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日本/子どもの貧困問題解決
(公開日:2024.03.22)

「児童扶養手当制度の利用しやすい運用を」子どもの食 応援ボックスを受け取った保護者の声

 
セーブ・ザ・チルドレンは、2020年より、子どもたちの食の状況改善を目的に経済的に困難な状況にある家庭を対象に、食料品などを提供する支援を行ってきました。今回、「2023年冬休み 子どもの食 応援ボックス」を利用した世帯の保護者に、子どもの食応援ボックスに申し込んだ経緯や、現在の状況などについて話を聞きました。

※お名前は仮名、写真はイメージ。
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「年末年始もなるべく休まず働かないといけません」(関東地方在住・サトウさん※)


サトウさんは数年前離婚し、幼稚園に通う子どもと小学3年生の子どもを1人で育てています。


「インスタグラムで『#シングルマザー』で調べたら、セーブ・ザ・チルドレンの子どもの食応援ボックスを見つけて申し込みました。物価高でお菓子がなかなか買えないので、子どもたちはお菓子を喜んでいました。親の私はお米と、お正月用のお餅が嬉しかったです。」と語るサトウさん。


現在パートタイムで働いているため、年末年始は子どもたちを幼稚園の預かり保育や小学校の放課後事業に預けてなるべく休まないようにしたといいます。



サトウさんは、幼稚園や小学校の行事、宿題など、子どもたちと向き合う時間を大切にするためパートタイムでの働き方を選んでいますが、小学校高学年になると、塾に行く子も多いと聞き、家計の不安は尽きません。


また、サトウさんは、主にひとり親を対象とした経済的支援である、児童扶養手当を利用していますが、2023年10月の更新で、離婚後はじめて、所得超過によって「一部支給」(児童扶養手当が満額支給から減額される)になりました。


■「離婚してからずっと全部支給だった、急に一部支給になったので驚きました。」


現在の児童扶養手当の仕組みでは、1年の所得額をもとに翌年6月に住民税などが決定し、夏に居住地の区市町村に現況届を提出、秋以降にそれから1年間の児童扶養手当額が決まります。


秋に新しい児童扶養手当証が発行されるまで、児童扶養手当の手当額が「全部支給」(満額)か「一部支給」かはわかりません。


年の途中では自分が「全部支給」か「一部支給」かわからず、かつ「一部支給」になることで児童扶養手当の減額分が収入の増額分を超えることもあるため、結果的に家計がマイナスにならないよう、働き控えをするケースもあります。


「私の場合は、パートの日数を増やしたら収入が上がりました。せめて年の途中で『今これくらいの所得だから、あとどれくらい働くと一部支給になります』とか、役所に行けばすぐに教えてくれるとか、自分で簡単に計算できるとかあればいいんですけれど・・・」と、サトウさんは言います。


また、ひとり親への就労支援についてもサトウさんには悩みがあるそうです。子どもと一緒に過ごす時間を作るために、働きに出ている時間以外にも、自宅でパソコンでできる仕事をしたいと思っていますが、パソコン教室に通いたいと思っても、なかなか希望する研修がありません。


「難しいプログラミングとかではなく、最低限のWordやExcelを教えてくれるような、簡単な教室を安価にやってほしいです。」


自治体によってはこうした教室を開催している場合もあります。しかし、地域で開かれていても、子育て、仕事、家事など時間の制約があるひとり親にとって、情報を集めるのはなかなか大変です。


たとえば離婚後の手続きで役所に行く際に、こうした教室の情報や、子ども食堂の情報など、ひとり親家庭の役に立つ情報をまとめて知れる仕組みがあれば助かると、サトウさんは言います。


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2023年12月22日に閣議決定された「こども未来戦略」において、「児童扶養手当の所得限度額の見直し」と「3人以上の多子世帯についての加算額を拡充」が記載されました。こうした動きは歓迎される一方で、児童扶養手当の減額分が所得の増額分を超えることを懸念して、働き控えをするといった現在の問題は残されたままです。


児童扶養手当はひとり親世帯の生活の安定や自立を促し、子どもたちが安心して暮らせるようにするための制度です。働けば働くほど手当が減額されてしまい、手元に残る所得が減ってしまう現状は改善していく必要があります。


セーブ・ザ・チルドレンは、引き続き政府や自治体に既存の制度の改善と経済的支援の充実などを訴えていきます。


また、私たちは、「子どもの食 応援ボックス」以外にも、子どもの貧困問題解決に向け,さまざまな取り組みを行っています。活動の最新情報は、随時こちらのページでお伝えしています。ぜひご覧ください。


(報告:国内事業部 鳥塚)





 

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