(公開日:2015.06.01)中央アフリカ共和国:長引く紛争で6割以上もの子どもたちがPTSDに
中央アフリカ共和国の都市バンバリの小学校
中央アフリカ共和国の学齢期の子どもたちの6割以上が、長引く紛争の中で極度の暴力を目撃したり受けたりしたことで、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでいることが、子ども支援の国際NGOセーブ・ザ・チルドレンの調査で明らかになりました*1。
2013年から2年5ヵ月にもおよぶ武装勢力間の衝突による混乱の中で、中央アフリカ共和国の5歳から16歳の子どものほぼ4分の3が、家族・親戚や隣人に対する暴行や殺害のほか、砲撃、そして、なたによる襲撃を目撃したとされています。
調査の中で、セーブ・ザ・チルドレンがインタビューした子どもの43%が、身体的虐待や銃撃の被害に遭ったり、あるいは生命の危険に直面したりした経験がありました。彼らの65%は学校に行くのが恐くなるときがあると感じ、25%が恐怖のために実際に学校に通えないと答えました。また、インタビューを受けた子どもたちの91%が、過去に殺される、あるいはひどく傷つけられるのではないかという恐怖を経験しており、保護者の半数以上が、自分たちが暮らす地域は子どもたちにとって危険が大きすぎると思っていることもわかりました。さらには、調査の対象となった子どもたちの3分の2が、情緒、行動、学習、人間関係などの面で困難に直面していることが、子どもたち自身または保護者や教師の証言からわかりました。このような状況は、子どもたちの今後の成長に重大な影響を与える可能性があります。
セーブ・ザ・チルドレン中央アフリカ共和国事務所プログラム・クオリティ・ディレクターのルネ・ヤタマッソは、「この調査結果は、中央アフリカ共和国における紛争が子どもたちに及ぼす破壊的な影響を明らかにしています。子どもたちが困難な状況を克服して前進するために必要な支援が保証されなければ、この世代の子どもたちが今後何年にもわたって苦しむ結果となり、国の発展をも左右することになります。
こうした莫大なニーズがあるにも拘わらず、中央アフリカ共和国の子どもたちへの資金援助は非常に限られており、人道支援組織に対する拠出は、国連とNGOなどのパートナーシップによって策定された、中央アフリカ戦略的対応計画で要請された総額の約5分の1に留まっています。また、子どもたちの学び、安心・安全、そして健やかな成長(well-being)にとって欠かすことのできない教育支援に対する資金は皆無の状態です。
わたしたちは、子どもたちが心身ともに安心・安全に過ごせる場所としての学校を、早急に復興しなければなりません。同時に、心理的な問題を抱える子どもを識別し、そうした子どもたちが家庭や学校での日常生活を取り戻すことができるよう、コミュニティーの大人、保護者、教師、及び医療関係者の対応力を高めるための支援を行う必要があります。」と現場の深刻な状況を伝えています。
リジーさん(11歳)。小学校の平和クラブの代表を務めています。
*1:本調査(An evaluation of psychological needs of school-aged children in Bangui/Ouaka)は、2015年第1四半期に、18の学校と、2つのセーブ・ザ・チルドレンの「子どもひろば」で543人の子どもたちを対象に実施しました。調査の中で、111人の子ども、113人の保護者、66人の教師に対し、臨床心理士が直接的なコンサルテーションを行いました。また、調査対象となった子どもたちのうち、11%が学校に登校していませんでした。
中央アフリカ共和国の子どもたちへのご支援は、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン「いのち・みらい貯金箱」にて可能です。
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