日本/子どもの貧困問題解決(公開日:2025.09.10)
出産前からの切れ目のない支援を 〜「ハロー!ベビーボックス」利用者の声から〜
セーブ・ザ・チルドレンは、誕生時から「健康に、安心・安全な環境で育つ」子どもの権利を保障するため、また、低所得世帯の育児費用の負担軽減を目的として、新生児に必要な育児用品を詰め合わせた「ハロー!ベビーボックス」の提供を行っています。
6回目の実施となる2025年春(応募期間4/3~5/30)は、全国の妊産婦へ750箱を提供しました。

今回、「ハロー!ベビーボックス」を利用された九州地方在住の未婚ひとり親、イトウさん(仮名・20代)に、応募に至った経緯や、望んでいる支援の内容について、お話を聞きました。
今回受け取った「ハロー!ベビーボックス」について、どこでお知りになりましたか。
「自治体の保健師さんに産後の話や最低限揃えておいてほしいものなどを教えてもらい、その際にボックスのことを知り、申し込みました。届いてみると、出産後に必要なものがひととおり揃っていて、驚きました。」
「妊娠中はつわりがひどく、仕事も休みがちだったり、夜勤の仕事を控えないといけなかったりと、収入が減ってしまいました。また、初めての子育てで、一人で育てなければいけず、そこも不安でした」
妊娠中は心身の体調の変化が激しく、働くことに制限が出て収入が減少してしまうことはままあります。そうした時に国や自治体の経済的サポートが、出産前からあるといいですね。
「はい、妊娠前に生活費のために借り入れた借金も弁護士さんのサポートで解決し、また今は生活保護の申請が通りました。ただ、ひとり親に支給される児童扶養手当は、妊娠前でたくさん働けていた一昨年の収入を基準に支給が決まるので、今すぐはもらえないと自治体の方からは言われました。」
出産後の今、求める支援はなんでしょうか。
「初めての出産、育児で、何を用意したらいいかわからないので、「ハロー!ベビーボックス」のようなボックスが皆にもらえるとよいなと思います。また、自治体の保健師さんはすごく親身になって話を聞いてくれたんですが、妊娠中から気軽に相談できるところがもう少したくさんあると、不安になることがないかなと思いました。どこに相談していいかわからないし、『みんな同じだから』と言われてしまったりすると、もう話せないなと思ってしまうので。(選択肢が)もう少しあるといいと思います。
あと、昼間はなんとかやりきれるんですけど、夜になってワンオペで子どもの世話をしていると「今後どうなるんだろう」と不安に襲われることもあります。そういう時に気軽に相談できる、夜間もやっている窓口や、同じような悩みを抱えている人と出会える場があるとありがたいなと思います。」
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国は2025年4月から、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援として、妊娠届出時に5万円、妊娠後期以降には妊娠している子ども1人当たり5万円の支援給付を行っています。また、出産後、子どもが2歳未満の間に時短勤務をした場合は、賃金の原則10%を支給するなど、「こども未来戦略 加速化プラン」をもとに子育て支援をすすめています。
こうした支援の拡充は歓迎される一方で、今回のイトウさんのように出産前のつわりや心身の体調の変化が激しい時期に働けず、収入が減少してしまうことがあります。妊娠期においても経済的な不安なく安心して過ごせるよう、さらなる支援策を講じる必要があるのではないでしょうか。
また、イトウさんのお話からは、出産後の孤立しやすい時期には、気軽に相談しやすい窓口の開設や時間延長などの検討も求められています。すでに一部の自治体で、SNSでの相談や子育て拠点以外のショッピングセンターなどでの相談、保育園での相談など、柔軟な相談体制を提供している地域もありますが、すべての地域で行われているわけではありません。こうした取り組みが広がり、1人でも多くの妊産婦が利用しやすい環境を整えることが必要ではないでしょうか。
セーブ・ザ・チルドレンは、今後も「ハロー!ベビーボックス」の提供と合わせて、こうした当事者の声をこども家庭庁や国会議員などに届け、制度改善や仕組みづくりを後押ししていきます。
セーブ・ザ・チルドレンでは、「ハロー!ベビーボックス」以外にも、子どもの貧困問題解決に向けた、さまざまな取り組みを行っています。活動の最新情報は随時こちらのページで更新しています。ぜひご覧ください。
(報告 国内事業部 鳥塚)
6回目の実施となる2025年春(応募期間4/3~5/30)は、全国の妊産婦へ750箱を提供しました。

今回、「ハロー!ベビーボックス」を利用された九州地方在住の未婚ひとり親、イトウさん(仮名・20代)に、応募に至った経緯や、望んでいる支援の内容について、お話を聞きました。
今回受け取った「ハロー!ベビーボックス」について、どこでお知りになりましたか。
「自治体の保健師さんに産後の話や最低限揃えておいてほしいものなどを教えてもらい、その際にボックスのことを知り、申し込みました。届いてみると、出産後に必要なものがひととおり揃っていて、驚きました。」
「妊娠中はつわりがひどく、仕事も休みがちだったり、夜勤の仕事を控えないといけなかったりと、収入が減ってしまいました。また、初めての子育てで、一人で育てなければいけず、そこも不安でした」
妊娠中は心身の体調の変化が激しく、働くことに制限が出て収入が減少してしまうことはままあります。そうした時に国や自治体の経済的サポートが、出産前からあるといいですね。
「はい、妊娠前に生活費のために借り入れた借金も弁護士さんのサポートで解決し、また今は生活保護の申請が通りました。ただ、ひとり親に支給される児童扶養手当は、妊娠前でたくさん働けていた一昨年の収入を基準に支給が決まるので、今すぐはもらえないと自治体の方からは言われました。」
出産後の今、求める支援はなんでしょうか。
「初めての出産、育児で、何を用意したらいいかわからないので、「ハロー!ベビーボックス」のようなボックスが皆にもらえるとよいなと思います。また、自治体の保健師さんはすごく親身になって話を聞いてくれたんですが、妊娠中から気軽に相談できるところがもう少したくさんあると、不安になることがないかなと思いました。どこに相談していいかわからないし、『みんな同じだから』と言われてしまったりすると、もう話せないなと思ってしまうので。(選択肢が)もう少しあるといいと思います。
あと、昼間はなんとかやりきれるんですけど、夜になってワンオペで子どもの世話をしていると「今後どうなるんだろう」と不安に襲われることもあります。そういう時に気軽に相談できる、夜間もやっている窓口や、同じような悩みを抱えている人と出会える場があるとありがたいなと思います。」
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国は2025年4月から、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援として、妊娠届出時に5万円、妊娠後期以降には妊娠している子ども1人当たり5万円の支援給付を行っています。また、出産後、子どもが2歳未満の間に時短勤務をした場合は、賃金の原則10%を支給するなど、「こども未来戦略 加速化プラン」をもとに子育て支援をすすめています。
こうした支援の拡充は歓迎される一方で、今回のイトウさんのように出産前のつわりや心身の体調の変化が激しい時期に働けず、収入が減少してしまうことがあります。妊娠期においても経済的な不安なく安心して過ごせるよう、さらなる支援策を講じる必要があるのではないでしょうか。
また、イトウさんのお話からは、出産後の孤立しやすい時期には、気軽に相談しやすい窓口の開設や時間延長などの検討も求められています。すでに一部の自治体で、SNSでの相談や子育て拠点以外のショッピングセンターなどでの相談、保育園での相談など、柔軟な相談体制を提供している地域もありますが、すべての地域で行われているわけではありません。こうした取り組みが広がり、1人でも多くの妊産婦が利用しやすい環境を整えることが必要ではないでしょうか。
セーブ・ザ・チルドレンは、今後も「ハロー!ベビーボックス」の提供と合わせて、こうした当事者の声をこども家庭庁や国会議員などに届け、制度改善や仕組みづくりを後押ししていきます。
セーブ・ザ・チルドレンでは、「ハロー!ベビーボックス」以外にも、子どもの貧困問題解決に向けた、さまざまな取り組みを行っています。活動の最新情報は随時こちらのページで更新しています。ぜひご覧ください。
(報告 国内事業部 鳥塚)



