日本/東日本大震災/子どもにやさしい地域づくり(公開日:2015.09.03)
東北の子どもたちが国連事務総長特別代表(防災担当)と意見交換!
もうすぐ東日本大震災から4年半。2015年8月29日、岩手・宮城・福島県の子どもたち7名が、国連事務総長特別代表(防災担当)/国連国際防災戦略事務局(UNISDR)ヘッドのマルガレータ・ワルストロム氏と対談しました。ワルストロム氏と東北の子どもたちとの対談は、2012年7月・10月、2013年2月・10月 に続き5回目となります。今回の対談で、子どもたちは一人ひとりの経験をもとに、世界のより良い防災に向けて、どのようなことを伝えたのでしょうか?
■震災から4年間復興・防災に取り組んできた子どもたち■
今回の対談に臨んだのは、岩手県山田町、陸前高田市、宮城県石巻市の子どもまちづくりクラブや防災に関する国際会議の国内事前ワークショップに参加し、震災直後から復興・防災に取り組んできた中学1年生〜高校3年生の子どもたち。うち1名は2012年7月の世界防災閣僚会議の際にワルストロム氏と面会しましたが、他の6名ははじめての対面です。
自己紹介の後、まずは三地域の子どもまちづくりクラブの4年間の取り組み、それを通じた自分や地域の変化を発表します。山田町のメンバーは、行政・地域と連携してつくる「(仮称)山田町子ども交流センター」について、陸前高田市のメンバーは、子どもたちと政策決定者が意見交換する「進め!高田っ子!まちづくりトーク☆」や写真を通じて高田の『今』を発信する「進め!高田っ子!まちづくりフォト☆」について、石巻市のメンバーは子どもたちが中心となって企画・デザインし完成した「石巻市子どもセンター」と商店街活性化にむけた取り組みを報告。
ワルストロム氏からは、「みなさんの活動は素晴らしく、まさしく“VICTORY”、勝ち取ったものと言えるでしょう。2012年7月にお会いした時には、みなさんはおとなが子どもの意見を聞いてくれないと言っていました。しかしながら、その後みなさんが色々考え、戦略をつくり、活動を地域の人に理解してもらい、前進していったのだと思いました」と、コメントがありました。
■世界のより良い防災に向けた子どもたち一人ひとりのメッセージ■
活動発表の後は、2011年8月3日に東北の子どもたち37名が復興庁に提出した提言書を紹介。この提言書を通じて国に訴えたことをふまえ、今度は一人ひとりの東日本大震災の経験をもとに、国際社会に伝えたいことを発表しました。
「震災の教訓を世界中の人たち伝えたい。震災前、地震が起きた時に備えた避難訓練をしていたけど、津波を想定した避難訓練は行われていなかったため、どこにどのように逃げればいいのか知識がほぼなく、子どもの私たちもさらにはおとなも戸惑い、大きな犠牲者を出す原因になった。なので、津波警報が出たら何も持たずにいち早く逃げること、家には戻らないことなど基本的なことを伝えられれば命が守られると思う。」(宮城県石巻市・高2・女子)
「被害を防ぐために、地域の若者とお年寄りが日頃からつながりをもち、災害時に一緒に避難したらいい。震災後自分の身の回りの人が亡くなってしまった人は、いくら地域が復興しても、心は立ち直れないまま。その人の心を復興させるために、世界から心の復興を手伝ってくれる人が被災地に来てくれるといいと思う。これからの復興には、地域の人の心の復興も伴わなくてはいけない気がする。」(岩手県陸前高田市・中3・女子)
「原発事故って何っていう状態で避難して不安でいっぱいだったので、せめて自分の地域の情報を小さい子からお年寄りまでちゃんと情報を伝えてほしい。そして、避難していた時もいまも風評被害はあるけど、福島に足を運んだり、福島の人の話を聞いたりして知ってほしい。子どもをはじめ幅広い年代に正しい情報を伝えてほしい。」(福島県いわき市・高2・女子)
「私が住んでいる町の隣に女川原発がある。原発の存在は知っていたけど、地震が起きたらどうなるのか、機械が止まって放射能が出てきたらどうなるのか、原発が危険ものでこんなに大きな影響があるとは思いもしなかった。なので、原発についてもっと話し合った方が良いと思うし、みんなで知恵をしぼって安全で安心なエネルギーを生み出していくことが必要だと思う。」(宮城県石巻市・中3・女子)
「地域の住人の声をもっと取り入れ、大人と子どもが平等の立場で防災やまちづくりについて話し合い、何か一つのものを一緒につくれる場を提供してほしい。子ども目線の考えと大人目線の考えは両者に気づきや新しい発想を与え、いい刺激になるから。対策に自分が関わったと感じた人は、今より防災に愛着を感じ、防災意識も高まると思う。」(岩手県山田町・高3・女子)
「自分たちが体験した、東日本大震災は突然おきたものであり、前から知っていたわけではないので、備えもしていなかった。今、自分たちは子どもまちづくりクラブに入って復興について知り、自分たちでより良いまちにするためにアイデアを出している。だから、学校で、子どもまちづくりクラブの活動を参考に、防災や復興について話し合ったり、何か起こった時には子どもと大人一緒に話し合ったほうが、復興がすすむと思う。」(岩手県山田町・中1・男子)
「多くの子どもが復興に関わりたいが、機会がえれず、何もできてない人も多くいる。子どもも復興に関われるイベントの機会を作ってほしい。また、まちのほんとんどをなくしてしまったからこそ、一から素晴らしいまちをつくるきっかけになるのではないか。建てる建物にはアンケートを取り、家族を亡くしてしまった遺族の方にも納得のいくようなまちづくりをしてほしい。」(岩手県陸前高田市・中2・女子)
発表後、「みなさんは物理的な復興だけではなく、社会的、心理的な復興を大切だと感じているのだなと思いました。だからこそ、情報へのアクセスや復興のプロセスに参加することを大切だと思っているのだなと」とワルストロム氏。さらに、「みなさんの活動が世界中の子どもたちに勇気を与えることでしょう。今年3月に仙台で行われた第3回国連防災世界会議で合意された仙台防災枠組には、その一つの大きな柱として、“build back better”ということが明記されています。復興の過程でより良いまちをつくるということですが、なかなか今まで実例というのがあまりなかったので、ぜひ、みなさんの活動を通じて、より多くの人に知ってもらえたらいいなと思います。だから、みなさんの活動を積極的に発信していってほしいし、国連国際防災戦略事務局でもホームページなどで共有していきたいです」と子どもたちへの力強いメッセージがありました。
■これからもより良い復興・防災に向けて歩む子どもたち■
対談の中で、ワルストロム氏に将来の夢を尋ねられる場面もありました。その質問に、「卒業後は大学で地域活性や復興のための勉強をして、その後、地元の防災やまちづくりに携わりたい」「農業改良普及員っていう仕事をやってみたい。田んぼや畑を改良して、人と関わりながら、少しストレスたまってたりとか、不安なことがある方たちの心のケアをやりながら、地域の農業の活性化も関わっていきたい」と子どもたち。
子どもたちは、地域とつながりながら、より良い復興・防災に向け取り組む中で、自分の将来の夢もみつけています。後日、当日の動画と子どもたちの感想を紹介しますので、お楽しみに♪
(東京事務所:津田 知子)
■震災から4年間復興・防災に取り組んできた子どもたち■
今回の対談に臨んだのは、岩手県山田町、陸前高田市、宮城県石巻市の子どもまちづくりクラブや防災に関する国際会議の国内事前ワークショップに参加し、震災直後から復興・防災に取り組んできた中学1年生〜高校3年生の子どもたち。うち1名は2012年7月の世界防災閣僚会議の際にワルストロム氏と面会しましたが、他の6名ははじめての対面です。
自己紹介の後、まずは三地域の子どもまちづくりクラブの4年間の取り組み、それを通じた自分や地域の変化を発表します。山田町のメンバーは、行政・地域と連携してつくる「(仮称)山田町子ども交流センター」について、陸前高田市のメンバーは、子どもたちと政策決定者が意見交換する「進め!高田っ子!まちづくりトーク☆」や写真を通じて高田の『今』を発信する「進め!高田っ子!まちづくりフォト☆」について、石巻市のメンバーは子どもたちが中心となって企画・デザインし完成した「石巻市子どもセンター」と商店街活性化にむけた取り組みを報告。
ワルストロム氏からは、「みなさんの活動は素晴らしく、まさしく“VICTORY”、勝ち取ったものと言えるでしょう。2012年7月にお会いした時には、みなさんはおとなが子どもの意見を聞いてくれないと言っていました。しかしながら、その後みなさんが色々考え、戦略をつくり、活動を地域の人に理解してもらい、前進していったのだと思いました」と、コメントがありました。
■世界のより良い防災に向けた子どもたち一人ひとりのメッセージ■
活動発表の後は、2011年8月3日に東北の子どもたち37名が復興庁に提出した提言書を紹介。この提言書を通じて国に訴えたことをふまえ、今度は一人ひとりの東日本大震災の経験をもとに、国際社会に伝えたいことを発表しました。
「震災の教訓を世界中の人たち伝えたい。震災前、地震が起きた時に備えた避難訓練をしていたけど、津波を想定した避難訓練は行われていなかったため、どこにどのように逃げればいいのか知識がほぼなく、子どもの私たちもさらにはおとなも戸惑い、大きな犠牲者を出す原因になった。なので、津波警報が出たら何も持たずにいち早く逃げること、家には戻らないことなど基本的なことを伝えられれば命が守られると思う。」(宮城県石巻市・高2・女子)
「被害を防ぐために、地域の若者とお年寄りが日頃からつながりをもち、災害時に一緒に避難したらいい。震災後自分の身の回りの人が亡くなってしまった人は、いくら地域が復興しても、心は立ち直れないまま。その人の心を復興させるために、世界から心の復興を手伝ってくれる人が被災地に来てくれるといいと思う。これからの復興には、地域の人の心の復興も伴わなくてはいけない気がする。」(岩手県陸前高田市・中3・女子)
「原発事故って何っていう状態で避難して不安でいっぱいだったので、せめて自分の地域の情報を小さい子からお年寄りまでちゃんと情報を伝えてほしい。そして、避難していた時もいまも風評被害はあるけど、福島に足を運んだり、福島の人の話を聞いたりして知ってほしい。子どもをはじめ幅広い年代に正しい情報を伝えてほしい。」(福島県いわき市・高2・女子)
「私が住んでいる町の隣に女川原発がある。原発の存在は知っていたけど、地震が起きたらどうなるのか、機械が止まって放射能が出てきたらどうなるのか、原発が危険ものでこんなに大きな影響があるとは思いもしなかった。なので、原発についてもっと話し合った方が良いと思うし、みんなで知恵をしぼって安全で安心なエネルギーを生み出していくことが必要だと思う。」(宮城県石巻市・中3・女子)
「地域の住人の声をもっと取り入れ、大人と子どもが平等の立場で防災やまちづくりについて話し合い、何か一つのものを一緒につくれる場を提供してほしい。子ども目線の考えと大人目線の考えは両者に気づきや新しい発想を与え、いい刺激になるから。対策に自分が関わったと感じた人は、今より防災に愛着を感じ、防災意識も高まると思う。」(岩手県山田町・高3・女子)
「自分たちが体験した、東日本大震災は突然おきたものであり、前から知っていたわけではないので、備えもしていなかった。今、自分たちは子どもまちづくりクラブに入って復興について知り、自分たちでより良いまちにするためにアイデアを出している。だから、学校で、子どもまちづくりクラブの活動を参考に、防災や復興について話し合ったり、何か起こった時には子どもと大人一緒に話し合ったほうが、復興がすすむと思う。」(岩手県山田町・中1・男子)
「多くの子どもが復興に関わりたいが、機会がえれず、何もできてない人も多くいる。子どもも復興に関われるイベントの機会を作ってほしい。また、まちのほんとんどをなくしてしまったからこそ、一から素晴らしいまちをつくるきっかけになるのではないか。建てる建物にはアンケートを取り、家族を亡くしてしまった遺族の方にも納得のいくようなまちづくりをしてほしい。」(岩手県陸前高田市・中2・女子)
発表後、「みなさんは物理的な復興だけではなく、社会的、心理的な復興を大切だと感じているのだなと思いました。だからこそ、情報へのアクセスや復興のプロセスに参加することを大切だと思っているのだなと」とワルストロム氏。さらに、「みなさんの活動が世界中の子どもたちに勇気を与えることでしょう。今年3月に仙台で行われた第3回国連防災世界会議で合意された仙台防災枠組には、その一つの大きな柱として、“build back better”ということが明記されています。復興の過程でより良いまちをつくるということですが、なかなか今まで実例というのがあまりなかったので、ぜひ、みなさんの活動を通じて、より多くの人に知ってもらえたらいいなと思います。だから、みなさんの活動を積極的に発信していってほしいし、国連国際防災戦略事務局でもホームページなどで共有していきたいです」と子どもたちへの力強いメッセージがありました。
■これからもより良い復興・防災に向けて歩む子どもたち■
対談の中で、ワルストロム氏に将来の夢を尋ねられる場面もありました。その質問に、「卒業後は大学で地域活性や復興のための勉強をして、その後、地元の防災やまちづくりに携わりたい」「農業改良普及員っていう仕事をやってみたい。田んぼや畑を改良して、人と関わりながら、少しストレスたまってたりとか、不安なことがある方たちの心のケアをやりながら、地域の農業の活性化も関わっていきたい」と子どもたち。
子どもたちは、地域とつながりながら、より良い復興・防災に向け取り組む中で、自分の将来の夢もみつけています。後日、当日の動画と子どもたちの感想を紹介しますので、お楽しみに♪
(東京事務所:津田 知子)