(公開日:2023.05.20)【声明】G7広島サミット:人道危機への210億ドルの誓約を歓迎-保健・教育への行動は不足
(更新日時:2023年5月21日午前3:26)
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2023年5月20日、世界で最も豊かな7ケ国が参加し、広島で開催されたG7サミットの首脳宣言が発表されました。セーブ・ザ・チルドレンは、G7首脳宣言において、平和や国際協力の重要性が盛り込まれたことを歓迎します。
数百万人の子どもたちが紛争の影響を受ける地域で暮らしており、身体的のみならず精神的な被害に遭う危険に晒されています1。紛争予防と平和の構築は、今の、そして未来の子どもたちの状況改善のために不可欠です。さらに私たちは、G7が今年、飢餓の危機を含む人道支援に210億ドルの資金拠出を約束したことに対しても、歓迎の意を表します。
しかしながら、私たちは、明確かつ行動につながる誓約が保健・教育に対してなされなかったことについては、失望もしています。持続可能な開発目標(SDGs)の達成期限までの中間地点はすでに越え、もはや一刻の猶予もありません。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのアドボカシー部長 堀江由美子は、次の通り訴えます。
『G7のリーダーたちは、世界中の子どもたちに対する十分な約束を示していません。国際保健分野においては、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成に向けた具体的かつ実行しうる誓約がなかったことを残念に思います。
子どもたちの命を守るためには、必須保健・栄養サービスにすべての人がアクセスできるようにすることや、地域の保健ワーカーの能力強化支援など、プライマリーヘルスケアのアプローチによる保健システムの強化が不可欠です。
これらの分野に対し、首脳宣言で支持が示されていることは歓迎しますが、言葉を行動に移し、2023年9月に国連で開催されるUHCに関するハイレベル会合で重要な変革をもたらすためには、いま、G7によるリーダーシップが必要です。
さらに残念なことに、必要な人的資源や資金が不足している国々への資金拠出や、グローバル・ファイナンシング・ファシリティが必要とする資金ギャップに対する拠出など、国際保健に関する必要な取り組みに対して、G7による新たな資金誓約はなされませんでした。
加えて、私たちは日本政府に対し、緊急下における教育への支援についても誓約を行うよう強く求めてきました。
セーブ・ザ・チルドレンは、首脳宣言の中で包摂的かつ衡平で質の高い教育の確保が独立したパラグラフとして取り上げられ、すべての子どもたちの教育へのアクセスを含む教育の重要性が首脳宣言に明言されたことを歓迎します。
また、紛争や自然災害などの緊急期・長期化する危機下における教育支援を行う唯一の国連の基金である「教育を後回しにはできない基金(Education Cannot Wait(以下ECW)」が言及されたことを評価します。
しかし、2億2,200万人の紛争や災害などの危機の影響を受ける子どもや若者が教育支援を必要とし、1億3,000万人の少女が教育を受けられずにいる状況2を踏まえれば、教育支援のための具体的な資金拠出の誓約がなかったことを残念に思います。
本声明の発表時点では、ECWに対する日本政府からの初の拠出表明は出されていません。結果として、G7の中で唯一ECWに資金拠出を行っていないのは日本だけ、という状態のままとなっています。さらに、G7は、「学校保護宣言」への賛同・実施を世界の国々に求めることも、明言しませんでした。』
全体として、G7広島サミットでは重要な課題が議論されましたが、世界の子どもたちに喫緊に必要な変化をもたらすための十分な約束は示されていません。現在進行中の複合的な危機を解決するためには、行動と資金が必要であり、世界で力のあるG7の国々が政治的な意志を示し、リーダーシップを発揮することが求められます。
1. Stop the War on Children: A crisis of recruitment, Save the Children (2021)
2. The world is failing 130 million girls denied education, OHCHR (23 Jan 2023)
【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 広報
TEL: 03-6859-0011 E-mail: japan.press@savethechildren.org
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