日本/子どもの貧困問題解決(公開日:2026.02.10)
「ひとりで子どもを育てながら働くのは大変」子どもの食 応援ボックスを受け取った保護者の声
セーブ・ザ・チルドレンでは、2020年から、夏休みなどの長期休みに子どもたちの食生活を支えるため、経済的に困難な状況にある世帯に食料品などを届ける「子どもの食 応援ボックス」を実施しています。
2025年の夏休みに、このボックスを利用された保護者の方に、利用した感想や国に求める支援を聞きました。
(前回紹介した保護者の声はこちら)
※お名前は仮名、写真はイメージ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(関西地方在住・ウツミさん※)
【子どもたちが満足するまでご飯を食べさせられない】
「開けて、開けて!」「わぁ、すごーい!」
「子どもの食 応援ボックス」が届くと、子どもたちは箱を囲み、うれしそうに開けるとウツミさんは話します。
ウツミさんは、小学生の子ども3人と子の祖母の5人で暮らしています。平日、ウツミさんの仕事が休みの日には、子どもたちが学校から帰ってくるなり「お腹すいた!早くごはん、ごはん!」と元気いっぱいに催促するそうです。
昼食は学校の給食ですが、それでも子どもたちはお腹をすかせて帰ってきます。ウツミさんは「私たちが子どものころの給食は、もう少し量があったように思います」と話します。
米の価格が高くなっているので、家では炊く米の量を決めています。おかわりをしたいと言われても、「今日はこれだけ。また次に炊くときにもう少し炊くね」と言って我慢するように話すこともあるそうです。
「本当は、子どもたちはもっとたくさん食べたいのだと思います。毎回『おかわりはないよ』と言うのは、つらいですね」
「昼食は量こそ十分ではないかもしれませんが、給食なので栄養のバランスは取れていると思います。でも、家では十分におかわりさせてあげられないんです」。子どもたちが満足するまでご飯を食べさせられない、とウツミさんは話します。
【ひとり親で子どもを育てながら働くのは、本当に大変】
ひとり親で小学生の子ども3人を育てているウツミさん。祖母も働いているため、頼ることができず、子どもの通院や学校行事が平日にあるときはご自身ひとりで対応せねばならず仕事を休むそうです。
「今の職場は理解くださっていますが、私が休んだ分、周りの人が忙しい思いをするので、『日にち変えられないの?』と言われるなど、困るというニュアンスは伝わってきます。子どもが怪我をするなどで、連絡があったら早退させてもらうときもあるので、子どもを育てながら働くのは本当に大変だと思っています」
「コロナ下の時は、仕事を休むことが頻繁にあったのですが、医療関係の職場だったこともあり『頻繁に休まれると迷惑だから、そういう場合でも受け入れてくださる違う職場を探したらどうですか』と言われました。私としてもそういわれると居づらいですし、『迷惑』と言われるといたたまれない思いで…。それがきっかけでそこの職場を辞めました」
国は子育てや介護をしながら働き続けられるよう、仕事と家庭を両立しやすい職場環境づくりを推進するなど取り組んでいますが、子育て世帯が働きやすい環境とはなっていないようです。

【子どもの病気による欠勤に対する、給与の保障制度があれば】
1人の子どもが感染症にかかると、その後2人目の子どもにうつり、3人目にもうつり、1ヶ 月働けないということもあるそうです。
「1人目がやっと登校できると思ったら2人目が熱を出して、また職場に『休ませてください』という感じで、そうこうしていると3人目も熱を出し、職場に連絡すると『今月いっぱい休んでください』と言われてしまい、まるまるお給料がもらえなかった月もありました」
「病児保育の制度もありますが、住んでいる自治体では申し込みをし、預けられるか決定するのが当日の朝9時で。9時前に仕事が始まる職場だったので9時に預けられるとわかっても、それでは遅くて利用することができず、仕事を休むしかない。もし、仕事に間に合う時間に決定したとしても、1日に預かれる人数が6人と決まっていて、小さい子どもが優先なので預けられない状況です」
病児保育とは、実施施設が医療機関と連携しながら病気の子どもを一時的に保育する制度です。しかし、定員数が少ない、実施している施設が少ない、居住地から遠い、未就学児に限られる、より年少の子どもが優先となるなど、誰もが利用できるという状況になっていません。
「医療機関に勤めていることもあり、職場から『子どもが感染症などの病気であれば休んでほしい』と言われてしまうこともあります。職場からの要請で働けないという状況なので、給料の60%とか、何%かでも国に保障していただける制度があるとありがたい」とウツミさんは言います。
「パートタイムで働いているので時給を上げていただいたらもちろんありがたいですが、賃金を上げていただいても、結局、子どもの病気などで休むことになれば、直接的には変わらないんですよね」
物価上昇に収入が追いついていない現状に加えて、子どもが病気の時には働けず、収入がなくなってしまう。そういった点からも、子どもをひとりで育てながら働くのは本当に大変と感じているようでした。

【第二子以降の児童扶養手当額を、第一子と平等に】
最後に、ウツミさんに政府や社会に伝えたいことを伺いました。
「児童扶養手当の金額がなぜ1人目だけ特別大きいのか、2人目以降の額が下がることが私は理解できないです。かかるお金は一緒だと思うのと、子どもの病気に関しても、3人が病気をうつしあうので仕事を休む期間も伸びてしまう。政府はそういうところを考えてほしい」とウツミさんは言います。
児童扶養手当は、主にひとり親世帯が利用できる経済的支援制度です。 保護者の所得に応じて、第一子は最大で月額4万6,690円支給され、第二子以降は子どもの人数に応じて月額1万1,030円が加算されます(2025年度の額)。児童扶養手当制度は、「父または母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の安定と自立の促進に寄与すること」*1を趣旨としていますが、子ども1人に対して同額支給される制度ではなく、十分な手当額とは言えません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
厚生労働省が実施した調査*2によると、86.3 %の母子世帯の母が働いており、父子世帯の父の働いている割合(88.1%)と同様、就労率は高いと言えます。しかし、「正規の職員・従業員」が母子世帯の場合は48.8%、父子世帯の場合は69.9%に対し、「パート・アルバイト等」は 母子世帯の場合は38.8 %、父子世帯の場合は4.9%と、母子世帯の非正規雇用者の割合が高く、父子世帯の父の平均年間収入が518万円であるのに対して母子世帯の母の平均年間収入は272万円となっています。子育て世帯の平均所得は813.5万円*3であることに比しても母子世帯の収入の低さが際立っています。
今回は、ウツミさんから、子どもの看護で働きたくても働けず、収入が減ってしまう状況のお話を伺いました。特にひとり親世帯の場合、他に頼れる大人がおらず、仕事を休まざるを得ない状況があります。ウツミさんのお話から、子どもの貧困問題解決のためには、子育てをしながらでも働きやすい環境の整備や、子どもの看護で休業した場合の補償、児童扶養手当などの経済的支援を拡充し、十分な収入が得られるような対策が求められています。
*1 児童扶養手当法第1章第1条 「児童扶養手当について」(こども家庭庁)
https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya/fuyou-teate/
*2厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12862028/www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188147_00013.html
*3 厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査」
調査の概要|厚生労働省
セーブ・ザ・チルドレンでは「子ども給付金 〜新入学サポート〜」以外にも、子どもの貧困問題解決に向けさまざまな取り組みを行っています。活動の最新情報は随時こちらのページで更新しています。ご関心がある方はぜひご覧ください。
本事業は、個人・法人の多くの皆さまからのご寄付により実施されています。
【日本の子どもの今を応援する募金】
貧困や災害など、困難な状況にある子どもたちのための活動を支えてください。
https://x.gd/eslEg
2025年の夏休みに、このボックスを利用された保護者の方に、利用した感想や国に求める支援を聞きました。
(前回紹介した保護者の声はこちら)
※お名前は仮名、写真はイメージ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(関西地方在住・ウツミさん※)
【子どもたちが満足するまでご飯を食べさせられない】
「開けて、開けて!」「わぁ、すごーい!」
「子どもの食 応援ボックス」が届くと、子どもたちは箱を囲み、うれしそうに開けるとウツミさんは話します。
ウツミさんは、小学生の子ども3人と子の祖母の5人で暮らしています。平日、ウツミさんの仕事が休みの日には、子どもたちが学校から帰ってくるなり「お腹すいた!早くごはん、ごはん!」と元気いっぱいに催促するそうです。
昼食は学校の給食ですが、それでも子どもたちはお腹をすかせて帰ってきます。ウツミさんは「私たちが子どものころの給食は、もう少し量があったように思います」と話します。
米の価格が高くなっているので、家では炊く米の量を決めています。おかわりをしたいと言われても、「今日はこれだけ。また次に炊くときにもう少し炊くね」と言って我慢するように話すこともあるそうです。
「本当は、子どもたちはもっとたくさん食べたいのだと思います。毎回『おかわりはないよ』と言うのは、つらいですね」
「昼食は量こそ十分ではないかもしれませんが、給食なので栄養のバランスは取れていると思います。でも、家では十分におかわりさせてあげられないんです」。子どもたちが満足するまでご飯を食べさせられない、とウツミさんは話します。
【ひとり親で子どもを育てながら働くのは、本当に大変】
ひとり親で小学生の子ども3人を育てているウツミさん。祖母も働いているため、頼ることができず、子どもの通院や学校行事が平日にあるときはご自身ひとりで対応せねばならず仕事を休むそうです。
「今の職場は理解くださっていますが、私が休んだ分、周りの人が忙しい思いをするので、『日にち変えられないの?』と言われるなど、困るというニュアンスは伝わってきます。子どもが怪我をするなどで、連絡があったら早退させてもらうときもあるので、子どもを育てながら働くのは本当に大変だと思っています」
「コロナ下の時は、仕事を休むことが頻繁にあったのですが、医療関係の職場だったこともあり『頻繁に休まれると迷惑だから、そういう場合でも受け入れてくださる違う職場を探したらどうですか』と言われました。私としてもそういわれると居づらいですし、『迷惑』と言われるといたたまれない思いで…。それがきっかけでそこの職場を辞めました」
国は子育てや介護をしながら働き続けられるよう、仕事と家庭を両立しやすい職場環境づくりを推進するなど取り組んでいますが、子育て世帯が働きやすい環境とはなっていないようです。

【子どもの病気による欠勤に対する、給与の保障制度があれば】
1人の子どもが感染症にかかると、その後2人目の子どもにうつり、3人目にもうつり、1ヶ 月働けないということもあるそうです。
「1人目がやっと登校できると思ったら2人目が熱を出して、また職場に『休ませてください』という感じで、そうこうしていると3人目も熱を出し、職場に連絡すると『今月いっぱい休んでください』と言われてしまい、まるまるお給料がもらえなかった月もありました」
「病児保育の制度もありますが、住んでいる自治体では申し込みをし、預けられるか決定するのが当日の朝9時で。9時前に仕事が始まる職場だったので9時に預けられるとわかっても、それでは遅くて利用することができず、仕事を休むしかない。もし、仕事に間に合う時間に決定したとしても、1日に預かれる人数が6人と決まっていて、小さい子どもが優先なので預けられない状況です」
病児保育とは、実施施設が医療機関と連携しながら病気の子どもを一時的に保育する制度です。しかし、定員数が少ない、実施している施設が少ない、居住地から遠い、未就学児に限られる、より年少の子どもが優先となるなど、誰もが利用できるという状況になっていません。
「医療機関に勤めていることもあり、職場から『子どもが感染症などの病気であれば休んでほしい』と言われてしまうこともあります。職場からの要請で働けないという状況なので、給料の60%とか、何%かでも国に保障していただける制度があるとありがたい」とウツミさんは言います。
「パートタイムで働いているので時給を上げていただいたらもちろんありがたいですが、賃金を上げていただいても、結局、子どもの病気などで休むことになれば、直接的には変わらないんですよね」
物価上昇に収入が追いついていない現状に加えて、子どもが病気の時には働けず、収入がなくなってしまう。そういった点からも、子どもをひとりで育てながら働くのは本当に大変と感じているようでした。

【第二子以降の児童扶養手当額を、第一子と平等に】
最後に、ウツミさんに政府や社会に伝えたいことを伺いました。
「児童扶養手当の金額がなぜ1人目だけ特別大きいのか、2人目以降の額が下がることが私は理解できないです。かかるお金は一緒だと思うのと、子どもの病気に関しても、3人が病気をうつしあうので仕事を休む期間も伸びてしまう。政府はそういうところを考えてほしい」とウツミさんは言います。
児童扶養手当は、主にひとり親世帯が利用できる経済的支援制度です。 保護者の所得に応じて、第一子は最大で月額4万6,690円支給され、第二子以降は子どもの人数に応じて月額1万1,030円が加算されます(2025年度の額)。児童扶養手当制度は、「父または母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の安定と自立の促進に寄与すること」*1を趣旨としていますが、子ども1人に対して同額支給される制度ではなく、十分な手当額とは言えません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
厚生労働省が実施した調査*2によると、86.3 %の母子世帯の母が働いており、父子世帯の父の働いている割合(88.1%)と同様、就労率は高いと言えます。しかし、「正規の職員・従業員」が母子世帯の場合は48.8%、父子世帯の場合は69.9%に対し、「パート・アルバイト等」は 母子世帯の場合は38.8 %、父子世帯の場合は4.9%と、母子世帯の非正規雇用者の割合が高く、父子世帯の父の平均年間収入が518万円であるのに対して母子世帯の母の平均年間収入は272万円となっています。子育て世帯の平均所得は813.5万円*3であることに比しても母子世帯の収入の低さが際立っています。
今回は、ウツミさんから、子どもの看護で働きたくても働けず、収入が減ってしまう状況のお話を伺いました。特にひとり親世帯の場合、他に頼れる大人がおらず、仕事を休まざるを得ない状況があります。ウツミさんのお話から、子どもの貧困問題解決のためには、子育てをしながらでも働きやすい環境の整備や、子どもの看護で休業した場合の補償、児童扶養手当などの経済的支援を拡充し、十分な収入が得られるような対策が求められています。
*1 児童扶養手当法第1章第1条 「児童扶養手当について」(こども家庭庁)
https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya/fuyou-teate/
*2厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12862028/www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188147_00013.html
*3 厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査」
調査の概要|厚生労働省
セーブ・ザ・チルドレンでは「子ども給付金 〜新入学サポート〜」以外にも、子どもの貧困問題解決に向けさまざまな取り組みを行っています。活動の最新情報は随時こちらのページで更新しています。ご関心がある方はぜひご覧ください。
本事業は、個人・法人の多くの皆さまからのご寄付により実施されています。
【日本の子どもの今を応援する募金】
貧困や災害など、困難な状況にある子どもたちのための活動を支えてください。
https://x.gd/eslEg



