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日本/子どもの貧困問題解決
(公開日:2022.01.24)

【活動報告】「コロナ×子どものまなぶ権利とおかねヒアリング」の発表会&トーク・セッションを開催しました

 
セーブ・ザ・チルドレンは、2021年10月30日と31日に、「コロナ×子どものまなぶ権利とおかね」ヒアリング調査結果オンライン発表会&トーク・セッション開催しました

このヒアリング調査では、学校にかかるお金や、学びにかかわることで新型コロナウイルス感染症流行の影響で困っていることなどについて、アンケートやインタビューを通して、約600人の中高生世代の子どもたちに意見を聴きました。発表会&トーク・セッションの参加者は、2日間を通して、教育・行政関係者や子どもたちなど40人を超えました。




前半のヒアリング調査結果発表会では、セーブ・ザ・チルドレンよりヒアリング結果や子どもたちの意見提言書のポイントを紹介しました。

後半のトーク・セッションでは、ゲストスピーカーの?澤靖明さん(川口市立小谷場中学校事務主査)、福嶋尚子さん(千葉工業大学工学部教育センター准教授)とともに、「お金の心配なく学べるには」というトピックに沿って参加者とディスカッションを行いました。




約10人に6人が「学校にかかるお金で困っている人がいる」と答えたアンケート結果を受けて、ゲストの?澤さんからは、「高等教育を受けるために、半数ほどの学生が奨学金を借りている現状。その縮図としての結果が本ヒアリングでも表れたと感じた。『高校も義務教育に位置付けてほしい』という子どもたちの意見もとてもよくわかる」とコメントがありました。

同じくゲストの福嶋さんも、「子どもの権利条約第31条の権利(遊んだり休んだり、文化・アート活動に参加する権利)がとても好き。特に子どもの時に経験する遊びや余暇、部活で経験することも非常に大切。衣食住を保障したら終わりではなく、育ちの場である学校であるからこそ、ゆとりの部分も考えるべき」と発言しました。




トークセッションでは、子どもたちをはじめ、教育関係者や支援関係者、保護者、研究者の大人の参加者からも活発な意見や、素朴な疑問などが多く出されました。また、参加後のアンケートでもさまざまな意見が寄せられました。

以下、意見や感想の一部をご紹介します(いずれも、ウェブサイトなどへの掲載承諾を得ています)。

■教材費・給食費・オンライン学習などについて

学校で進めていることなのにお金は個人でってなると なんかおかしい気がする。(子ども参加者)

「そもそもランドセルって必要?」という言葉を聴き、目から鱗でした。なぜかランドセルの支給や経済負担をどう軽くするかということを考えてしまいがちでしたので、そもそも論を考える大切さを学びました。(大人参加者)

・韓国は、高校にも給食があります。(2021年)4月からソウルや釜山などでは、今までの小中の給食無料に加え、高校も無料になりました。私立もです。(大人参加者)

(オンライン学習用の)タブレットは主に国の予算で配布していますが、「今後は地方で財源を」と示唆されています。タブレットは5年程度しか持たないので、5年後どうなるのか不安です。タブレットが壊れた場合の保証もさまざま。子どもの教育保障のために、家庭の私費負担を前提とする方法では、問題が出てしまうと懸念しています。(ゲストスピーカー ?澤さん)

・今回の調査で印象的なのは、お金がなくて進路を諦めたり、やる気がなくなったりした子がいたという結果でした。お金の問題が子どもたちの将来だけでなく、今の気持ちにまで影響しているということをもっと大事に考えなければ。(ゲストスピーカー 福嶋さん)




■子どもたちの意見を政府・社会に届けることについて


政府が思っている以上に、お金に困っている子どもは多いと思う。政府の人には、「もしお金がなかったら子どもはどう思うだろう?」と考えてほしい。自分が大臣だったら、お金で困っている人に対して給食費を無償化するなど国としてできることを、最初にやっていく。(子ども参加者)

・日本国憲法三大義務で教育を受けさせる義務があるにも関わらず、お金で困り、受けたい教育が受けられない人がいることに、国は真摯に向き合って解決して欲しい。また国は自分たちの想像などで政治を行うのではなく、国民(子どもから老人まで)の話を聞いてなるべく不公平にならないように政治を行って欲しい。(子ども参加者)

目安箱みたいに国に直接意見言いたい人多いと思うな〜。(子ども参加者)

教育現場で働いていますが、学校や教育行政の在り方を変えるためにできることを上手く示せず、結局行動もできずにいます。社会を変えるためには行動が必要という言葉が痛いほど刺さりました。(大人参加者)

教職員、地域住民、子どもたちなど、立場によってどんな一歩を出せるかは異なります。たとえば保護者であれば、年1回の学校評価アンケートで声をあげることができる。教職員であれば、教職員仲間や管理職と話してみる。学校は固定観念で動いていることが多いですが、この新型コロナ流行下というタイミングで、一度立ち止まって考えてみるということも1つの方法だと思います。当たり前を見直すことが大切です。(ゲストスピーカー ?澤さん)




今回のオンライン発表会では、報告書の内容にとどまらず、子どもたちが経済的な不安なく安心して学べる社会をつくるための意見やアイデアも多くあがりました。一方、学びにかかわるお金については、「家庭が負担して当然」といった意見がいまだ根強いことも確かです。
セーブ・ザ・チルドレンは、そうした社会の意識を変えていくことも重要だと認識しています。今後も子どもと大人がともに、学びにかかわるお金やその負担の軽減や無償化に向けて、一緒に考え話し合う機会をつくりながら、社会の議論を喚起していきます。

また、引き続き、「コロナ×子どものまなぶ権利とおかね」ヒアリング結果などをもとに、すべての子どもの教育を受ける権利が保障されるよう、国や自治体などの政策決定者に子どもたちの意見を伝え、働きかけを続けていきます。

※セーブ・ザ・チルドレンでは、「日本の教育、どうしてこんなにお金がかかるの?〜意外とかかる教育費〜教育の無償化について考えるポータルサイト」を開設しました。教育費や教育の無償化についてさらに知りたい方は、ぜひこちらのサイトもご覧ください。

(国内事業部 松山晶)

 

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