょこちょこいらないものを売って、貯めているかんじですね。」と、赤ちゃんとの新生活のために、コツコツと準備を進めていることを教えてくれました。
※使用している写真はSさんから提供を受けたもの
また、出産費用については、2023年度から出産一時金が、これまでの42万円から50万円に増額されましたが、自費負担分も大きかったようです。
「今払っている途中ですが、合計10万を分割で、毎月2万ずつ払っています。」
出産一時金の増額については地域間の格差も大きく、「ハロー!ベビーボックス」の利用後アンケートでも「50万円以内で足りた」という意見もある一方、「一時金の増額にあわせて、産院も出産費用を増額しているところがあって意味がないなと感じた。」、「増額されても足りない可能が高いため、その支払いをどうしたらよいか不安」など、増額の効果を感じられないという声も上がっています。
また、国は2023年度から出産育児応援交付金の新制度を開始しました。Sさんは出産応援金については、妊婦健診費用や通院費に使い、赤ちゃん用品の購入にまわすことはできなかったと言います。
「妊娠時の5万円については、全くできなかった。1万円くらいはまわそうとしていたんですが、妊婦健診の補助はあるけれど、通院費とか、そういうのに使って、赤ちゃん用品にはまわすことができなかった。」
妊婦検診費用については自治体の補助があるものの、それだけでは足りず自己負担する場合も多く、また検診のため公共交通機関の利用が難しい場合はタクシーを利用することもあり、通院費にもお金がかかります。
出産育児応援交付金は、もともとは出産育児関連用品の購入や育児サービスの利用を促進する目的*がありますが、実際にはSさんのように、赤ちゃん用品の購入に使いたくても妊婦検診や通院費に費用がかかり、そちらに充てざるを得ない現状があります。
Sさんは最後に、
「赤ちゃんを産みたくても、お金がないから産めない人が多いと思うので、月に1万円でも、ミルクが無料で届いたりするとかでもあったら。」
と希望する支援について話してくれました。
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Sさんも1回目のインタビューのYさん同様、家族と職場、そして保健師などのサポートを受け、妊娠、出産を乗り越えており、周囲のサポートの重要性を改めて感じさせるインタビューでした。
しかし、すべての人に頼れる家族や理解のある職場があるわけではありません。支援を必要とする方が安心して妊娠、出産し、生まれてくる赤ちゃんのため必要なサポートを受けられるよう、セーブ・ザ・チルドレンでは今後も引き続き民間団体としてどのような支援ができるのか、支援のあり方について検討していきます。
同時に、「ハロー!ベビーボックス」でつながった妊産婦へのアンケートやインタビューを行い、子どもたちが誕生時から「健康に、安心、安全な環境で育つ」子どもの権利を保障するために、求められる支援制度や制度改善を国や自治体に訴えていきます。
\2023年秋「ハロー!ベビーボックス」申請受付中(〜10/25)/
1人でも多くの赤ちゃんが、安心、安全な環境で生まれ育つよう、セーブ・ザ・チルドレンでは経済的に困難な世帯の育児費用の負担軽減を目的として、新生児に必要な育児用品を詰め合わせた「ハロー!ベビーボックス」事業を実施しています。
妊娠中で経済的不安を抱えている方、また周りにそうした妊婦のお知り合いがいる方は、現在応募受付中の「ハロー!ベビーボックス」をご確認ください。条件に該当する方はお申し込みいただけます。(締め切りは2023年10月25日。発送は11月中旬。応募多数の場合は審査あり)
「ハロー!ベビーボックス」詳細はこちらから
オンライン応募フォームはこちらhttp://bit.ly/3E6iwjF