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日本/子どもの貧困問題解決
(公開日:2026.03.23)

「親に経済的・時間的・体力的余裕がないと、子どもを体験活動に参加させられない」―子ども体験プログラム参加者の保護者の声(1)―

 

多くの子どもが当たり前のように参加できている体験活動でも、経済的に困難な状況にある子どもたちが十分に経験できていないことが、社会的な課題となっています。そこで、セーブ・ザ・チルドレンは、経済的に困難な状況にある子どもたちの体験の機会を保障するため、2022年から夏休みや週末に「子ども体験プログラム」を実施しています。2025年は、「ブロック教室」「美術館鑑賞」「野外活動体験」「舞台観劇」の4つのプログラムを実施しました。(詳しくはこちら




今回、「美術館鑑賞」に参加した高校1年生の保護者にお話を聞きました。(「野外活動体験」に参加した小学校4年生の保護者のお話はこちら


Q.申し込みのきっかけは?

以前、セーブ・ザ・チルドレンの別の事業を利用し、それでメールが来て知ったのがきっかけです。子どもは普段美術に興味がないのですが、「美術館の人の話が聞けるよ」とか「特別な機会だよ」と伝えると、興味をもった様子でした。あと食事付きのプログラムだったので、「美味しいご飯をみんなで食べてきたら?」と言うと喜んでいました。

ひとり親世帯だと、1人で子どもを連れだすのは負担が大きく、いろいろなところに連れていく機会が減りがちです。私は人に恵まれて、知り合いの人が子どもをあちこち連れ出してくれました。でも知り合いにお願いすると、相手へのお礼なども考えて気を遣って疲れてしまうこともあります。最近は支援団体のプログラムに参加することが多いです。こうした団体だと、皆さん仕事として取り組んでいるので、状況を理解してくれているし、甘えてもいいのではないかなと思えるので。 

 

Q.保護者から見た「子ども体験プログラム」の印象は?

とても楽しかったようで、帰宅後もずっとプログラムや建築(※建築系の展示を見学した)の話をたくさんしてくれました。美術館のキュレーターさんが興味を持てるように働きかけてくれたのだと思います。

同じ参加者の話もしていました。普段の学校では恋愛の話ばかりでつまらないようなのですが、今回はプログラム内で同じ経験をした子たちと「何をどう感じたか」という話をできたのが良かったようです。子どもには自分の価値観を見つける旅をしてほしいと思っているので、こうしてそのお手伝いをしてもらえるのはありがたいです。

 

Q.参加後に何か変化はありましたか?

これまで消極的だったほかの体験プログラムにも、積極的に参加するようになりました。これまでと違い、情報を伝えるとすぐに「行く!」と言うようになったり、「ご飯があるなら行こうかな」と言うようになったり。

家では二人で食事をすることが多く、私がご飯を作るだけでぐったりしてしまい、一人で食べてもらうこともあります。「おいしいね」などの会話も少なくて、寂しい思いをさせているのではと気がかりでした。プログラムに参加して、みんなでわきあいあい食べるという経験をしてもらえたことも嬉しいです。保護者視点から言うと、食事を作らなくてよいこと、そして物価高騰もあって食費を捻出するのが大変なので、食事付きのプログラムはすごく助かります。

 

Q.今後どのようなプログラムがあると嬉しいですか?

娘は高校生なので、進路を考えるきっかけになる体験があれば嬉しいです。別の団体のIT関係のプログラムや、物流関係の職業体験に参加したこともあるのですが、やってみてそちらの方向は興味がない、反対に「あの仕事は結構好きかも?」と分かったりしました。年齢が下の子ども向けの職業体験施設はありますが、もう少し上の年齢版があれば、将来の選択肢が広がると思います。

また、東京だけではなく、いろいろな地域でそういうプログラムがあって広がるとよいと思います。

 

Q.子どもにとって、体験や遊びをすることはどのような意味があると思いますか?

遊びを通して、想像力を育て、ほかの人の考え方や視点を学ぶ機会になると思います。親だけと接していると視野が狭くなってしまうので。遊びから生まれるものが学びにつながっていくと思います。遊びを通して興味を持って、「これをやりたい」という動機づけがないと勉強もできないと思います。

いろいろな体験をさせてあげたいと思っても、自分1人では経済面や精神・体調面でそうした体験をさせてあげる余裕がないことも多いです。なので、普段聞けないような話が聞けると普段とは違う特別な機会になりますし、いろいろなことへの関心が高まると思います。

 

Q.やらせてあげたかったが、やらせてあげられなかった体験はありますか?

習い事は送迎や入会金の負担が大きく、特に小さい頃は親が付き添わないといけないので、ひとり親世帯にはハードルが高いです。子どもが中学生の頃からずっとダンスを習いたいと言っていたのですが、現在は他団体の奨学金のおかげで、習えるようになりました。支援がなかったら叶わなかったと思います。

子どもも「バイトしようかな」と言ったり、欲しいものを聞いても「何もないよ」と言いますが、我慢をしているのではないかなと。聞いたところで経済的に全部を叶えられるわけではないので、こういう活動をしている団体があるのはとても助かります。

美術館なども無料になる日がありますが、入館料以外でかかる交通費や食事、親の体調・体力などを考えるとなかなか行けないです。「いってらっしゃい」と送り出して任せられるのはとてもありがたいです。

 

Q.国や自治体、地域で、子どもの体験活動に関してあったらよいと思う制度や支援は?

子どもの居場所づくりや学習支援はありますが、以前利用した時に行政の都合で短期間で終了してしまいました。継続性がないと、子どもから「今週は行けないの?」と言われ、親としては心苦しいです。10年くらいやり続けて効果が分かるものだと思うので、行政は長く続けてほしいです。

体験活動は、単発のものでも良いと思います。まず興味を持ってもらう、とりあえず外に出てみるというのも大切だと思います。長期や複数回参加必須の体験となると、少し重たい印象を受けますし、親の体調が悪い場合など「毎回参加できないからやめておこう」と、ハードルが高くなると思います。

また、親の支援を考えることが大切だと感じます。体験活動に申し込んでみようと思っても、日々の生活で疲れ切ってしまって、メールを読むのもしんどかったり、申し込めたけど忙しすぎて日時を忘れてしまい、その後申し込みしづらくなったり…。そういう本当に余裕がない人もいると思います。親に経済的・精神的・体力的な余裕がないと、機会があっても、なかなか子どもを参加させられないと思います。子どもは単独では動くことはできないので…。

 

Q.同じような状況にいる方たちに、何か伝えたいことやメッセージはありますか?

「1人じゃないよ、1人で抱え込まないで」と伝えたいです。こうしたイベントなどへの参加は、親自身がそういう経験をしていないため、ルールや状況が分からず、参加のハードルが高くなる場合もあると思います。でも、実際参加してみると、支援団体の方たちは、とてもこちらの状況を理解してくれていると感じます。周りに頼っていいんだと思って、少しでも参加へのハードルが下がると、いろいろな子どもたちが参加しやすくなると思います。

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今回のインタビューから、子どもたちが体験活動に参加するには、経済的な負担だけでなく、保護者の体調や体力面、気持ちや時間の余裕といった条件が整わないと難しいということが分かります。特にひとり親世帯では、仕事や家事・育児をひとりで対応しなければならず、日常の負担の大きさから「行かせてあげたいのに行かせてあげられない」という状況が生まれやすくなっています。

一方で、インタビューからは、子どもが体験活動を通じて新しい価値観に出会い、意欲が芽生えること、自分に合う/合わないを実感できることは、子どもにとって大きな意味を持ち、すべての子どもが持つべき機会だであることもうかがえました。

 

セーブ・ザ・チルドレンは、これからも子ども体験プログラムを継続するとともに、政府や社会に対して、子ども時代の体験の機会の重要性や経済的に困難な状況にある世帯への支援の必要性について伝えていきます。

 

セーブ・ザ・チルドレンでは体験プログラム以外にも、子どもの貧困問題解決に向けさまざまな取り組みを行っています。活動の最新情報は随時こちらのページで更新しています。ご関心がある方はぜひご覧ください。

 

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(国内事業部 子ども体験プログラム担当)



 

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