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日本/子どもの貧困問題解決
(公開日:2023.12.08)

【活動報告】こども大綱策定に向けた政策提言活動

 
セーブ・ザ・チルドレンは、新入学にあわせた給付金事業「子どもの食 応援ボックス」といった直接支援で得られたアンケート結果などをもとに、より一層の子どもの貧困対策拡充を求めて、政策提言を行っています。




2023年9月に、こども家庭庁は、子ども政策の基本的方針である「こども大綱」策定に向けて「今後5年程度を見据えたこども施策の基本的な方針と重要事項等 〜こども大綱の策定に向けて〜 (中間整理)」(以下、中間整理)を公表しました。


中間整理では、子どもの貧困が子どもの権利を侵害する深刻な課題であることや、その解消に向けて全力をあげて取り組むことが明記されている一方、子どもの権利保障に根差して子どもの貧困対策を推進するという観点からは、いまだ内容が不十分または不適切である部分も見受けられました。
そのためセーブ・ザ・チルドレンは、「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークとともに、こども大綱中間整理に対する共同意見書を公表しました。


全国各地の団体へ賛同を呼び掛けるとともに、こども家庭庁の長官官房審議官(支援局担当)、参事官(総合政策担当)、家庭福祉課、ひとり親家庭支援室の担当者などと面会しました。

<共同意見書で求めたポイント>
(1)子どもの貧困問題は国および自治体が解決すべき最優先課題の一つであると明記する
(2)こども施策の推進によって、子ども・若者が不利益を被ることのない表現とする
(3)経済的に困難な状況にある子ども・若者や子育て世帯による意見表明について明記する
(4)子どもの貧困の多様性、支援の届きにくい子ども・若者への支援を明記する
(5)労働条件・労働環境の改善、社会保障制度の充実を明記する
(6)こども大綱に添付される、「指標・目標」において子どもの貧困率削減目標や指標を明記する




こども家庭庁とは、子どもの貧困問題の解決に向けて確実に施策を推進していくことをこども大綱に明記することや、経済的に困難な状況にある子どもや保護者の意見表明などについて意見交換を行い、同10月22日にはパブリックコメントとして共同意見書を正式に提出しました。最終的には全国85団体から賛同が集まりました。
(賛同があった全85団体の団体名を明記した共同意見書はこちら


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◆賛同団体から寄せられた賛同理由(一部紹介)


●子どもの貧困は、子どもの権利侵害の最たるものの一つであるため


●子どもの貧困が、子どもの権利条約に明記されているすべての権利の否定という強いメッセージだが、生存や発達の権利はもちろんのこと、社会生活のあらゆる面で不利益や権利侵害を多重に生み出すことの深刻さを、きちんと認識したうえでの対策や施策でないと、表面的な取り組みで終わってしまうので、しっかりと責務として政府や自治体が取り組むという前提を、確認し、実効性をもって取り組んでもらいたい。


●子ども食堂、フードパントリーの活動を通して、困難を抱えた子どもたちの声が政治・行政に届かない現状を目の当たりにしています。子どもの参加する権利を実現するため、大人の意識改革と制度・仕組みの改革が必要だと思います。


●子どもの貧困が想像の上をいくほど進行をしており、物価高もあり家計負担が食費まで及んでいる。今日食べるご飯がないと朝6時に連絡がある。母親は夜不安の中で一睡もせず、先行きの見えない不安に押しつぶされそうになっているのだろうと思う。子どもの貧困は、表面には出にくく、また親自身が苦しい家計の状況に対して声を上げることは非常に少ない。もっと、具体的な施策を作り、経済的貧困だけではなく、教育、生活、人生の選択肢が子ども自身でもできるくらいの手厚い支援は必要であると考える。子どもたちの未来のために賛同します。


●よりしんどい状況に置かれている子どもの支援がなさすぎます。すべての子どもが夢や希望を持てる社会にしていくため賛同します。


●ヤングケアラー・若者ケアラーの生きにくさや困難の原因の一つに、しばしば経済的困窮・貧困があります。特に母子家庭でヤングケアラー・若者ケアラーになることが多く、家族ぐるみの支援、総合支援が必要になります。様々な困難を抱えたこども・若者への総合的な支援のために、施策の体系化や総合化が求められると思われます。


●親の経済状況や、外国人の場合在留資格によって、子どもの可能性が閉ざされてしまい、特定のグループについては、世代を超えて貧困が固定化されることを危惧しています。そうした問題を直視した政策的な対応が必要です。


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2023年12月に閣議決定される予定のこども大綱およびこどもまんなか実行計画において、子どもの貧困対策が確実に推進されるのか、政府が本当の意味で「こどもまんなか社会」を実現できるのか。セーブ・ザ・チルドレンをはじめとする市民社会は、今後もそのプロセスや内容注視し、政府への働きかけを進めていきたいと思います。


セーブ・ザ・チルドレンは、子どもの貧困問題解決に向けさまざまな取り組みを行っています。活動の最新情報は随時こちらのページ で更新しています。ぜひご覧ください。


(報告:国内事業部 鳥塚早葵)

 

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