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(公開日:2018.03.20)
モンスーンの季節到来間近 ロヒンギャの人々へさらなる支援が必要

セーブ・ザ・チルドレンは、モンスーンの季節が近づき、バングラデシュの避難キャンプで生活するロヒンギャの人々に、新たな健康上の危険が発生すると警鐘を鳴らします。簡素な作りのシェルターが密集するキャンプはすでに人口が過密状態にあります。モンスーン期にはこの地域に大雨が降ると予想されます。


セーブ・ザ・チルドレンをはじめとする国際NGOおよび国連諸機関は、この3月、新たな対応計画を発表し、今後10ヶ月間に、バングラデシュに避難している約100万人のロヒンギャの人々と、受け入れ先コミュニティ(ホストコミュニティ)に暮らす33万6,000人を支援するために、9億5,000万ドル(およそ1,008億円)の資金が必要であると訴えています。

バングラデシュ南東部コックスバザールで支援に従事するセーブ・ザ・チルドレン保健アドバイザー ミリアム・バーガーは、「過密状態のキャンプで、すでに麻疹やジフテリアの流行が起こっており、憂慮すべき栄養不良の状態にある5歳未満の子どもたちも多数います。モンスーン期の雨により、キャンプ内にあるトイレの4分の1と井戸の半数が損傷を受けると予測されており、溢れでた排泄物と雨水が混ざり合い、人々の命を危険に晒す、新たな緊急事態が発生する可能性はとても現実的になっています」と言います。

国際NGOと国連との合同対応計画は、現在の子どもたちの栄養不良の状態を考慮すると、病気の流行により、数千人の子どもたちの命が奪われる危険性があると警告するとともに、トイレ5万個の整備と、排泄物を処理するための施設が、少なくとも30ヶ所必要であるとも訴えています。

コックスバザール地域では、モンスーン期に、降雨量が最も多くなるのは、6月から8月にかけてです。しかし、4月から大雨が降り、サイクロンは、4月中旬から6月中旬にかけて発生する恐れがあります。

バーガーは、続けて、「インフラ整備の強化や、より安全な場所へ最も脆弱な家族を移転するなどの準備を喫緊に、そして、大規模に行わなければ、今後予測される天候は、確実に大きな混乱をもたらすでしょう。多数のシェルターが破壊され、道路や低地にあるシェルターへの浸水、橋の崩壊、地滑り発生の可能性があると考えられています。すでに起こっている危機に、さらなる危機が起こり、数千人の子どもたちの命を脅かすことになるでしょう。

特に、雨期が間近に迫っているなかで、こうした対応計画を完全に進められるよう必要な資金を確保することは必須です。これまでに複数の国から寛大な支援がありましたが、さらなる支援が必要です」と訴えます。

雨期に備えての準備のほかに、引き続き、数十万人への食料の提供や、基礎的な保健医療サービスへのアクセス向上、シェルターの補強も必要です。この合同対応計画では、短期間に数十万人のロヒンギャの人々の流入により大きな影響を受けているコックスバザールのホストコミュニティに対するさらなる支援も含まれています。ホストコミュニティへの支援には、保健や教育サービスの強化、生業、小規模事業者の振興、植林などへの支援があります。

新しい対応計画では、ロヒンギャとホストコミュニティの子どもたちあわせて50万人以上に対する教育支援のために4,700万ドル(およそ50億円)が必要とされています。この支援には、少なくとも5,000の教室の設置と資格を持った教員の配置が必要です。教室があれば、モンスーンの季節などに備えて、防災を学ぶための場所にもなります。

セーブ・ザ・チルドレン教育アドバイザー ヘザー・キャロルは、「バングラデシュに避難しているロヒンギャの子どもたちの4分の3は、教育の機会が得られず、また、ホストコミュニティに暮らす子どもたちの半数近くが、小学校を卒業できません。キャンプの生活において、教育は、子どもたちの未来を守る重要な手段のみならず、学習する場は、それ自体が安全で健康的に過ごす場所であり、家族が離散することの予防やモンスーンへの備えと対応方法について子どもたちと話す重要な場所にもなっています。

さらに、学習の場は、虐待、早婚あるいは強制的な結婚、児童労働、搾取、人身売買から子どもたちが保護される安全な場所でもあります。私たちスタッフにとっても、保護の問題に直面する子どもたちや、病気、心的外傷や苦痛を負う子どもたちのように、さらなる支援を必要とする子どもを特定する機会となります」と話します。

セーブ・ザ・チルドレンは、現在、ロヒンギャの子どもたちが、第一言語で学習できる場100ヶ所以上と、心理社会的支援を提供する「こどもひろば」86ヶ所を運営していますが、今後、キャンプにある学習の場1,102ヶ所のうち226ヶ所が洪水の被害にあう危険性が高く、さらに別の30ヶ所が地滑りの被害にあう危険性が高い状況です。




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公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 広報 太田しのぶ
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