トップページ > プレスルーム  > イエメン−近年最悪のジフテリア流行に直面する子どもたち

(公開日:2018.01.26)
イエメン−近年最悪のジフテリア流行に直面する子どもたち

セーブ・ザ・チルドレンは、サウジアラビア主導の連合軍による港湾封鎖によって、イエメンへの生活必要物資の輸入が妨げられる状態がこれ以上続けば、イエメンでのジフテリア流行による死亡者数は増加するおそれがあると警告します。


リマさん(4歳)。ジフテリア感染の疑いがあり、今月3日にセーブ・ザ・チルドレンの治療センターに入院しました。治療を受け快方に向かい、ワクチンの接種も受けました。


2017年11月にジフテリアの症例が急増して以来、人道支援団体は、1989年以降最悪のジフテリア流行への対応に苦慮しています[1]。これまでに、ジフテリアが疑われる症例716件と、死亡者52人の報告がありました。特に子どもたちが、ジフテリア感染に苦しんでおり、死亡者の90%は15歳未満の子どもたちです[2]。呼吸器ジフテリアは、症例のうち5〜10%が致命的で、感染の危険性は、接触感染または咳やくしゃみなどを介した飛沫による感染により、非常に高くなります[3]。

セーブ・ザ・チルドレンは、ジフテリア感染が最も深刻なイッブとホデイダで、治療と感染拡大の防止ために治療センターと隔離病棟を設置し支援活動をしています[4]。しかし、サウジアラビア主導の連合軍による、食料や燃料、人道支援物資など輸入のための主要港の封鎖により、こうした支援活動も妨げられています。2017年12月にイエメン全土の陸海空の港の封鎖は一部解除されましたが、毎月の燃料と食料の輸入量は、イエメンに暮らす人々の生活を維持するために必要な水準を大幅に下回っています[5]。

燃料不足による燃料費の高騰で、公共交通機関の運賃が倍増し、多くの患者がまだ機能しているわずかな保健医療施設へ行くこともできない状況です。封鎖がさらに厳しくなれば、子どもに甚大な影響を与える可能性がありました。

セーブ・ザ・チルドレン ホデイダ・フィールド・コーディネーター マリアム・アルドガニ医師は、「ジフテリアは、非常に感染力が強く、家族が受診のために数百マイルもの距離を、子どもたちを連れて医療施設に来るにもかかわらず、限定的な治療しかすることができません。時間をかけて医療施設に来ても、到着があまりに遅すぎ、そして道中で周囲の人々がジフテリアに感染してしまったこともあります。昨日、私は、子どもを失った母親とともに泣きました。その子どもがここに来たときにはすでに手遅れで、私たちが彼女に出来ることは何もありませんでした。

大半の人は予防接種を受けておらず、この種の流行に必要なワクチンの備蓄もありません。現在も続いている主要港の封鎖により、専門家や医療品医薬品、加えて病気の子どもたちの命をつなぐために必須である人工呼吸器などの入手が不可能になっています。今すぐ何らかの対応がなされなければ、ジフテリアの流行を止めることはできないでしょう」と話します。

セーブ・ザ・チルドレン イエメン事務所代表ターメル・キロロスは、「ジフテリアの流行は、この戦争がいかに総力戦で、破壊的であるかということを示すもうひとつの残酷な例です。コレラの流行によりすでに100万人以上が感染しており、そして、いま、私たちは、さらに致命的な病気の流行に直面しています。いずれの感染症も基礎的な衛生環境、保健医療、ワクチンがあれば予防可能な病気です。しかし、病院や保健医療施設を爆撃し、子どもたちが生き残るために必要な物資の輸送を遮断することで、すべての紛争当事者は、壊滅的な状況をさらに悪化させています」と訴えます。


[1]イエメンの最後の主要なジフテリア流行は、世界保健機関(WHO)のデータ(http://apps.who.int/gho/data/view.main-emro.1540_41?lang=en )によると、イエメンで前回ジフテリアが流行したのは、1989年。
[2]公衆衛生・人口省によると、2017年8月13日から2018年1月16日までの推定ジフテリア症例数の累積は716件。関連する死亡者数は、52人であった。 15歳未満の子どもは、症例数の66%および死亡者数の90%を占める(5歳未満の子どもは、症例数の18%、死亡者数の33%。5歳から9歳は、症例数の26%、死亡者数の34%、10歳から14歳は、症例数の22%および死亡者数の23%を占める)。
[3]WHO http://www.who.int/csr/don/22-december-2017-diphtheria-yemen/en/
[4]イエメン全土19県122自治体からジフテリア感染の疑いがある症例の報告がある。なかでも最も深刻な影響があるのはイッブとホデイダである。
[5]過去3週間半の間に、イエメン国内の毎月の燃料需要のわずか18%、毎月の食料需要の50%を超える程度の量が、北部の港から輸入された。詳細はこちら https://www.oxfam.org/en/pressroom/pressreleases/2018-01-18/yemen-still-starved-food-and-fuel-after-month-long-suspension







【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 広報 太田しのぶ
TEL: 03-6859-0011 E-mail: press@savechildren.or.jp

スポークスパーソンへのインタビューのお申込み(英語)
Email:a.roupell@savethechildren.org.uk /Simona.sikimic@savethechildren.org
TEL:+44 7760 221890
(24時間)Email:Media@savethechildren.org.uk /TEL:+44 7831 650409



あなたのご支援が子どもたちの未来を支えます

もっと見る

月々1500円から、自分に合った金額で子どもの支援ができます。
定期的に年次報告書や会報誌をお送りしています。

1回から無理なくご支援いただけます。

PAGE TOP