日本/子どもの貧困問題解決(公開日:2017.02.07)
「聴こえ、聴きづらかった本音の声!」子どもの貧困問題解決に向けたシンポジウム@宮城県石巻市
2017年1月31日、セーブ・ザ・チルドレンは子どもの貧困問題解決に向け、宮城県石巻市で「調査結果から見えてきた東北の子どもや保護者の現状と支援施策〜東日本大震災から6年、子どもの今と未来のために〜」を開催しました。
当日は、子育て支援センター職員、学校関係者、主任児童委員、社会福祉協議会、児童養護施設関係者、行政関係者、NPO関係者、一般参加者など、主に石巻市内で子ども・子育て支援等に携わる47名の方々が参加。他自治体の取り組みを知ろうと、石巻市と隣接した東松島市の行政職員の参加もありました。
最初に、セーブ・ザ・チルドレンから昨年実施した「給付型緊急子どもサポート〜新入学応援キャンペーン〜」の受給世帯を対象としたアンケート調査結果を報告。参加者からは「子どもの貧困についての現状が分かり、驚きましたが、アンケートの結果を見て今後の解決になるヒントも自分自身でも考えていければいいと思った」「聴こえ、聴きづらかった本音の声!貴重〜〜!!」など、改めて数字や保護者の声で現状を知る機会になったようです。
続いて、石巻市・石巻市教育委員会から、経済的に困難な状況下にある子どもや子育て世帯への支援施策について発表がありました。
石巻市教育委員会教育総務課からは、就学援助制度について保護者向けの案内資料をもとに紹介。市内で就学援助制度を利用している子どもの割合や、アンケート調査結果でも上がった支援が必要な家庭に対する周知徹底の課題など、課内での試行錯誤を踏まえながら語られました。参加者からは、「外国人の保護者など案内を読みづらい保護者を考慮する」、「学級懇談や保護者のネットワークを活用して配布する」など周知方法等について具体的な提案が行われたり、質問があがりました。
石巻市福祉部子育て支援課からは、ひとり親世帯向けの支援施策、特に児童扶養手当給付の現状と自立支援教育訓練給付金・高等職業訓練促進給付金について紹介。宮城県の発行する「ひとり親家庭支援ほっとブック」を活用しながら、ひとり親の方を応援するための制度について丁寧な説明がありました。
最後は、石巻市福祉部保護課から生活保護制度および生活困窮者自立支援制度について、NPO法人TEDICから市の委託を受け実施している生活困窮者自立支援制度における学習支援について発表がありました。保護課からは、生活保護の受給者数や、宮城県全体の傾向、一般市民が感じる生活保護認定の疑問や誤解まで紹介がありました。さらに、NPO法人TEDICからは、学習支援が子どもたちの生活支援の場として重要であることや、制度からこぼれ落ちてしまう子どもたちの存在についての説明がありました。
参加者からは、「現状の制度、広報、周知の課題など、分かりやすく教えていただいた。ただ、上から『こんなのあるぞ』と一方的に説明するのではなく、現場担当者の葛藤も聞けて、『血の通った制度』なんだな、と感じられた」「手続きや文章を読むのが苦手な方へどう支援していくか、自分たちの常識の壁を壊していく必要があるのではないか」という参加者自身の気づきに関する声もあがりました。
最後に石巻市福祉部子育て支援課から、「石巻市内で活動しているi色々な分野の方たちが集まってくれた。石巻市の子どもの貧困問題の解決に向けて、今日キックオフしたなという思い。いろんな方面から考えていきたいとは思うが、行政だけではすべてできない。ネットワークをつくって、市全体で、互いの専門性や活動を生かし、協力して取り組んでいきたい」との発言がありました。
「シンポジウムならではの質疑応答の自由さが良かった」「みなさんの思いに圧倒された」「子ども支援の仲間がこんなにたくさんいるということがわかり、勇気をもらった」という感想もあり、発表者そして参加者が、官民の立場を超え、子どもの貧困問題について考えた2時間となりました。
シンポジウムを受け、子どもの貧困問題の解決に向けて、自分たち一人ひとりにできることは何かという問いに対して、「まわりの様子に気をくばり、声かけができる様な関係性を築く事が重要であることと、勇気をもって声をかけること。気にかける事の大事さを感じた。」「自分もどんな援助があるのかを知り、伝えることが大切だと思った」「支援を必要としている人達が声を出しやすい地域・環境・状況づくり。ここにつながる何かができれば、と思う」「きちんと選挙へ行き、子どもへの施策に対し、きちんと取り組む人に投票することも大切かと思う」「はずかしいという意識をなくすためには、やはり子どもの権利の理解が必要」といった回答がありました。
セーブ・ザ・チルドレンでは、新入学シーズンを迎える今、日本の子どもの貧困問題解決に向けたさらなる動きにつなげるため、東京都千代田区でもシンポジウムを開催します!
まだお申し込みを受け付けていますので、ご関心のある方はぜひご参加ください。一人ひとりが子どもの貧困の現状や必要な制度を知り、思いや意見を共有し合いながら、声をあげていくことが問題の解決につながるのではないでしょうか?一人でも多くの方のご参加をお待ちしています!
(報告:東京事務所 田代光恵)