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日本/子どもの貧困問題解決
(公開日:2023.05.30)

【活動報告】宮城県で子育て支援の在り方に関する研修会を開催(2023年2月)

 

202327日、セーブ・ザ・チルドレンは宮城県との共催で、子育て支援のあり方に関する研修会を開催しました。

 

今回は、202111月に続く3回目の開催となり、当日は県内12市町村から子どもの貧困対策や子育て支援に携わる自治体職員、民間団体の職員や助産師会など計23人が参加し、有識者による講演会や、自治体、民間団体による子どもの貧困対策を含む子育て支援についての事例発表や活動報告が行われました。


またグループワークにより、子ども・子育て支援の課題や解決のためのアクションについて話し合われました。




はじめに、沖縄大学の山野良一教授より、子どもの貧困問題の現状について講演が行われました。


「日本における子どもの貧困とは何か」といった基本的な考え方に加え、新型コロナウイルス感染症の子どもの貧困問題への影響、また他自治体での子どもの貧困対策の実情について、沖縄県や大阪府などで行った自治体へのアンケート調査結果について報告いただきました。

 

報告の中では、特に、新潟県越前市における子どもの未来応援計画の策定について、ワーキンググループの中に子ども関連部署だけではなく、市水道課の水道料金担当を加えることで、料金滞納から貧困問題を把握できるようにしている他部署との連携の事例などが共有されました。

 



続いて、石巻市で子育て支援事業を行っているNPO法人ベビースマイル石巻代表理事の荒木裕美氏より、困難を抱えた親子に対する子育て支援の実例についての報告がありました。

 

NPO法人ベビースマイルは、石巻市でのマタニティ・子育てひろばや子育て包括支援センター「issho」、石巻市子どもセンター「らいつ」の運営など妊娠期から0歳から18歳までの切れ目のない子育て支援を行っており、子どもの権利に基づく子ども主体の活動に力を入れています。

 

山野教授の報告にもあった自治体間での部署や機関を超えた横の連携の重要性にもあったように、石巻市でも自治体や民間団体が連携して、子どもを取り巻く多様な機関が連携して支援の輪を広げている実例が紹介されました。

 

 


次に宮城県社会福祉協議会より、子どもの貧困対策として子ども食堂や古本、文房具品の無料譲渡会、食イベント交流会といった地域での実施事業について事例紹介がありました。

 

セーブ・ザ・チルドレンからは、2022年度に実施した「子ども給付金〜新入学サポート2022〜」、長期休み中の子どもの食の状況改善を目的とした「子どもの食 応援ボックス」、低所得世帯の出産・育児費用の軽減を目的とした「ハロー!ベビーボックス」の調査結果について報告し、経済的に困難な状況にある子育て世帯の育児や教育にかかる費用の負担、また物価上昇による影響についての結果を共有しました。さらに、20234月より施行された基本法、同じく4月に設置されたこども家庭庁設立と今後策定予定のこども大綱の概要について、子どもの貧困問題の視点から説明を行いました。

 

 

研修会の後半はグループワークを行い、「困難な状況にある子どもと親に対し、どのように支援情報を届け、必要な支援につなぐにはどうすればよいか?」というテーマで、参加者自身の実際の経験やその時の対応について、グループで話し合いました。


グループワークは事前に宮城県子育て社会推進課とセーブ・ザ・チルドレンが協議し、当日はセーブ・ザ・チルドレンがファシリテーターを務めました。

 


グループワークでは「相談に安心して来てもらえるように、ホームページに相談員の顔写真や簡単なプロフィールを入れて、事前にこういったスタッフがいるということを知ってもらうと相談に来やすくなるようだ」といった実際の業務上の経験や、「ママカフェを開いたり、同じ境遇の人が集まる機会をつくることで、他愛のない話からだんだんと悩みごとなどを話してもらえるようになる」といった提案が話し合われていました。



参加者からは、「行政窓口でがんばっている人たちとつながる大変ありがたい機会となった」、「(民間団体が実施している)子ども食堂の支援情報を聞けて助かりました」、「同じような課題を抱えていることがわかった」といったような、行政と民間団体との間で意見交換ができたことについて意義があったという声や、「行政とのつながりができたので今後に生かすことができそう」、「色々な業務や支援があり、何かあったときにつなげることができるという安心感がある」、「子ども食堂やフードバンクの方とつながることができた」など、今回の研修をきっかけとして、行政と民間団体のつながりができ、また支援のつなぎ先ができた、といった支援の連携強化についての意見もありました。

 


研修後のアンケートでも約9割の参加者が「参考になった」と回答するなど、子どもの貧困問題を含む子育て支援の在り方について考える有意義な研修となりました。

 



今年20234月にこども家庭庁が発足し、また児童手当の支給年齢を18歳まで延長する案が検討されるなど、政府は少子化対策の一環として子育て世帯への支援の強化に乗り出しています。

 

そうした中で子どもの貧困問題についてもより充実した対策が求められており、国や自治体だけではなく、民間団体も含む社会全体で子どもの貧困問題解決に向けた取り組みを強化していく必要があります。

 

今回の研修もそうした自治体と民間団体の連携を促進する良い機会になったと考えます。

 

セーブ・ザ・チルドレンは、今後も自治体における子どもの貧困対策の推進に向けて、都道府県や市町村の取り組みをサポートしていきます。

 

(国内事業部 北見)


 



 




 

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